【感想・ネタバレ】大江健三郎の「義」のレビュー

あらすじ

謎だらけのポストモダン小説の先駆『同時代ゲーム』はなぜ書かれたのか。自伝的要素の強い『懐かしい年への手紙』に登場するギー兄さん、『燃えあがる緑の木』の新しいギー兄さんは、なぜ「ギー」なのか。大江健三郎の全小説を精読し、柳田国男の影響を確信した著者は、大江と柳田の深い関係を探っていく。しかし、大江の謎は柳田のみならず、『万延元年のフットボール』と島崎藤村『夜明け前』との類似点へと行き着き、いつしか不思議な親和性を持つ文学者のつながりは平田篤胤へと辿りつく。これまで海外文学の影響下において読み解かれてきた大江健三郎文学に、深く根を下ろした日本文学の伝統とは一体何か。大江研究の第一人者が読み解く、知的好奇心に満ちた快著!

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Posted by ブクログ

これは今まで読んだ大江健三郎論の中で一番納得できた一冊。なんか本人のインタビューでは洋モノの思想が出てくるし、仏文科だし、後期の小説で主人公が読んでるのはダンテとかブレイクとかな割に、物語にはもの凄い日本らしい湿気と土臭さがあるのが気になっていたのだが、そのよってきたるものをこの本を読んで得心しました。世代的には全然大江の衝撃などはなく、文庫に作品がいっぱい入っているので遅れて読みだしたのだが、結果、『同時代ゲーム』と長江古義人シリーズだけですね、私に面白く読めるのは。日本人の作家でこれほど時期によって作風の違う作家も珍しい気がする。

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2023年04月17日

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