青柳正規のレビュー一覧
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青柳 正規
(あおやぎ まさのり[1]、1944年11月21日 - )は、日本の歴史学者・考古学者(西洋美術史・西洋古典考古学)。勲等は瑞宝重光章。学位は博士(文学)(東京大学・1992年)。山梨県立美術館館長、学校法人多摩美術大学理事長、奈良県立橿原考古学研究所所長、石川県立美術館館長、公益財団法人せたがや文化財団理事長、アーツカウンシル東京機構長、東京大学名誉教授、日本学士院会員、文化功労者。1944年、関東州・大連生まれ。1963年に東京都立新宿高等学校を卒業[2]。東京大学文学部美術史学科で学び、1967年に卒業した。同大学大学院へ進み、1969年に修士課程を修了。博士課程在学中にローマ大学へ3年間留学。帰国後、1972年に博士課程を退学した。イタリアでは、ポンペイ遺跡の発掘に参加した。1972年、東京大学文学部助手に採用された。1979年、筑波大学専任講師となった。1985年、東京大学文学部助教授となり、1991年より教授(文化交流)。1992年、「古代都市ローマ」で博士(文学)の学位を取得。1993年4月から1996年3月には、東京大学総合研究資料館長、文学部長、東京大学副学長もつとめた。2005年、東京大学を退官し、名誉教授となった。大学在任中には、客員として京都造形芸術大学客員教授もつとめた。2005年4月より国立西洋美術館館長に就任。2007年には日本学士院会員に選出され、日本学術会議会員。2008年からは同館理事長。2010年1月の講書始の儀では、「ローマ帝国の物流システム」を講義した。2013年から2017年10月まで、国際学士院連合副会長。2013年、文部科学省文化庁長官となり、2016年までつとめた。民間出身の文化庁長官は5人目であった。2017年山梨県立美術館長。2019年からは学校法人多摩美術大学理事長、橿原考古学研究所所長。2020年9月、石川県立美術館長。2021年6月公益財団法人せたがや文化財団理事長[3]。2022年4月アーツカウンシル東京機構長[4]。
「アエネアスの祖国トロイアがその存亡をかけてギリシアと戦うことになるトロイア戦争の原因は、あの有名な「パリスの審判」でした。ヘラ、アテナ、アフロディテというギリシアを代表する女神たちは、自分たち三人のうちでだれがもっとも美しいかをトロイアの王子パリスに審判させることにします。それぞれの女神は、もし自分を選んでくれるならすばらしい贈り物を提供しようと約束しました。なかでもアフロディテの約束は、世界でもっとも美しい女性ヘレネと結婚できるようにとりはからうというものでした。この約束に心を動かされたパリスは、アフロディテをもっとも美しい女神に決定します。 絶世の美女ヘレネはすでにスパルタ王の妃でしたが、パリスはスパルタ王が不在のときをねらって彼女をトロイアに連れ帰ります。ヘレネを奪われたスパルタ王はギリシア全土に彼女を奪回するための協力を呼びかけ、アガメムノンを総大将とするギリシア軍が編制されトロイアに派遣されました。数多くの勇者がはせ参じたギリシア軍でしたが、ヘクトルを総大将とするトロイアは必死に防戦し、またたくまに一〇年という歳月がたち、戦争は膠着状態に入ります。そのような状況のとき、トロイア一の勇者ヘクトルは、ギリシア軍随一の勇者アキレウスの無二の親友であるパトロクロスをたおすことに成功します。しかし、そのことがアキレウスの激しい怒りをかい、ヘクトルはアキレウスに殺されてしまいます。総大将を失い劣勢にたったトロイアは、防備を固め城内にとじこもって戦い続けようとしますが、結局「トロイアの木馬」のなかに隠れていたギリシア兵によって内側から城門が開けられることになり、陥落してしまいました。 この陥落のさい、トロイアの勇者でただ一人生きのびたのがアエネアスです。ヘクトルと並び称されるほどの勇者であり、敬虔な心をもつアエネアスはつねに神々の庇護をうけ、戦死をまぬがれてきました。アエネアスは、トロイアの再建を念じながら新天地を求めて祖国をあとにしたのです。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「ウェイイの攻略に成功したローマの兵士たちは、ウェイイの神殿に納められていた奉納品と神像を略奪者としてではなく崇拝者として持ち去りました。美しさを尊重することはなく、より大きなもの、より必要なものに価値をおく人々であったローマ人も、エトルリア美術の傑作である見事な奉納品や神像に接して、しだいに美術を理解するようになったのでしょう。 念願のエトルリア支配に最初の楔を打ち込むことに成功したローマでしたが、つぎなる難題がひかえていました。アルプスを越えて北イタリアに定住していたケルト人は、紀元前四〇〇年ごろ南下を開始し、紀元前三九〇年(三八七年とする説もある)、ローマを陥落させてしまいました。さいわいなことにケルト人はローマを占領するつもりはなく、金銀財宝を手にするとローマを退去していきました。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「 南イタリアでもっとも栄えていたタレントゥムからの戦利品の中には、リュシッポスの彫刻などギリシア美術の名品が数多くふくまれており、ローマの市民はその頃からギリシア美術という当時の地中海世界にひろく普及していた美術の魅力にとりつかれるようになります。文化の面でも国際社会に目を開きはじめたのです。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「カエサルとの決戦で裸同然となったポンペイウスはアレクサンドリアに逃れます。同地駐屯のローマ軍とエジプト軍の力をかりて戦線をたてなおすつもりでした。しかし、アレクサンドリアでカエサルが発見したのは、すでに暗殺された老将軍の遺体でした。カエサルのたぐいまれな才知とその娘ユリアを愛し、ローマ市民の信頼を一身に集めたポンペイウスの、その無惨な姿に、カエサルは落涙したといいます。 アレクサンドリアに一年近く滞在することになるカエサルは、エジプトをクレオパトラにゆだねる決心をします。不安定な政情のなかでエジプトをローマの属州として支配した場合、その富と豊かな農産物をひとりじめする属州総督があらわれ、反乱ののろしをあげるかもしれなかったからです。 ローマにもどったカエサルは席のあたたまる暇もなく北アフリカとヒスパニアへおもむき、ポンペイウス派の残党を一掃することに成功します。この短期間のローマ滞在中にカエサルは元老院議員の多くを味方につけることに成功します。スッラのように政敵を粛清することなく、かつての敵を寛容にあつかったことが功を奏したのです。たぐいまれな天才政治家の片鱗を示すできごとでした。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「最初の治世五年間は、アウグストゥス政治への復帰宣言にみられる保守的政策と、間接税軽減のような税制改革など革新的政策との均衡による安定期で、辺境における軍事衝突が少なかったことも善政と称される時代を生みだす原因の一つでした。安定した状況のなかで、ネロがもっとも気をつかったのは都に住む市民の動向です。彼らを満足させるには「パンとサーカス」、つまり十分な食糧と娯楽を提供すればよかったのです。食糧に関しては、オスティアに新しい港ができたため、以前よりもかなり改善されていました。娯楽に関しても、できるかぎりのサービスに努めました。というよりも、観客として、あるいは役者や競技者として参加することは、ネロの生きがいそのものだったので、これまでの皇帝とは力の入れ方がちがっていました。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「そのような不祥事もありましたが、市民の多くは堅実な生活をおくっていました。公共浴場ですごす午後の数時間は、市民たちのまたとない憩いの時間であると同時に情報交換の機会でもありました。肥沃な周辺の耕作地では都でも有名な野菜が生産され、果物もたわわに実りました。ナポリ湾の魚介類やヴェスヴィオ山でとれる野生動物が、食卓をさらに豊かなものとしました。そのようなめぐまれた生活を突然に停止させたのが火山噴火だったのですが、すでに噴火の一七年前にポンペイは直下型の地震にみまわれていました。現代であればそれが噴火の予兆と見なされたでしょうが、当時は神の怒りとして受けとめられただけでした。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「ローマ帝国が出現する以前、地中海世界は各地で戦争をくり返していました。しかし、地中海世界全体がローマ帝国として一つの国となったときから、戦争はなくなり、「ローマの平和」が実現しました。この事実から、それまでの戦争は地中海世界がいくつもの国に分かれていたためにおこったと考えることができます。もちろん戦争の理由として、領土の拡張や戦利品の獲得、食糧や資源の確保などが考えられますが、根本的な原因はいくつもの国に分かれていたからです。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
「岩波ジュニア新書の発足に際して きみたち若い世代は人生の出発点に立っています。きみたちの未来は大きな可能性に満ち、陽春の日のようにひかり輝いています。勉学に体力づくりに、明るくはつらつとした日々を送っていることでしょう。 しかしながら、現代の社会は、また、さまざまな矛盾をはらんでいます。営々として築かれた人類の歴史のなかで、幾千億の先達たちの英知と努力によって、未知が究明され、人類の進歩がもたらされ、大きく文化として蓄積されてきました。にもかかわらず現代は、核戦争による人類絶滅の危機、貧富の差をはじめとするさまざまな人間的不平等、社会と科学の発展が一方においてもたらした環境の破壊、エネルギーや食糧問題の不安等々、来るべき二十一世紀を前にして、解決を迫られているたくさんの大きな課題がひしめいています。現実の世界はきわめて厳しく、人類の平和と発展のためには、きみたちの新しい英知と真摯な努力が切実に必要とされています。 きみたちの前途には、こうした人類の明日の運命が託されています。ですから、たとえば現在の学校で生じているささいな「学力」の差、あるいは家庭環境などによる条件の違いにとらわれて、自分の将来を見限ったりはしないでほしいと思います。個々人の能力とか才能は、いつどこで開花するか計り知れないものがありますし、努力と鍛練の積み重ねの上にこそ切り開かれるものですから、簡単に可能性を放棄したり、容易に「現実」と妥協したりすることのないようにと願っています。 わたしたちは、これから人生を歩むきみたちが、生きることのほんとうの意味を問い、大きく明日をひらくことを心から期待して、ここに新たに岩波ジュニア新書を創刊します。現実に立ち向かうために必要とする知性、豊かな感性と想像力を、きみたちが自らのなかに育てるのに役立ててもらえるよう、すぐれた執筆者による適切な話題を、豊富な写真や挿絵とともに書き下ろしで提供します。若い世代の良き話し相手として、このシリーズを注目してください。わたしたちもまた、きみたちの明日に刮目しています。」
—『ローマ帝国 (岩波ジュニア新書)』青柳 正規著
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ローマの盛衰についての概説書。
入門書のような見せかけだが、実はローマ史の2~3冊目程度で読むのが推奨。通史を期待すると肩透かしをくらうと思う。
共和制ローマ時代からローマ帝国滅亡までを概説しているが、帝政期、しかもそのうち初代皇帝アウグストゥスの治績に特に重点を置いた構成となっている。
それはローマの最良の時代の基礎を築いたのも、その後のローマの限界の端緒が垣間見えたのも、アウグストゥスの時代だったからということが読めばよく理解できる。
本書の良い点は「なぜ」が大変分かりやすい点。
古代ローマは、その1000年近い歴史の中で、王政⇒共和政⇒(内乱)⇒帝政⇒瓦解とその性格を徐々に変化させていくが、その理由が非常に飲み込みやすい。
あたかも古代ローマの歴史を一人の人間の生涯として捉えられる。
古代ローマの成長、衰退の過程とその理由について、本書を読めばある程度は自分なりに話せるようになるのではなかろうか。
そして、国家の盛衰の一つの典型として、ほかの歴史上の国家の盛衰を考える際にも、役に立つと思う。
ジュニア新書というレーベルではあるが、何一つ前提知識がない状態では恐らく読みこなせない程度の本であることは付記しておきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレローマという都市を歴代の皇帝たちがどのように整備し、どんな建物を立てていったのかという観点から見ていくローマ史。凱旋門や神殿など記念的建物から、水道の整備、大火からの復興など、一つ一つの計画にどんな意図があったかを歴史とからめて探っていくような本になっている。カエサルからコンスタンティヌスまで扱っていてコンパクトにまとまっており、今まで読んだローマ史関係の本と違って内政が中心の記述で知らないこともたくさんあって勉強になった。
皇帝たちが建築によって自らの栄光を刻み込んでいったローマだが、コンスタンティヌスの頃には所狭しと並んだ古い記念建築物をかかえこんで発展の余地のない老朽化した都市になってしまう。そしてコンスタンティノープルが登場し、世界に比類なき、世界の中心たる都市だったローマは帝国内の一都市に成り下がっていく…というのは読んでいて歴史のロマンと無常を感じた。各皇帝が手掛けた建築・都市整備のやり方も状況と性格によって全然違うのも面白かった。 -
Posted by ブクログ
文明の発生と消滅が必須であれば、成功と失敗から学ぶべきことは「失敗の仕方」ではないか。
ということで、《興亡の世界史シリーズ》を読む。
『人類文明の黎明と暮れ方』では、ヒトの進化から古代文明までが語られている。
前半の「言葉の定義」解説的箇所にやや手こずったが、シュメールの解説あたりからガゼン面白くなる。
中でも「チグリス・ユーフラテス川とナイル川の氾濫の違いが、二つの文明の相違を生み出した」と……。
メソポタミア文明のヨーロッパへの影響とエジプト文明の過大評価というのも面白い。
また、ギリシャ文明のことをこんなに知らなかったことに気付かされる。
「おわりに」では、現代の問題と筆者自身の考えが示されている。
「文明を繁栄させた原因や要素こそが、同じ文明を衰退させる働きをすることーー自滅の道こそが衰退の原因」
でも、まだわからない。 -
Posted by ブクログ
世界史についての本。
興亡の世界史というシリーズの中の最終巻。2007年に出されていたが、文庫化されるにあたって新しく手直しされたもの。
従来の世界史というのは西洋史を中心としたものであったが、本書ではそれに対してもっと多文化的で中立的な世界史を提唱している。
人口問題については、人口バランスとその国の繁栄について書かれており勉強になった。日本は戦後の復興期、高度成長期に人口ボーナス期を迎え、一気に経済繁栄した。これからは急速な高齢化と少子化で人口減少時代を迎える。経済的な縮小はやむを得ないだろうと思う。しかし、世界的には人口増加による環境問題に直面しており、日本の人口減少は今後に必要な世界的人口減少に先駆けたものと考えれば、やむを得ないのかもしれない。
海の歴史についてはインドを中心に西と東がインド洋で交流していたダイナミックな歴史が興味深かった。その後にヨーロッパの産業革命がおこり蒸気機関による船舶が開発され、西洋による世界の植民地化の歴史については、力による支配に辛い気持ちになる部分があった。
アフリカの悲惨な歴史については、最も衝撃的であった。アフリカには部族がいてそれが抗争して未開である、という今日のアフリカ像が西洋的な視点から作られたものであると書かれていた。アフリカの部族という存在は古くからの伝統かと思っていたが、西洋の植民地化で地域ごとに部族を縛り付けて孤立させ固定化した結果であると知った。
さらに、奴隷貿易がアフリカの発展に壊滅的な打撃を与えた。奴隷制度が西洋の発展と自由で民主的な生活スタイルを作ったが、その悪影響をもろにかぶった地域なのだと再認識した。
全体にアンチ西洋の雰囲気を感じたが、日本独自の世界史への関わりを提唱していて面白かった。地域ごとにダイナミックな歴史と異文化交流があったことを知ることができ、他のシリーズも読んでみたいと思った。
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古代ローマが始まってから終わるまでの歴史や戦争、政治について教えてくれる本。古代ローマの歴史や文化にもうちょっと明るくなってから読み直したら、もっと楽しく読めそう。分かってたけど、もともと知っていた物にしか反応できないのね。なのでもともといくらか知っていたことについて書かれているところはとても楽しく読めた。そうでなかったところは適当に流し読んでた。分かったら、きっと興味深いんだろうな。
ローマで文字が使われるようになったのって、紀元前6世紀頃からなんだ?メソポタミアよりだいぶ後なんだわね。
ギリシャ文字がエトルリア文字になって、エトルリア文字がローマ文字になったんだって。ローマ文字は今のアルファベットの原型。
ローマ人も人を神扱いして、その人のための神殿を造ったりしてたんだ。アウグストゥスとか。一番初めの皇帝。これは、菅原道真を神様扱いするのとはちょっとニュアンスが違うかも? -
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1964年の東京オリンピックを挟む1955年から1973年までを高度経済成長期といい、GDP成長率は年平均9.1パーセントであった。しかし、それを支えたのは人口増加であり、すでに人口減少時代に入った日本が、GDPの高い成長率を取り戻すことはない。
ゆえに、これからの日本人の暮らしを豊かにするのは物質ではなく、文化である。文化による精神的満足が大事になる。
また、近年加速するグローバル化はアメリカ化とほぼ同義であり、それは反作用としての反グローバル化の流れをもたらした。アイデンティティを自国の文化に求め、自国ファーストの考えが世界を分断しつつある。
イギリスのEU離脱もしかり、スコットランド独立のための選挙しかりである。グローバル化の震源地であったアメリカ自身が、トランプ政権によって露骨に自国の利益を優先している。
こういった背景の中で、各国が自国の文化を主張し、世界にアピールする戦いが繰り広げられている。
20世紀は軍事力、経済力の時代であった。
21世紀は文化力の競争の時代である。 -
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ローマ帝国の歴史を成り立ちから、東西分裂(実質崩壊)までコンパクトに1冊で。基本のき、ということでジュニア新書から選ぶも、いきなり色々と目から鱗で超面白かった。カエサルってローマ帝国の人だったんだ!オクタウィアヌスってアウグストゥスだったんだ、8月!とか。子供のころって地理が嫌いだったせいで世界史もイメージが全くわかずに、さっぱりだったんだが、今まがりなりにも海外に行ったことがある経験を踏まえて読むと無茶苦茶面白かった。実のところヨーロッパってほぼ未踏なんだけど、これで体験後に読むとさらに面白いだろうと思うと歳を取るのも悪くないな、とか最早本の感想じゃねーなこれ。
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文化庁長官が語る「文化」論。日本のソフトパワーの底力、それは、外来の文化を柔軟に取り入れ、寡黙でシャイな日本人ではあるが、連綿と培ってきた「和」の心で各地の小さな文化をネットワーク化し、切磋琢磨することにより世界が絶賛する日本文化を花咲かせるに違いと言っている。
無味乾燥な大都会の発想である「日本消滅」では、出てこない思想・哲学である。
産業革命で勃興しながらも、脱工業化社会で落ち込んでいたヨーロッパの都市の再生は「文化」であった。
日本という国は、先進ヨーロッパの少し後を行くパターンである。
日本の各地で、明確な構想と強いリーダーシップの首長の下、文化創造都市・村が立ち上がってきている。
第1章 グローバル化の中の日本
第2章 日本文化とはなにか
第3章 日本の文化政策
第4章 外国の文化政策
第5章「文化立国」実現のために
勉強になりました。 -
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先日、青柳 正規 氏 による「逸楽と飽食の古代ローマ―『トリマルキオの饗宴』を読む」を読み終えました。
案内によると、本書が扱っている「トリマルキオの饗宴」は、古代ローマ時代の風刺小説「サテュリコン」の最も有名な場面とのこと。主人公のトリマルキオは、成功して財を成した大富豪の解放奴隷です。
本書において、著者の青柳氏は、そのトリマルキオが催した饗宴の様子の描写を取り上げて、その背景や意味するところを克明に解説していきます。その内容は、饗宴に供された料理の細かな解説もあれば、トリマルキオの振る舞いから読み解くことのできる当時のローマの世情の説明もあり、とても興味深いものでした。 -
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[ 内容 ]
「ローマは一日にして成らず」―史上もっとも繁栄した大国・古代ローマ帝国は、どのようにしてでき、滅んだのか。
その広大な領域支配を可能にしたシステムとは?
トロイア戦争に始まる建国神話、勇将ハンニバルとの戦い、カエサルのルビコン渡河、暴君ネロの常軌を逸した振舞いなど、エピソード豊富にその栄光の歴史を描きます。
[ 目次 ]
1 ローマ帝国ができるまで―建国物語と覇権確立までの道のり(平和の祭壇 トロイア戦争 ほか)
2 ローマ帝国の成立―アウグストゥスの時代(元首政時代 アウグストゥスの権力基盤 ほか)
3 帝国の発展と充実―皇帝たちの饗宴(皇帝崇拝と皇帝の神格化 後継者ティベリウスの課題 ほか)
4 人類史上もっとも平和な時代―五賢帝の統治(フラウィウス朝時代 パンとサーカス ほか)
5 帝国の混迷と解体―なぜローマ帝国は滅びたのか(セウェルス朝と軍人皇帝時代 異民族の襲来 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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陣内秀信氏が「解説」において、本書の内容を簡にして要を得てまとめているので、その箇所を引用したい。
「主役は、都ローマをつくった権力者、特に皇帝達である。彼らにとって、自らの功績と栄光を視覚的に示し、また市民からの支持や共感を得るためにも、様々な建造物、施設を現実のものとする造営事業は極めて重要な意味をもった。…本書は、それぞれの皇帝がいかなる野心をもってローマを眺め、様々な建物、施設の造営事業にどう取り組み実現したのかを丁寧に説き起こす。こうした建設、造営事業の連鎖と集積によって、古代都市ローマが創り上げられたダイナミックな過程が解き明かされる。」(438ー439頁)
ポンペイウス、カエサルから始まり、アウグストゥス以下の歴史上有名な皇帝たちが計画、建設していった神殿、劇場、コロッセウム(円形闘技場)、パンテオン、凱旋門、浴場、水道施設 etc.
これらの一部が部分的とは言え、遺跡として現在でも見ることができるとは素晴らしいこと。ローマに行くのはちょっと難しそうなので、本書を参考にしながらグーグルアースを見て楽しみたい。 -
Posted by ブクログ
【文明史を学ぶということ】
P.15
historyの中のstory =経時的(ディアクロニカル)方法
⇔共時的(シンクロニカル)方法
専門知→統合的な機能不全
全体をみることと要素還元主義の弊害
文化だけでなく文明の多様性
P.23 文化と文明の定義とその差異
【ヒトから人類へ】
r戦略者 K戦略者
アシュール文化
P.84 ヴィーナス像の造形法
洞窟壁画 なぜ動物は描かれ、植物は描かれない?
【農耕というイノベーション】
P.110 消極的移住
人口増加→農耕でなく農耕→人口増加
イェリコとナハル・オレン
チャタル・ヒュスク
「ノアの洪水」
P.150 世界的に東アジアの土器製作は早い
【文明の誕生】
『ギルガメッシュ叙事詩』
エジプト文明のピラミッドをどう評価するか
3000年おなじことを繰り返していた
【多様な文明の隆昌】
P.243 ヨーロッパの知識人がアジアの歴史や文化はいずれも大河流域にあると認定したのはなぜか。それは、すでに大航海時代に世界の七つの海に進出したヨーロッパに対して、海洋に出ることのなかったアジアの閉鎖性と停滞性を強調するためであった。
戦後日本では「四大文明」という魅力的な用語で、「ヨーロッパ中心史観」に対抗しようとしてきた
アンデス文明
石田・泉「新旧大陸における農耕文化の始まり」
【古代地中海文明】
キクラデス文化
ミケーネ文明 ウァナクス
【文明が滅びるとき】
文明衰亡の要因は繁栄を招いた要因の中に見出すことができる
【あとがき】
情報の氾濫が知識の真の知とする醸成期間を剥奪し、その結果、知の魅力を奪い、まして叡智の輝きを失くしてしまった。知の尊厳、あるいは知への憧れを失くしてしまったわが国の現代社会からはかつてのような叡智に満ちた思想が生まれる可能性はなくなり、狡知だけが蠢く社会に変わりつつある。科学技術が発達すればするほど、発達した科学技術を包含する思想が必要であり、人間とは何かを考える人文学が活躍しなければならない。しかし、科学技術を包括するホーリズムとしての思想は、それが本質的に内包せざるをえない曖昧さによって人文学を含む科学者によって否定されてしまった。現状のような科学技術が進めば進むほど、総体としての人間の将来は神まかせになるというパラドックスに完全に入ってしまった。