彩図社文芸部のレビュー一覧
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彩図社文芸部・編『文豪たちが書いた 殺しの名作短編集』彩図社。
11人の文豪たちの『殺人』を描いた名作を集めたアンソロジー。税抜で750円で、このボリュームは今の時代では非常に嬉しい。
たまには、こうした文豪たちの古い小説を読むのも悪くはない。古い小説と言っても、現代の世相に相通ずる物があるから、なお面白い。
久生十蘭『彼を殺したが……』。海なのか、湖なのか、最初のうちは場所は語られないが、最後に沼だったことが解る。船上の主人公と水の中に落ちて、藻掻く男。どういう状況だったのか描かれることはないが、主人公は男を見殺しにすることを選択する。その選択は女性を奪われた怨みなのか、男の才能への -
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名作系に苦手意識を持っていたので、短編集で入ってみた!いろんな人の物語読めて面白かった!
他のも読んでみたいなと気になる作家さんも見つけられて良かった^^
太宰治や芥川龍之介はやっぱり読みやすいんだな、、スイスイ読めた!
芥川龍之介の舞踏会は、読み終わったあとにどういう意味?と気になって解説を調べてしまった。
久坂葉子の入梅も素敵だった。姉妹がお互いを想う気持ちが伝わってくる。
久生十蘭の春雪も主人公と同じ気持ちで「どういうこと?」ってなってどんどん読み進められたな。
横光利一の春は馬車に乗ってが一番印象に残った。
病気の辛さを感じる。決して我慢できるものではないのに、「もう寝て頂戴な。 -
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「嘘」をテーマにした文豪本。第一章が「太宰治の嘘」で太宰全振りなのに、第二章「中原中也たちの嘘」にまた太宰出てきて笑った。嘘つきMVP、太宰治。
思ったより解説が少なかったので、もう少し解説があったら嬉しかったかも。でも、あまり詳しくない作家に触れる機会になって良かった。
全体的に、「金」と「酒」。芥川の嘘なんかは可愛いし、嘘つきと呼ばれたくない漱石も可愛い。でもやっぱり太宰や啄木の嘘は、周囲の人が何と言おうと「迷惑な嘘やな」と思う。啄木の日記とか、ダメ人間すぎて、どんなに「心中では嘘をつく気は云々」って言われても、なあ?
柳田國男の嘘についてのエッセイは面白かった。面白い嘘をつくという技 -
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太宰治の志賀直哉に対する文句がガチで煽りまくってて読んでてハラハラしたw
中也の話も有名エピかもしれませんが、毎回笑う!!
坂口安吾→太宰治
《死に近きころの太宰は、フツカヨイ的でありすぎた》
”フツカヨイ的”とは中二病とか厭世的とか…
”赤面逆上的”とは黒歴史…
安吾は太宰のことが好きなの?嫌いなの?…いや好きなんだよね??
太宰の自殺直後の安吾の文章がかなり胸にきた…
織田作之助の章も好きでした
芥川龍之介と夏目先生のエピソードはたった数年の話なのに
どれを知っても興味深い。おもしろい。
最終章の有名な谷崎潤一郎VS佐藤春夫は、これこそ事実は小説よりも奇なりですね
結末が分かっ -
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彩図社文芸部『文豪たちが書いた 笑う名作短編集』彩図社。
11人の文豪による13作品の『笑える話』を収録したアンソロジー。
『笑える話』というよりは寓話めいた『皮肉な話』が多い。昔の小説はこうした類いの話が多かったように思う。
江戸川乱歩『算盤が恋を語る話』。既読。江戸川乱歩の作品にはしばしば暗号が扱われるが、算盤を使った暗号というのは面白い。暗号と偶然が起こした勘違い。今時は算盤などなかなかお目に掛からないが。★★★★★
小川未明『殿さまの茶わん』。寓話のような話。殿様に献上するために陶器作りの名人が精魂込めて焼き上げた薄手の軽い茶碗。しかし……★★★★★
太宰治『畜犬談』。既読。 -
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「はじめに」には、
『随筆、日記、手紙、友人や家族の証言から、文豪たちの人となりがわかるような文章やフレーズを選びました』
と書かれている。
ちょっと待ってーーーーー!
何かの意図を持って面白いところを抜き出して切り貼りされてたりしたら、それで「人となり」なんか判断される文豪は気の毒、とちょっと思いましたが・・・
読み終わって、自分が今まで作品を読んだことのある文豪に対してもない文豪に対しても、何か先入観を抱えてしまったのではないかと気がかりです。
・太宰の、芥川賞への執念は有名。
作品はいくつか読んでいるから、彼のぐちぐちウジウジにはもう慣れている。
いつもの太宰。
・中原中也の罵詈雑