彩図社文芸部のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「嘘」をテーマにした文豪本。第一章が「太宰治の嘘」で太宰全振りなのに、第二章「中原中也たちの嘘」にまた太宰出てきて笑った。嘘つきMVP、太宰治。
思ったより解説が少なかったので、もう少し解説があったら嬉しかったかも。でも、あまり詳しくない作家に触れる機会になって良かった。
全体的に、「金」と「酒」。芥川の嘘なんかは可愛いし、嘘つきと呼ばれたくない漱石も可愛い。でもやっぱり太宰や啄木の嘘は、周囲の人が何と言おうと「迷惑な嘘やな」と思う。啄木の日記とか、ダメ人間すぎて、どんなに「心中では嘘をつく気は云々」って言われても、なあ?
柳田國男の嘘についてのエッセイは面白かった。面白い嘘をつくという技術。子供の嘘を「嘘をつくな!」と叱るでなく、信じた顔をするのでもなく、興醒めするのでもなく、存分に笑ってやるのが良い。なるほどと思った。 -
Posted by ブクログ
太宰治の志賀直哉に対する文句がガチで煽りまくってて読んでてハラハラしたw
中也の話も有名エピかもしれませんが、毎回笑う!!
坂口安吾→太宰治
《死に近きころの太宰は、フツカヨイ的でありすぎた》
”フツカヨイ的”とは中二病とか厭世的とか…
”赤面逆上的”とは黒歴史…
安吾は太宰のことが好きなの?嫌いなの?…いや好きなんだよね??
太宰の自殺直後の安吾の文章がかなり胸にきた…
織田作之助の章も好きでした
芥川龍之介と夏目先生のエピソードはたった数年の話なのに
どれを知っても興味深い。おもしろい。
最終章の有名な谷崎潤一郎VS佐藤春夫は、これこそ事実は小説よりも奇なりですね
結末が分かっていても、本文の最後でずっこけたくなるww
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Posted by ブクログ
「はじめに」には、
『随筆、日記、手紙、友人や家族の証言から、文豪たちの人となりがわかるような文章やフレーズを選びました』
と書かれている。
ちょっと待ってーーーーー!
何かの意図を持って面白いところを抜き出して切り貼りされてたりしたら、それで「人となり」なんか判断される文豪は気の毒、とちょっと思いましたが・・・
読み終わって、自分が今まで作品を読んだことのある文豪に対してもない文豪に対しても、何か先入観を抱えてしまったのではないかと気がかりです。
・太宰の、芥川賞への執念は有名。
作品はいくつか読んでいるから、彼のぐちぐちウジウジにはもう慣れている。
いつもの太宰。
・中原中也の罵詈雑言は、その場限りのガス抜きみたいに思う。
写真では結構なイケメンなのに、口と酒癖がとびきり悪いらしい。
日記の中も罵詈雑言でいっぱい。夢の中でもバリってるかも。
・太宰の死後に書かれた坂口安吾の文は、悪口というよりは、「なんで死んじまったんだよう〜!お前のそういうところがダメなんだよ!」という、友情の裏返し表現な気がする。
私の中で、安吾株アップ。
・夏目漱石は、家族からは怖がられていたようだが、家族に当たるくらいしかできない小心が可愛いと思う。
・永井荷風の「菊池寛だいっきらい」は徹底している。
大人げない偏屈ジジイである。
・谷崎潤一郎VS佐藤春夫の手紙のやりとりは、小説のような読み応えあり。
谷崎は佐藤より6つ年上。
いい意味でも悪い意味でも「オトナ」と感じる。
佐藤の言い訳っぽい書き振りは太宰と同類かなと感じたけれど、卑屈感とねちっこさがいまひとつ足りない。
この戦いは長年かけて良いところに落ち着いたようなので、一冊の結びとしては良かったと思う。
それとは別に、驚いたのが『滑稽新聞』や『スコブル』という、風刺ゴシップ誌での、文豪のネタにされっぷり。
文豪ネタのアニメが出たときに「冒涜!」と騒いだ人たちもいたようだけど、あんなもんではない。
『文藝春秋』大正13年に載った「文壇諸家価値調査票」というのもなかなかに酷い。
財産→病気、とか、好きな女→妻君(人の)・・・などと書かれている。
訴えてもいいレベル。
一、太宰治の章
二、中原中也の章
三、無頼派×志賀直哉の章
四、夏目漱石の章
五、菊池寛×文藝時代の章
六、永井荷風×菊池寛の章
七、宮武外骨の章
八、谷崎潤一郎×佐藤春夫の章 -
Posted by ブクログ
文豪と呼ばれる方々の罵詈雑言、大集合!
・はじめに
一、太宰治の章 二、中原中也の章
三、無頼派×志賀直哉の章 四、夏目漱石の章
五、菊地寛×文藝時代の章 六、永井荷風×菊池寛の章
七、宮武外骨の章 八、谷崎潤一郎×佐藤春夫の章
出典一覧・主要参考文献有り。
なんと大らかな時代であったことよ。
現代ならばSNSでの炎上であろうことよ。
友人や対人で直接罵詈雑言をがなる文豪。
日記や手紙で赤裸々に綴る文豪。
文豪VS文豪となれば、理路整然と論じて中に致命傷を
与えるような言葉をぶち込んでくる。
それを作品として発表しちゃうんだからなぁ~。
それを掲載する出版業界も大らか過ぎるし~。
でも、坂口安吾の「不良少年とキリスト(より)」は、
心惹かれる内容でした。特に、芥川も太宰も
不良少年の自殺という表現に、彼の想いの深さが感じられます。
苗字一文字のことから永井荷風の日記「断腸亭日乗」の中で
事あるごとに罵倒された菊池寛。いえいえ、荷風は
敵のみならず親族や友人、弟子、恩人すら罵詈雑言を
日記に綴っていますから、もう何この人?なんです。
文藝春秋の『文壇諸家価値調査表』と宮武外骨の
「文壇ズボラ競」と「現代文士種族別一覧表」には
思わず笑ってしまいました。というか、当時の文壇には
こういう人たちが属していたかが分かり、興味深かったです。 -
Posted by ブクログ
昔『文豪の悪態 皮肉・怒り・嘆きのスゴイ語彙力』という本を読んで、「あまり悪態出てこないな」と感想を抱いたことがあったけど、こっちはガッツリ悪態ばかりだった。今って、こんなに著名な知識人が公の場で口悪く罵ることってあまり無いと思っているのだけど、この文豪の時代、明治から昭和初期にかけては本当にすごい、何というか荒削りなエネルギーに溢れている。エネルギーは荒っぽいのだけど、表現は文学的に洗練されていたりもするからそのギャップが面白い。
中原中也、シンプルにガラが悪い。バンカラ感が強い。
太宰治の志賀直哉へのキレっぷり、めちゃくちゃ筆がのってて面白い。とてもこの後すぐ自殺する人とは思えんエネルギー量。
その直後に載ってる坂口安吾による太宰治評がこれまたエモい。愛のある批評。
芥川龍之介書く夏目漱石のエピソードがいちいち可愛い。これはあまり悪口ではない。
菊池寛と今東光のレスバとも言うべき紙上の舌戦、一つの事実も視点が違えばこうも評価が異なるのか、と真実というものの脆さ、曖昧さを感じさせる。
佐藤春夫と谷崎潤一郎の書簡はこれだけで小説として成立しそうだ。武者小路実篤の『友情』や夏目漱石『こゝろ』を彷彿とさせる、恋の三角関係のエモい話。まるでドラマのようだ。