雪富千晶紀のレビュー一覧
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「ブルシャーク」から一年半後。瀬戸内海に巨大な三匹のホホジロザメが現れ、暴虐の限りを繰り広げる。しかし彼らは快適とも思えない瀬戸内海から一向に出て行く気配がなく、そのあまりの巨大さに対処する側も二の足を踏む状態。息子を殺された漁師、海洋生物保護を訴える女学生、サメ動画で稼ぎたいユーチューバーなどさまざまな人たちを巻き込んで語られる、「読むサメ映画」第二弾です。
またしても巨大ザメ、しかも三匹、さらに尋常じゃない身体能力と知性を持つというとんでもない存在です。事態に苦慮した漁師たちが次々対抗しようとするものの、これは勝てない。横たわってこちらを見てくる描写とか、あまりに怖すぎるし。そしてあの状況 -
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ネタバレ面白かったです。サメ小説として星5をつけます。
理由はこれだけサメに向き合った(向き合いすぎた)作品はなかなかないんじゃないか、と感じたから。
この作品、富士山周辺の湖でのトライアスロン大会当日でのサメ大暴れまで、サメがなかなか出てこないんですが、まさにそこからは圧巻と言っていい描写。準備したものが効果なく、絶望を感じるパニック展開なんです。
そしてそこに至るまで、いかにサメが大きくなるか、ややSF的解説や被害者視点のホラー描写を積み重ねていく。まさにサメと対決するための準備を積み上げて最後に至る感じなのです。
ところがそのために、トライアスロン大会やスポンサーでついた企業との対決軸が弱く、 -
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雪富千晶紀『ブルシャーク』光文社文庫。
まさか日本人作家による本格的『鮫小説』が読める日が来るとは夢にも思わなかった。
中学生の時に映画館で初めて観た洋画が『ジョーズ』である。その後、早川書房から刊行されたピーター・ベンチリーの原作も読んだ。以来、自分にとって鮫は、羆と並ぶ動物界の恐怖の象徴である。
さて本作であるが、トライアスロン大会が迫る富士山麓の来常湖にオオメジロザメが現れるという設定だ。
『ジョーズ』の既視感は完全には払拭出来ていないが、非常に面白い。
問題のサメがなかなか姿を見せない点、サメが居るにも関わらず、危険を犯してイベントを強行しようという点、2メートル級のアリゲー -
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一件の感想も投稿されていないとは驚き(発行されてまだ3ヶ月とは言え)。チープな装画がマイナスになっているように思います(装画担当のケッソク・ヒデキさん、ごめんなさい)。
私のようなサメ映画好きでなくても楽しめるエンタメ作品だと思います。テーマは、Animal Welfareかと思いきや、パニック、ミステリー、最新生化学などがてんこ盛りのエンタメ大作です(サメものに欠かせないビキニ美女も登場)。蛸に始まり、蛸で終わるところも良かったし、検証されなかった「放線胞子虫が魚類に寄生して体組織にシストを形成して行動に影響を与える」説が不気味なラストに繋がるところも見事でした。そして、サメものなんでスプ -
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中学時代のクラスメイトが次々に謎の死を遂げていく。それはかつて訪れた、殺人犯のテーマパークともいえる「殺人館」にまつわる呪いなのか。はらはらどきどきが止まらないホラーミステリです。
こういうのでは、死が訪れるまでに呪いの正体を突き止めるタイムリミットサスペンスという筋書きが常道だけれど。それにしても読んでいて妙にわけのわからない気味の悪さを感じていました。なーんかよくわからないけれど、すっきりしないものがずっと付きまとうような……と思っていたら。最後まで読んでその正体はこれだったのか!と。
かなり邪悪なのだけれど、一方から見れば素晴らしい団結の物語とも言えます(とんでもない大仕掛けやってくれた