池内恵のレビュー一覧

  • イスラーム国の衝撃

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    Islamic State に至る経緯、2015/1出版だが特に最後の二十年、その論理の位置付け、メディア戦略について知ることができる。
    知らないいことばかりだった。精読すれば膨大な情報が得られると思うが、理解しながら読むには相当な時間がかかりそうで、表面的にしか読めなかった部分も多い。
    IS がどうなるにせよ、中東の前途は悲観的にしか考えられない。
    IS が出している生の情報には接していないが、説明によりその質の高さはよくわかった。

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    2015年12月19日
  • イスラーム国の衝撃

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    イスラーム国はアルカーイダの理念に共鳴した者たちが各地でローン・ウルフ型のテロを行う一方で、「アラブの春」によりイラクやシリアなどの政権が崩壊したことに乗じて組織化していった。



    イスラーム国が発する教義はイスラーム法学上は極めてオーソドックスであり、特別なものではない。

    イスラームを脅かす異教徒や侵略者が現れればジハードを行うというのは、イスラーム法上の義務でありそれを実行しているに過ぎない。

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    2015年12月07日
  • イスラーム国の衝撃

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    73年生まれの東大准教授による著作。リアルタイムで進行しているシリア・イラクでのISISの勢力拡大を、イスラム教の教義や、中東各国・欧州各地の近年の政治イベントと照らし合わせながらひもといている。参考になる記述が多数あり、片っ端からキンドル本でハイライトした。

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    2015年11月30日
  • イスラーム国の衝撃

    購入済み

    読んで下さい

    メディアの皆様に是非とも読んでいただきたい一冊です。特に報道にたずさわっている方は是非是非読んで下さい。お願いします!これを読んでからというものニュースを見るたびにハラハラしております。

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    2015年02月03日
  • 現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義

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    2001年のアメリカ同時多発テロの翌年に著された同時に至るアラブ、特にエジプトの社会思想についてまとめた書。第三次中東戦争後のアラブの思想界の苦境と、著者自身、偏りがあることを認めつつも、特にイスラーム教における現代の終末論をまとめているのが特徴。少なくともアラブ世界の一面を示しているのだと思います。

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    2013年11月30日
  • 中東 危機の震源を読む(新潮選書)

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    本書は、中東政治を専門とし

    現在は、東京大学准教授である著者が

    現代中東政治について論じた著作です。


    主要な新聞、テレビニュースのほか

    学術誌や学会での発表、個人的な体験をもとに

    近年のの中東・イスラムの主要なトピックスについて

    評価・分析を加えます。


    取り上げられるのは

    イラン、イラクはもちろん

    イスラムへの対応にゆれるヨーロッパ諸国

    ソマリア、東南アジア、そして中国など

    日本のニュースでも取り上げられる話題なので、

    特に予備知識がなくても、読みにくさは感じません。


    また、わかりにくい国際法や政治学などの用語もほとんど登場せず

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    2010年06月27日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    サイクス・ピコ協定の本。
    中東がどうして平和にならないのか知りたくて最近これ系の本を読み漁ってる。
    宗教も民族もごちゃっと住んでる所を西欧列強が適当に国を取り合って国境を引いたからだとか、各宗派や部族を自国の有利になるようにけしかけて代理戦争をさせているというのがよく分かってきて暗澹とした気分になってます。
    サイクス・ピコ協定以外にもクルド人についてもちょっと書いてました。
    日本に入って来て欲しくないなぁ。
    自分の国を作ってください中東に。
    世界に平和なんて来ないのかな。
    この人たちはずっと紛争をやり続けるのかな。

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    2024年09月24日
  • イスラーム国の衝撃

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    かなり細かいところまで書かれており、難解だが、最終章の中東秩序の行方の章を読めば、頭の整理ができてこの本が読みやすくなる。
    むしろ、最終章を序章に持ってくるべきだったろう。

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    2024年08月27日
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ

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    各分野の碩学による評論集。

    ロシア−ウクライナ関係そのものではなく、今般のロシアの暴発を受けて欧州、米国、中国、中央アジア、中東等の対外政策がどうなるのかを考察する。

    紛争地である欧州にどうしても一つ目が向く中、周辺地域の動きが俯瞰できて興味深い。

    共通して言えるのは、今般の紛争が世界の変化を方向付けるのではなく、すでに多く起きつつあった変化を加速するということだろう。

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    2023年04月12日
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ

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    ウクライナ戦争について、各地域の国々の考えとそこにいたる歴史や背景(特にロシア及びアメリカとの関係)の考察が興味深かった。日本の報道だと、欧米各国の反応はよく報じられるが、中央アジアや中東等はあまり触れられないので、勉強になった。
    (誤字脱字等が多かったが、急ぎ出版したので仕方ないのかなと思う)

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    2023年01月25日
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ

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    ウクライナ戦争についてのジャーナリスト的な本はたくさんでていて、どれも役にたつものだが、これは一味違った視点を与えてくれるものであった。

    東京大学出版会からの本で、主として東大の教授などが中心となって執筆した論文集。

    ロシアの侵攻に対する国よって異なる考えがあることがさまざまな地域の専門家が冷静に分析してある。

    複数の視点をもつこと、価値観を共有することが難しい多極的な世界をどう理解するか、どう捉えるか。

    と言っても、価値ニュートラルな相対主義的な世界にとどまることは、今回の戦争は倫理的に許されないという感覚がある。

    そのあたりをしっかり考えるのに役にたつ。

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    2023年01月16日
  • 現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義

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    人はほぼほぼ脳の中に現実を抱えている事を面白可笑しく論じている点は良いなぁ〜
    ただ、筆者が西洋に絡め取られていて現状肯定的に現支配者を擁護する形にしかなってないのが残念。
    まぁでも、これから研究者として名を成そうと出版に漕ぎつけた本なんだから当たり前か?
    人は自分を生きながらせる使命を松任する為に利己となる訳だがひとりでは生きられないという類的な性質もあり、利他も求められる。
    人として生きるのはなかなかに難しい…

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    2022年01月20日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    イスラム国等、中東情勢の混迷は続いている今日ですが、これは何も今始まった出来事ではなく、過去から続く問題が同じような形のまま現れているに過ぎないということを理解すること。それによらなければ、今日の状況を理解することが出来ません。その状況に「サイクス=ピコ協定」がどんな役割をはたしているのか。それを理解するためには、負の側面だけではなく、これが上手く利用され、この地域の混迷を一時凍結したことも知る必要があります。本書では、中東地域に渡る複雑な情勢について、ポイントとなる点を章ごとに詳しくまとめられています。一つ一つを丁寧に整理することにより、何が起こっているのかの見取り図が、かなり明るく見渡せる

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    2021年06月27日
  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    前作に引き続き歴史的な背景を豊富に踏まえて、現在よく言われる「シーア派とスンニ派の対立」とは何かをわかりやすく解説しています。
    レバノンについても1章割かれていました。改めて、レバノンについてはほかの書籍なども読んでもっと知りたいと思いました。

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    2020年03月22日
  • イスラーム国の衝撃

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    9.11以降、アラブの春を経てどのようにイスラム過激派が振興し、イスラム国がカリフ制復活を宣言するに至ったのかをかなり詳しく描いている。
    新しい知識が沢山。

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    2019年05月21日
  • イスラーム国の衝撃

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    イスラーム国の衝撃というタイトルにあるように、何が衝撃だったかといえば、以下の部分に端的に描かれている。
    「『カリフ制が復活し自分がカリフである』と主張し、その主張が周囲から認められる人物が出現したこと、イラクとシリアの地方・辺境地帯に限定されるとはいえ、一定の支配地域を確保していることは衝撃的だった」(14頁)。
    さらに、「既存の国境を有名無実化して自由に往来することを可能にした点も、印象を強めた。既存の近代国家に挑戦し、一定の実効性を備えていると見られたからである」(14頁)とあるように彼らは「挑戦」をしたのだと、つまり新しい展望を切り開くかのように見えたこと。
    そのように見えたことが重要

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    2019年03月29日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    高校世界史で「帝国主義列強の理不尽の象徴」として学ぶサイクス・ピコ協定。旧オスマン帝国の領土を、そこに住む民族に全く配慮せず英仏(露)で線引きして植民地化。しかし著者はその捉え方は(間違っていないとしても)一面的と考える。

    まず以って、サイクス・ピコ協定はそのままの状態ではほとんど発効していない。著者は、むしろそのあとのローザンヌ条約、セーヴル条約への短期間の変遷の意味に着目する。詳細は略するが、要は列強も(自らのエゴは当然ありつつも)何はともあれ「つかの間の平穏」をのぞんだのであり、その時々に優勢だった勢力の主張を追認する形で次から次へと条約を改定していったのだ(次々と支配権を確立した少数

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    2020年11月16日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    サイクス=ピコ協定を銘打って、池内先生が書かれているので、面白そうと思い手に取りました。
    冒頭で池内先生が指摘されているように、サイクス=ピコ協定は大国による密約で悪でしかないもの、と私も思っていました。悪ではないわけではないですが、オスマン帝国崩壊に際して、1つの「解決策」として考えられたものだという視点を本書によって得られました。
    皮肉なことにアラブの春によって、再び中東が混迷する中、欧米が手をこまねいている間にロシアが進出してくるという、100年前と同じような構図ができている、というのもなるほど、というお話でした。
    国民国家を前提とした国境の線引き、というのはかなり破綻した考え方だと最近

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    2018年11月03日
  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    ネタバレ

    現在の中東情勢が「宗派主義化」されている状況を、イラン革命、イラク戦争、レバノン情勢の分析を通して説明されています。宗派に基づくコミュニティ間の対立が生じた経緯、現在のイラク、シリア情勢が「宗派対立」であると言い切れない複雑な構造を、コンパクトな本書の中で簡潔にまとめられていて、大変勉強になりました。

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    2018年09月17日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    「オスマン帝国なんてぶっ潰して、あいつらの領土を山分けしよう
    ぜ」とイギリスが持ち掛けて、「そりゃいい考えですな、旦那」と
    フランスが合意したのが1916年のサイクス=ピコ協定である。

    その協定の詳細な解説かと思いきや違った。私も現在の中東の
    混迷を考える時、この協定を頭に置いているのだが、著者はこの
    協定だけが本当に中央混迷の根源なのだろうかと疑問を提示し、
    中東の歴史や地政学、複雑に交錯した民族模様や国家間の関係
    を解説した書だった。

    サイクス=ピコ協定単独ではなく、セーブル条約・ローザンヌ条約
    の3つをセットとして考えなければならぬと著者は説く。もうここで
    躓きま

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    2017年08月23日