【感想・ネタバレ】中東 危機の震源を読む(新潮選書)のレビュー

あらすじ

オバマはイスラームと西洋近代の衝突を避けられるか? ジハード思想とテロの関係は? ドバイ経済は崩壊するか? パレスチナ、イラク、イラン……次々と火を噴く「危機」の深層を、最新情勢から歴史的背景まで掘り下げて解説する。注目の国際政治学者による、イスラーム世界と中東政治の行方を見通すための必読書。

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Posted by ブクログ

本書は、中東政治を専門とし

現在は、東京大学准教授である著者が

現代中東政治について論じた著作です。


主要な新聞、テレビニュースのほか

学術誌や学会での発表、個人的な体験をもとに

近年のの中東・イスラムの主要なトピックスについて

評価・分析を加えます。


取り上げられるのは

イラン、イラクはもちろん

イスラムへの対応にゆれるヨーロッパ諸国

ソマリア、東南アジア、そして中国など

日本のニュースでも取り上げられる話題なので、

特に予備知識がなくても、読みにくさは感じません。


また、わかりにくい国際法や政治学などの用語もほとんど登場せず

具体的なエピソード中心に論じられることが、読みやすさを増します。


欧米における多文化主義・寛容と価値観の闘争

アフマディネジャドの挑発的な言説の真意

欧米とイスラムに対する、日本ならではの戦略

など、どの記述も興味深かったのですが、

著者がモスクを訪れた際に肌で感じた空気を皮切りに、

フィリピンの現政権とイスラム社会の緊張を論じた箇所や

ゲーツ国防長官の『ミネルヴァ・コンソーシア』を取り上げた箇所は

とりわけ印象深く、より深く知りたいと感じました。


書かれた順に従って読むのもよいでしょうが

個人的には、何気なく開いたページをパラパラと読む方が

いっそう長く、深く付き合えるように思います。


幅広いトピックスを論じながらも

統一的な評価・分析を知ることができる本書。


アルジャジーラ等をチェックしている方はもちろん、

国際問題等に関心がある方には、強くおススメしたい著作です☆☆

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2010年06月27日

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