【感想・ネタバレ】現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義のレビュー

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Posted by ブクログ

2001年のアメリカ同時多発テロの翌年に著された同時に至るアラブ、特にエジプトの社会思想についてまとめた書。第三次中東戦争後のアラブの思想界の苦境と、著者自身、偏りがあることを認めつつも、特にイスラーム教における現代の終末論をまとめているのが特徴。少なくともアラブ世界の一面を示しているのだと思います

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2013年11月30日

Posted by ブクログ

人はほぼほぼ脳の中に現実を抱えている事を面白可笑しく論じている点は良いなぁ〜
ただ、筆者が西洋に絡め取られていて現状肯定的に現支配者を擁護する形にしかなってないのが残念。
まぁでも、これから研究者として名を成そうと出版に漕ぎつけた本なんだから当たり前か?
人は自分を生きながらせる使命を松任する為に利己となる訳だがひとりでは生きられないという類的な性質もあり、利他も求められる。
人として生きるのはなかなかに難しい…

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2022年01月20日

Posted by ブクログ

出口治明氏の著作の中で勧められていたことから興味を持ち、読んでみた。

アラブ社会の根っこにある思想を、アラブ世界の著作物等を読み解く中で明らかにしていく。

イスラーム主義=楽観的(理想的社会と現実のギャップを埋める必要性を認めない)で排外的(イスラーム的なものと外来的なものを区別し、後者にアラブ世界の問題点を一方的に帰責する)なもの。
これらは、『コーラン』や『ハディース集』自体には、社会や制度に関する規範が具体的に示されていない一方、イスラーム教徒は、「イスラーム=教徒の全生活を規定する包括的システム」であると信じており、多様な要素を「イスラーム的」なものとして構想できることから生じている。

本書が出版されたのは2002年であり、イラク戦争、アラブの春、ISILの台頭等には当然触れられていないが、現代のアラブ思想(前記イスラーム主義や、イスラーム教がもとより胚胎し、現代でも流行する終末論)が抱える問題点が、これらの事態にも深く関係していることがよく分かる。

アラブ・イスラーム入門としておすすめ。
第9刷にしてわずかながら句読点にミスがあったのは気になったが、難解な記述なども無く、とても読みやすい文章。

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2016年01月31日

Posted by ブクログ

アラブ社会の現代史を簡単にまとめながら、二つに分かれていった思想の潮流を読み解く。
非常に読みやすく、わかりやすかった。
こうして二つに分かれた思想は理どちらも行き詰まり、終末論や陰謀史観が出現する。
終末思想が人々の心をとらえたり、求められたりするようになった、要因を思想史として見る上でわかりやすく、興味深かった。
しかし、この閉塞感や袋小路に陥った理由を思想の問題で言い表すのは、限界があるように思えてならない。
閉塞的になる原因は、エジプト庶民の多くが感じている経済的事情にあるように思える。つまり一向に良くならない雇用問題や貧富の格差の増大などである。
それらはこの本が出てから10年たった今でも、根本的には変わっていないように思える。

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2013年04月22日

Posted by ブクログ

イスラム原理主義が生まれる過程はわかりやすく、
イスラム社会とアメリカの対立を理解する上で、役立つ。
現代でも「終末論」が絶大な影響力を持つことに驚きを感じたが、イスラム教の特性やノストラダムスの大予言を思い起こせば、納得できる。

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2010年12月20日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
なぜ今、終末論なのか。
なぜ「イスラームが解決」なのか。
学術書からヒットソングまで渉猟し、苦難の歴史を見直しながら描く「アラブ世界」の現在。

[ 目次 ]
序 アラブ社会の現在(狭まる世界認識 悪化する世相)
第1部 アラブの苦境(「一九六七」の衝撃―社会思想の分極化 「人民闘争」論の隆盛 パレスチナへの視線 ほか)
第2部 高まる終末意識(終末論の流行 セム的一神教と終末論 『コーラン』の終末論 ほか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年11月23日

Posted by ブクログ

著者の別の書籍が好きだったので。9・11事件直後の本のため内容は若干古いが、充分今にも通ずる。アラブ現代史の原点と言われる1967年6月に起きた第三次中東戦争をどうアラブの民が受け止めたか説明している。大まかに二つの流れがあり、一つがマルクス主義に基づく人民闘争論。提唱者は先の戦争の敗北をプチブルジョア政権に求め、プロレタリアート人民の闘争を呼びかけた。この動きはパレスチナ解放運動にも発展した後、世界各国の革命の失敗により自滅したが、イスラエルを仮想敵とした陰謀論として形を変え禍根は残った。もう一つの流れが宗教信仰回帰主義。「イスラームこそ解決だ」と提唱した楽観的なイスラーム主義が、後のイスラーム原理主義の台頭を促したのではないかと作者は言う。カラダーウィーによって提示されたあくまで諸々の問題が解決した状態の理想論、結果は提示されるが手段は一切明示されない楽観主義がイスラームのパラドックスを現しており非常に面白かった。これらの流れが高まる終末意識・陰謀史観・オカルト思想に繋がったらしいが、現在はどうなっているのか気になる限り。

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2017年01月07日

Posted by ブクログ

面白いは面白い。内容は詳細。
だいたい流れも掴めたが、もう少し分析対象の期間を長くして、アラブの思想を概観できると良かった。

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2013年06月01日

Posted by ブクログ

イスラムの現在おかれている思想的現状を
終末論にとり憑かれたものとして描いてしまった本。

筆者の、「こんな風に書きたくないんだけどさぁ」っていう
泣き言というか、うめきが聞こえてくる。

現実はどうか知らない。
これは興味深い資料となるけど、ちょっとこの書き方では
紙幅の問題があるとしても、現実をこれで知ったつもりにはなれない。

まぁ、そう思わせてくれるのが、筆者のうめきなんだけれどもね。

それにしても、死者が這い出してくる終末の刻は
確かに今の全体的なネットワークの包囲網を思わせるところがある。
(これは勝手な意見だけれど)
富めるほど終末が近づくと言う。
そして、獣が現れるというのなら、まぁ、すでに僕らは動物化してるらしいし
終末の刻は通り過ぎてしまったのかなと思うんですけれど、どうでしょう。

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2011年02月10日

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