池内恵のレビュー一覧

  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    イスラムと言えばこの人、池内恵さんの著書。
    シーア派とスンニ派の違いが何度見ても覚えられなくて手に取った。宗派の成り立ちから丁寧に書かれていてとても分かりやすかった。
    国を越えて宗派の違いで集まり、中東の国や欧米も自国の有利な政権を確立させる為に手を出すのでなかなか平和が訪れない。
    誰しも平和が良いと思うのだけど、主義主張が異なると仲良くという訳にもいかないのだろうか。出口が見えなくて暗澹とした気持ちにもなった。
    今までイスラム世界の事は他人事だったのだがこれから移民として日本にもイスラムがやってくるのかなと思う。もう少しイスラム世界について解像度をあげたい。

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    2024年09月10日
  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    サイクス=ピコ協定の呪縛と本書の2冊で、今回のパレスチナ危機事態を少し俯瞰して見ることができるようになった気がします。
    イラク戦争におけるアメリカの戦略的失敗についてのくだりは、正に目からウロコの冷徹な解説でした。

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    2024年01月04日
  • ユーラシアの自画像 「米中対立/新冷戦」論の死角

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    米中対立が枠組みのようになり、例えばグローバルサウスなど多様な主体があるにも関わらず主語が米中で語られるのはおかしいのではないかという問題意識を持った多くの研究者による編書。中国やロシアの研究者はもちろん、朝鮮半島や東南アジア諸国の専門家もそれぞれの章を書いている。最新の同時代的研究として興味深かった。

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    2023年12月14日
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ

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    ロシア・ウクライナ戦争について7人の研究者の視点から冷静に分析した論文集。
    単純な善悪二元論には収まらない世界の冷徹な現実をまざまざな角度から示してくれる好著。


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    2022年08月21日
  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    ほとんどの日本人と同じく、イスラム教についての知識を体系的に学んだこともない自分にとって、入門となる一冊。「スンニ派」と「シーア派」という言葉自体は聞いたことがあってもそもそもその意味すら知らなかったが、著者の丁寧な解説によって、少しずつ理解が深まっていくようにできている。

    中東で現在進行形で起こっている争いについて、理解するための基本事項を教えてくれるとと同時に、より深く勉強をしたくなるようにうまく書かれている、よい教科書だと思う。

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    2019年07月18日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    ★難しさばかりを痛感★整然とした国境線にみえるように、中東は外部勢力による人為的なルールで縛られている。「少数民族」とは自然に生まれる民族ではない。多数派が自らと異なるものと決めて特定の政策を作るから誕生する。そして少数民族が独立すると新たな少数民族を生み出す。民族はどこまでも分裂していくだけに解決は簡単ではない。悲しいことに中東に解決できる勢力はないが、解決策に対する拒否権を持つものは多い。

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    2019年06月30日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛。池内恵先生の著書。現代の中東問題の根源は遥か昔にイギリスとフランスとロシアによって結ばれた秘密協定にある。中東問題、イスラム問題、イスラム国問題は多くの人にとって理解するのが難しい問題だけれど、本書を通じてこのような問題が発生している歴史的な背景を学べます。

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    2018年12月13日
  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    シーア派とスンニ派の宗派対立という図式について、皮相的な見方であるとして、教義としての対立でなく、あくまで利害対立であることを説明している。宗教が生活に根差してない日本人には想像できないが、日本人から見ると、宗派を教義の違いからの衝突ではなく、むしら政治や会社で見られる派閥の対立と見た方がしっくりくる感じがした。

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    2018年10月18日
  • 【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派(新潮選書)

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    中東の情勢において、イスラムに限らず宗派が人々を分断する枠組として利用されてきた経過を、わかりやすく教えてくれた。

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    2018年09月15日
  • イスラーム国の衝撃

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    ISは一見、信者からすると目から鱗のような新しいことを言っているのだと思っていたが「新しい思想を提示することへの無関心こそがイスラーム国の特徴」とあって、今まで知らなかった事実を本書に教えられた。
    ムスリムが一般的に信じているか、あるいは強く反対はできない基本的な教義体系から要素を援用している。

    ISの特徴はメディア戦略。ビデオにおいてはハリウッド並みの技術を持つ。映像における構成もしっかりしており、人々が目をそらさず、思わず見てしまうような演技、演出をしている。
    表立って欧米人を使うことで話題性を作っている。組織が大きく見えがち、噂されがちのため、本当の実態はもっと小さい可能性がある。

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    2018年04月14日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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     現在もシリアを中心とした中東エリアは戦火と混乱の中にあり、悲惨な状況が終わる気配を見せていない。
     この地域の争いの大元の原因は、オスマン帝国の衰退と解体に見いだせるが、そのときのサイクスピコ協定が諸悪の根源であるとの世の評判は的確ではない、と作者は述べている。
     その理由をその後の歴史をたどりながら紹介説明していて、本書の題名だとそこが主眼に思えるが、実はその後の地域の状況や現在の考察が主体になっている。そして、現在の様相はオスマン帝国が崩壊した頃に状況が似てきたのではないかと心配し、大国の影響力など大きな違いもあるが、今後の激変を予想というか懸念している。
     本書は、なんで中東はいつも戦

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    2017年04月01日
  • イスラーム国の衝撃

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    イスラーム国(IS)について解説する一冊です。なぜ中東の情勢が不安定で、この地域でイスラーム国が台頭したのか?本書を読むとその背景がだんだんと浮き上がってきます。イラクを筆頭に米国の武力によって民主主義が破壊されてしまったという事実が中東地域をさらなる混乱に陥れたのではないか?そう思わずにはいられない一冊です。

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    2017年01月03日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    [解決策にして病巣]合意の形成から百年を迎え、日本の一部メディアでも改めて取りあげられることがあったサイクス=ピコ協定。外部から中東地図を描いたとして批判されることが多々あるこの協定の形成経緯やその他の条約に触れながら、現在の中東政治を高所から俯瞰した作品です。著者は、中東研究の第一人者と評しても過言ではなくなってきた池内恵。


    「複雑だ」と評される中東政治を、その複雑さをそのままにゴロンと読者に突きつけてきた作品。決して読みやすい読み物ではないですが、中東政治や幅広く国際政治に興味のある方にはぜひオススメ。明快かつ安易な解決策など、現在の中東には存在しないということが痛感できる一冊です。

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    2016年09月06日
  • 【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)

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    アラビアのロレンスから、「イスラム国」そして英国のEU離脱までが、頭の中でスーッとつながる。快読の一冊。

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    2016年07月01日
  • イスラーム国の衝撃

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    発行から1年以上経ち、ISを巡ってはその間にも色々なことが起きているが、本書は中東の「今」を知る最初の一冊として最適であると思う。抑制の効いた文章が、著者の地に足のついた取り組みをよく表している。

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    2016年05月05日
  • イスラーム国の衝撃

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    2014年6月以降、イラクとシリアの広範な領域を実効支配し、単なる「テロ組織」を超越した存在になろうとしているイスラーム国について、わかりやすく、論旨明快に叙述。

    イスラーム国の来歴(アル=カーイダ「ブランド」からの発展)、思想(ジハード論=イスラームの基本的教義の援用。異教徒や、ジハードを阻害するイスラーム支配者との戦闘を、一般的義務とし、高い価値を見出す)、台頭の理由(「アラブの春」による辺境統治の弛緩、イラク国内における中央政府(シーア派)とスンナ派勢力の関係悪化、シリアの混乱、巧みなメディア戦略etc.)、今後の展望(イスラーム国を模倣したカリフ国宣言や近代国家の分裂の可能性、イラン

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    2016年03月10日
  • イスラーム国の衝撃

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     うちの両親はカトリックで、毎週必ずではないにしても日曜日は教会でミサを受けるのが幼少期の常識だった。長じて、科学的思考に親和性を持ち、SFなんか読みふけっていた少年にとって信仰の相対化はたやすいことであったが、それに先だって子供心にまず疑問に思ったのは、ミサのあとの集会で「布教しましょう」とか言っているのに、両親がちっとも布教しないことだった。
     教義を守ってねえじゃねえか。ということだが、では厳格に守るとどういうことになるのか、というと、原理主義となるのである。

     本書によると、「イスラーム国」は何ら新しいコンセプトは出しておらず、ムハンマド時代に確定された教義、つまり世界のイスラム教徒

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    2016年02月18日
  • イスラーム国の衝撃

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    著者の専門とするイスラム政治思想史の知識に立脚したイスラム国の分析は説得力があった。イスラムの専門家といわれるものが、往々にして露骨にアンチ西欧に立脚して立論にしているのに対して、誠実な印象を持った。

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    2016年01月14日
  • イスラーム国の衝撃

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    2014年に日本人がシリアで拉致されて斬首され、その衝撃的な映像で存在を世界に知らしめた「イスラム国」の正体を書いた本。
    欧州では、イスラム国の存在は日本にいるよりずっと身近であるが、日本に住む著者がここまで書くのはすごいと思う。
    アルカイダと何が違うのか、など謎の部分を丁寧に簡潔な文章で説明してある。中東情勢を知るのに一番分かりやすい本ではないだろうか。
    まとめると、イスラム国は2011年の「アラブの春」により中東諸国の政治基盤が緩んだ環境で、ジハードを呼びかける過激派が、シリアとイラクの無統治地区で勢力を広げて発生したものらしい。また、代表者がメディアで宣伝をしたアルカイダと違い、地下組織

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    2016年01月13日
  • イスラーム国の衝撃

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    イスラーム国関連の概要を知ることができた、ような気がする。巻末の関連書等も読んでみたい。
    今「つけ」が回ってきているのだなと思う。

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    2015年12月23日