池内恵のレビュー一覧
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イスラムと言えばこの人、池内恵さんの著書。
シーア派とスンニ派の違いが何度見ても覚えられなくて手に取った。宗派の成り立ちから丁寧に書かれていてとても分かりやすかった。
国を越えて宗派の違いで集まり、中東の国や欧米も自国の有利な政権を確立させる為に手を出すのでなかなか平和が訪れない。
誰しも平和が良いと思うのだけど、主義主張が異なると仲良くという訳にもいかないのだろうか。出口が見えなくて暗澹とした気持ちにもなった。
今までイスラム世界の事は他人事だったのだがこれから移民として日本にもイスラムがやってくるのかなと思う。もう少しイスラム世界について解像度をあげたい。 -
Posted by ブクログ
ISは一見、信者からすると目から鱗のような新しいことを言っているのだと思っていたが「新しい思想を提示することへの無関心こそがイスラーム国の特徴」とあって、今まで知らなかった事実を本書に教えられた。
ムスリムが一般的に信じているか、あるいは強く反対はできない基本的な教義体系から要素を援用している。
ISの特徴はメディア戦略。ビデオにおいてはハリウッド並みの技術を持つ。映像における構成もしっかりしており、人々が目をそらさず、思わず見てしまうような演技、演出をしている。
表立って欧米人を使うことで話題性を作っている。組織が大きく見えがち、噂されがちのため、本当の実態はもっと小さい可能性がある。 -
Posted by ブクログ
現在もシリアを中心とした中東エリアは戦火と混乱の中にあり、悲惨な状況が終わる気配を見せていない。
この地域の争いの大元の原因は、オスマン帝国の衰退と解体に見いだせるが、そのときのサイクスピコ協定が諸悪の根源であるとの世の評判は的確ではない、と作者は述べている。
その理由をその後の歴史をたどりながら紹介説明していて、本書の題名だとそこが主眼に思えるが、実はその後の地域の状況や現在の考察が主体になっている。そして、現在の様相はオスマン帝国が崩壊した頃に状況が似てきたのではないかと心配し、大国の影響力など大きな違いもあるが、今後の激変を予想というか懸念している。
本書は、なんで中東はいつも戦 -
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[解決策にして病巣]合意の形成から百年を迎え、日本の一部メディアでも改めて取りあげられることがあったサイクス=ピコ協定。外部から中東地図を描いたとして批判されることが多々あるこの協定の形成経緯やその他の条約に触れながら、現在の中東政治を高所から俯瞰した作品です。著者は、中東研究の第一人者と評しても過言ではなくなってきた池内恵。
「複雑だ」と評される中東政治を、その複雑さをそのままにゴロンと読者に突きつけてきた作品。決して読みやすい読み物ではないですが、中東政治や幅広く国際政治に興味のある方にはぜひオススメ。明快かつ安易な解決策など、現在の中東には存在しないということが痛感できる一冊です。
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2014年6月以降、イラクとシリアの広範な領域を実効支配し、単なる「テロ組織」を超越した存在になろうとしているイスラーム国について、わかりやすく、論旨明快に叙述。
イスラーム国の来歴(アル=カーイダ「ブランド」からの発展)、思想(ジハード論=イスラームの基本的教義の援用。異教徒や、ジハードを阻害するイスラーム支配者との戦闘を、一般的義務とし、高い価値を見出す)、台頭の理由(「アラブの春」による辺境統治の弛緩、イラク国内における中央政府(シーア派)とスンナ派勢力の関係悪化、シリアの混乱、巧みなメディア戦略etc.)、今後の展望(イスラーム国を模倣したカリフ国宣言や近代国家の分裂の可能性、イラン -
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うちの両親はカトリックで、毎週必ずではないにしても日曜日は教会でミサを受けるのが幼少期の常識だった。長じて、科学的思考に親和性を持ち、SFなんか読みふけっていた少年にとって信仰の相対化はたやすいことであったが、それに先だって子供心にまず疑問に思ったのは、ミサのあとの集会で「布教しましょう」とか言っているのに、両親がちっとも布教しないことだった。
教義を守ってねえじゃねえか。ということだが、では厳格に守るとどういうことになるのか、というと、原理主義となるのである。
本書によると、「イスラーム国」は何ら新しいコンセプトは出しておらず、ムハンマド時代に確定された教義、つまり世界のイスラム教徒 -
Posted by ブクログ
2014年に日本人がシリアで拉致されて斬首され、その衝撃的な映像で存在を世界に知らしめた「イスラム国」の正体を書いた本。
欧州では、イスラム国の存在は日本にいるよりずっと身近であるが、日本に住む著者がここまで書くのはすごいと思う。
アルカイダと何が違うのか、など謎の部分を丁寧に簡潔な文章で説明してある。中東情勢を知るのに一番分かりやすい本ではないだろうか。
まとめると、イスラム国は2011年の「アラブの春」により中東諸国の政治基盤が緩んだ環境で、ジハードを呼びかける過激派が、シリアとイラクの無統治地区で勢力を広げて発生したものらしい。また、代表者がメディアで宣伝をしたアルカイダと違い、地下組織