羽田正のレビュー一覧
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【いずれにせよ大事なことは、まず同時代の存在として「イスラーム世界」という空間概念が創造され、その歴史は後から作られたということである。まず枠組みがあり、その枠組みに合うような歴史記述が求められたのである】(文中より引用)
普通に使われることに違和感を覚えることも少なくなった「イスラーム世界」という用語。この言葉の成り立ちや使用法を検討することで、日本や欧米の社会がどのような認識のレンズを通してイスラーム教を見ていたかを研究した作品です。著者は、『冒険商人シャルダン』や『新しい世界史へ』などの羽田正。
当たり前に使っている概念の再探訪といった趣の一冊。歴史を巡る歴史を目にしているかのような感覚になり、いわゆる「歴史書」とはまた異なる読後感を味わうことができました。
少し前の著作ですが古さを感じませんでした☆5つ -
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【日本語での「日本史」とは、ある一定の空間に生きた人々(日本人)の過去を言語や文化も含めて通時代的に整理してたどることを意味する。同様のスタイルを「イラン史」に求めることは非常に難しい】(文中より引用)
近代国家としてのイラン、そしてそこに至るまでのイラン・中央アジア地域の歴史を概括した作品。編者は、『新しい世界史へ』などの羽田正。
教科書的にイランの歴史について考えることができる一冊。そもそも「イランの歴史とはどこからどこまでを指すか」という点から解説してくれるため、認識を形作る上での補助線も丁寧に引いてくれている印象を受けました。
慣れないカタカナが多いですが☆5つ -
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ネタバレなんでポルトガル人日本に来た?何取引した?なんでそれ取引した?など、細かいところまで、痒いところまで手が届くような本。わかりやすい。
【読書目的】
- ポルトガル・オランダが日本にやってきた理由を理解する
- 主な貿易品と貿易の利益に関して理解する
【まとめ】
- ポルトガル・オランダが日本にやってきた理由
- 大航海時代
- 胡椒・香辛料のニーズ
- 肉の保存・味付け、医薬品としてのニーズ
- 中間業者と関税がかかっており、価格が高く、直接取引したかった
- 技術革新
- 羅針盤・造船技術
- 宗教改革
- カトリックの権威復活と拡大
- 黄金の国・ジパング伝説
- by マルコポーロ「世界の記述(東方見聞録)」
- ポルトガルが先陣を切った理由(by ウォーラーステイン)
- 大西洋岸にあり、アフリカに隣接しているという地理的条件
- すでに遠距離貿易の経験を持っていたこと
- 資本の調達が容易であったこと
(ジェノヴァ人がヴェネツィアに対抗するため、ポルトガルに投資しており、リスボンで活躍していた商人の多くはジェノヴァ人であった)、
- 他国が内乱に明け暮れていたのにポルトガルだけは平和を享受し、企業家が繁栄しうる環境があったこと
- オランダが台頭した理由:
- ポルトガルの衰退
- 香辛料の入手ルートが増え、貿易の旨みが減った。
- 港の維持費が馬鹿にならない。
- 徐々に、個人貿易など広がる。管理できなくなる。
- オランダの台頭
- ベルギーのアントワープの商人、スペイン王に対抗してアムスに移る。
- 定湿地帯で農業適さないので、漁業・海運業してた
- 中には、ポルトガルのリスボンから仕入れた香辛料をバルト海沿岸に輸送するものも
- オランダとハプスブルグが戦争→イベリア半島の港町に入れなくなった。
- イギリスの私掠船のせい(イギリスvsスペインポルトガル)で、胡椒の価格高騰。
- リスボンで買付できない(他のカトリック系が独占的に買いがち)
- そして、高度な航海技術と資本が結びついたオランダ→自分たちで東インドへ! -
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表題に違わぬ名著だと思う。東インド会社の成立前史から、その成立、隆盛そして衰退まで、各地域との関わりにめを配らせつつ丁寧にかつわかりやすく記述されている。個人的に勉強になったのは、日本史で言うと朱印船貿易の目的や、正徳新例後の貿易の衰退と国産化の進展。世界史で言うと、東インド会社の運んだ綿織物がイギリス社会を刺激し産業革命をうみ、それがアダムスミスの自由貿易論などにだいひょうされるような東インド会社の衰退につながった、という点であろうか。また、フランス東インド会社とイギリス東インド会社のインドにおける角逐や、インドの領主となったことでこうむった不利益などはなるほどと感じた。オランダ東インド会社が成立時に多くの出資者をえてロケットスタートしたことなども改めてしれた。「海の帝国」と「陸の帝国」の対比で、ムガル帝国がヨーロッパに海岸をつばまれルのを嫌がらなかったのに対し、東アジアは「政治の海」というのはなるほどとおもった。
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【地球社会の世界史は、世界がひとつであることを前提として構想され、それを読むことによって、人々に「地球市民」という新たな帰属意識を与えてくれるはずのものだからである。】(文中より引用)
「ヨーロッパ」中心史観や時系列的記述,さらには国家を主眼に置いた方法など,多くの問題点を抱えると著者が指摘する世界史を,新たな段階へ進めさせるための方策について考えた一冊。著者は、東京大学副学長を務めた羽田正。
本書が新たな世界史を丸々提示しているわけではないため,議論のとば口を考える上で有用な作品。歴史が持つ積極的な意義を改めて見つめ直しながら,新たな世界観の構築にまで思いを至らせることができるかと思います。
グローバル化に関するここ10年弱の価値観の変遷を感じ取ることもできます☆5つ -
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東インド会社は昔から気になってたんだよね!
とはいえ、英国東インド会社しか念頭になかったけど(^^;
オランダやフランスにも東インド会社があったのね。
オランダやフランスが『も』東洋にこれほど…と思いかけたところで、
ああ、『蘭領東インド』ってのがあったなあ(日本が攻め込んだ
『仏領インドシナ』ってのもあったなあ(日本が進駐した
インド洋にはまだ存在しなかった『国旗』を掲げた(主権国家という前提)の欧州列強の商人と、『国籍』という概念がまだ無い(だからこそ、外から来た人でも、王に貢献すれば褒美と役職がもらえる)ペルシャ、インドの王朝、港湾都市諸侯
こうした異文化というか、設定の異なる両者の接触の歴史である。
そして、インド洋とは又異なる『政治の海』の主である、明帝国や徳川政権と、欧州列強の接触。
「それでこうなったのか」「だからこうなってるのか」と同時に、「ちょっとちがったらどうなったんだろうなあ」と思いながら読んだ。
「茶の世界史」、「大英帝国という経験」と続けて読んだのは大正解! -
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東京大学学術俯瞰講義2009を聴講して、羽田氏のことが
気になり、手に取った一冊。
日本史、特に幕末〜明治成立期への興味が強かったため、
世界史は全く勉強してません。
ただ、ふとしたことがきっかけで、現在の日本と世界の関係に
興味を持ち、本を手に取ったりしてみるものの、サッパリ
分からず(理解できず)、数年悩み続けていたとき。
偶然、iTunesで羽田氏の講義を聴講し、「世界史」
「世界史を理解する」ことに対する考え方が変わった気が
します。
まず、羽田氏が指摘する「ヨーロッパ中心視観」。
「日本人」として「日本史を学ぶ」ことによる「日本人への
意識の帰属」といおうか。
「欧米」が創っている(創り出した?)歴史が、潜在的に
意識の中に刷り込まれているのではないか、と感じた。
まだ、全てを読み終えているわけではないけれど、講義を聴講
して、氏の著書を読む過程での感想は、こんな感じです。 -
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世界史のリーダー35人を取り上げ、リーダーに必要な「決断力」「洞察力」「育成力」「人間力」「健康力」の5つを、エピソードから解説した一冊。
このような書籍は、過去にもあったような気がします。成功・失敗を問わず、多くの歴史的偉人が紹介されていますので、歴史好きなかたには楽しく読めると思います。一方でリーダーシップ論として体系化されているわけではないので、歴史が好きでリーダーシップに興味のあるかたへの参考書といった感じでしょうか。カエサルやナポレオンなど、よく取り上げられる人物から、ナイチンゲールやヘレン・ケラーなど人選も興味深いです。
個人的には、この内容よりも、著者が考える歴史の学ぶ必要性への考え方に共感しました。その人物が過去に、どういう場面でどういう決断をした結果どうなったのか、追体験できるわけですので、自分だったらどうすべきかを考えることは最高の教材になると思います。この姿勢で今後も歴史に触れていきたいと思っています。
▼「人を動かす仕事」に正解はない。
成果を出すためには、自分のなかに「判断の軸」となるものを持つ必要がある。その軸を与えてくれたのが「歴史」
▼重要なのは、「そのリーダーがどのような状況で、どのような判断を下したか」つまり、「人間の思考」にこそ学ぶ価値がある
▼歴史を「思考と判断の物語」として読み解く、それが、リーダーに求められる「判断軸」のよりどころになる
▼歴史とは人類が数千年にわたって積み重ねてきた、「決断(失敗と成功)」の集積地
▼歴史に学ぶことは、「正解を知る」ことではない。「正解のない時代に、自分なりの最適解をどう導くか」を学ぶこと
▼大きな目標を多くの人が追い求めるためには
①大きすぎる目標は、自分には関係のないことだと感じられがち。それを、日々の業務や行動にひもづけることで、一人ひとりが目標達成に貢献している実感を持てるようにする
②メンバーが安心して意見を述べることができ、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境をつくることで、組織全体のエンゲージメント(働きがい)が高まり、目標達成への推進力となる
▼新規事業を成功に導くためのリーダーの姿勢
①リーダー自身が現場に入り、業界構造・顧客特性・業務フローを肌で感じながら学ぶ姿勢が不可欠
②現場のリアリティと経営の視点をつなぎ、組織を導く「羅針盤」としてのリーダーシップが求められる
▼リーダーの心構えと伝えるべき姿勢
①リーダー自身が社会規範、組織のルール、そして人間関係において誠実であることが基本
②すべてを言葉で説明し、全員の理解を得ることは困難だからこそ、リーダーの「正しさ」と「一貫した姿勢」が、ビジョンを自然に伝える力になる
③強い信念を持つメンバーが周囲と良い関係を築けるよう、リーダーが橋渡し役となる
④メンバーが奮起できるようにリーダーは「期待」としてギャップを丁寧に伝えていく
▼人材を採用する際に大切にしたいポイント
①重要なのは「この人がこれから何を成し遂げようとしているか」という未来志向で人材を見る視点
②採用時には仕事のスキルだけでなく、「物事の捉え方」「大事にしている信念」などを丁寧に確認する
③優れた人材とは「考えられて」「動ける人」、どちらか一方だけでは、組織の変化に対応するには不十分
▼リーダーが自分を見つめるための3つの鏡
①銅の鏡ー自分の顔に「安心感」と「前向きさ」があるかを日々チェック
②歴史の鏡ー都合のいい物語ではなく、正直な過去から教訓を得る
③人の鏡ー反射的に否定せず、まずは「ありがとう」のひと言を
▼勤労、勤勉なリーダーとなるための3条件
①「なぜ自分がこの道を歩むのか」という強い動機を持つことで、持続的なエネルギーが生まれる
②リーダーは”時間”ではなく”熱量”で勝負する存在であり、没頭できる状態を自らつくり出すことが信頼につながる
③「自分にはまだ足りていないものがある」という謙虚さが、成長を支える原動力になる
▼出世する人の共通点
①今の成果にあぐらをかかず、より良いアウトプットを出すために、日々自分を磨き続けるう姿勢がある
②単なる指示待ちではなく指示の背景や意図をくみとり、学びへと昇華させている
③「やったことがない」を言い訳にせず、自ら進んで新しい領域に飛び込む
<目次>
第1章 【決断力】迷わず行動する力
第2章 【洞察力】本質を見抜く力
第3章 【育成力】チーム・組織を育む力
第4章 【人間力】周囲の信頼を得る力
第5章 【健康力】リーダーの健康管理力 -
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古くは秦の始皇帝から、直近ではエリザベス2世まで、教訓とすべき興味深いエピソードがふんだんに盛り込まれている。
自分が知らなかったエピソードも多く、とても勉強になった。
例えばナイチンゲールでいえば、クリミア半島での看護が有名ではあるが、治療環境を改善するために統計学的なアプローチを取っていた、ということは初耳だった(自分が無学なだけかもしれないが)。
また、有名なところでいくと、ヘレン・ケラーの人生が変わった瞬間の話などは、やはり何度触れても胸が熱くなる。
今現在何らかのリーダーとして活躍している人、今後リーダーとして活躍したい人の必読書の一つと言ってもいいだろう。 -
Posted by ブクログ
本書は、主に日本での「世界史」の語られ方、枠組みについて、今や常識となって学校教科にも根付いている方法を批判し、新しい枠組みで世界史を捉え直し、語っていく事を提唱した本。
即ち、副題にもある通り、「人々に「地球市民」という新たな帰属意識を与えてくれる」ようなものとして、世界史は在るべきであると主張する。
何故なら、世界史は単に学問世界における研究の在り方に留まらず、我々人類の来し方を説明し、今の世界がこうあるのはそのためであるという「色眼鏡」を我々にかける性質のものだからである。
世界がますます一体化し、人類が解決しなければならない諸課題が地球規模のものになるなか、我々の意識が「国家」「国民」から抜け出せないのは、ひとえに世界史の語りが影響しているから、と著者は解く。
日本における世界史の枠組みは概ね出来上がっており、高校の教育課程で習う世界史の枠組み・ストーリーがまさにそれである。
それは概ね以下のような枠組みである。
「世界各地に複数の地域世界が存在し、それらが変容、再編されながら互いに結びつきを強め、そのうちのひとつであるヨーロッパ世界の主導によって世界が一体化、構造化する」
何せ我々にとってはこれが学校で習ってきた「世界の来し方」だし、何ら違和感もない。
世界史を通史的に扱った書籍の多くは、概ねこの枠組みに沿っている。
その他にも世界史本といえば、各国史や地域史(中央ユーラシアの歴史、アフリカの歴史等)、海域史(大西洋の歴史など)に、モノに着目したもの(砂糖の歴史、コーヒーの歴史等)、その他かなりバラエティに富んだ切り口の書籍が多数出版されているが、それら全て、メインシナリオである「世界史」を共通の常識・前提として描かれていると言う(言われてみると確かにそうだ)。
その「世界史」の何が問題か。それは
①現行の世界史は、日本人の世界史である。
②現行の世界史は、自と他の区別や違いを強調する。
③現行の世界史は、ヨーロッパ中心史観から自由ではない。
3点であると喝破する。
そしてそれらに対応し、3つの処方を提案して本書を締めている。
本書自体は「新しい世界史」そのものが記述されているのではなく、これから目指していく姿を提唱したものだ。
実際、本書の出版は2011年だが、それ以降著者である羽田氏は多くの研究者と共同で、精力的に新しい世界史を標榜したシリーズ物の書籍をものしている認識だ。
本書を読んで面白かったのは、
・我々が常識としている世界史の枠組みをメタ認知できる。
・既存の多様な世界史研究の位置づけが明確になる。
といった点と、それに加え興味深かったのは、
「環境史的な視点を重視するなら(中略)人類誕生以前の地球の歴史を整理して示すことが是非必要だろう。(中略)137億年の宇宙史を問題にしなければならない」と考察しながらも、それは歴史家の手に余る仕事だと棄却している点。
ご存じの通り、昨今では「ホモサピエンス史」や「地球46億年史」「宇宙137億年史」といった一般向け書籍が多数出版され、多く読まれている。
この点については世の中が当時の著者の読みを追い越したと言える。
一方で、現実の世界はどうだろうか。
これまた言うまでもなく、世界にはいまナショナリズム・分断の風潮が2011年当時より強まっているのではなかろうか。
「地球市民」の意識を醸成し、地球全体の課題に一致団結して臨んでいく"常識"の形成が今こそ求められる時代だが、この15年間の歴史学者の仕事は羽田氏が目指した役回りを十分に果たしてこられているのだろうか。
浅学にしてこの点についてはコメントできないが、しかし世界史の最新の研究をうけた書籍をこれから目を通すにあたり、その研究がどんな願いを込めてなされたものなのかを読み解く補助線に、本書はなってくれたと思う。 -
購入済み
読み易い
全体的に読みやすく、スイスイ読めてしまう。
頭に入れるのには、数回読み返す必要がある。子供は勉強と平行して読んでいるので、復習や予習になるそうです。補助教材としては優秀だと思います。