羽田正のレビュー一覧
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ネタバレ現行の世界史の問題点を挙げ、「新しい世界史」の構想を打ち立てた本。
現行の世界史には、①日本人の世界史であること、②自と他の区別や違いを強調していること、③ヨーロッパ中心史観から自由でない、という問題点がある。
私たちが世界市民の一人であることを理解できるような世界史にするために、著者は、これらの状況から脱却する必要があると述べる。
たしかに高校世界史の大半はヨーロッパ関連にあてられているし、学生はそれが中心のように思うだろう。
各国でどういった教育をするかということは、国際社会において大きなファクターになる。今後が注目されるところ。 -
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ネタバレグローバル化がすすみ,ますます一体となる現代世界において,「地球市民」による「新しい世界史」のあり方を提起した書。
これまでの学校教育の世界史は,時系列による各国の歴史であり,またヨーロッパが中心であることに,さしたる疑問も持たずに慣れ親しんできた。
しかし著者はこれらを取っ払い,「人間集団間の総合的な比較によってある時代の世界の見取り図を描く」ことが必要であるとした。つまり世界史を時系列で捉えるのではなく,現代世界との対比を重視し,横との関連性を重視していくというのだ。この手法には,正直なところ難解に感じた。だが著者も述べているが,具体的な議論はこれからであろう。刺激と可能性に満ちた内 -
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ネタバレ世界で初の株式会社と言われる東インド会社。
若い時、株屋で営業の仕事をしていたものの、歴史については全く不勉強だったため、「君、東インド会社、知っているよね?」とお客様に問われても、「はい、全く知りません!」と自信満々に断言して笑いを取るくらいしかできなかったものです。
年を経て改めて歴史を学んでみると、なんと東インド会社が一つではない!驚きました(レベル低くてごめんなさい) イギリス、オランダ、フランスが類似のコンセプトの会社を(中身は違うけど)営んでいました。
本作品は、そのような東インド会社について詳述した読み応えのある作品です。
本作でためになったのは、東インド会社が -
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ネタバレ本書は2005年に刊行された「イスラーム世界の創造」の改訂文庫版である。
イスラム教やムスリムを語る際、安易に、ひと括りに「イスラーム世界」と表現しないよう注意を促している。
「イスラーム世界」という語は、①概念としてのムスリム共同体(ムスリムが理想として頭に描く実体を持たない理念的な空間)という定義において用いるべきであると。「イスラーム世界」としてひと括りに用いるべきでない定義として、②イスラーム諸国会議機構、③ムスリムが多数を占める地域、④ムスリム支配者が統治し、イスラム法が施行されている地域であると。
「イスラーム世界」とは、イスラム教が純粋に内包する精神世界を指す場合に限り用 -
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2013年47冊目
【全体要約】
日本人にとって世界史とは、高校で習う世界史に基礎がおかれている。しかしこれはあくまで日本人にとっての世界史であり、世界中で普遍的な世界史ではない。そして世界中の世界史はあくまでヨーロッパ、西洋を中心においた歴史観において構成されているため、世界中の人々のための世界史たり得ない。地球がこれほどにグローバル化した以上、地球市民のための世界史を考えるべきではないか。そのために必要な方策を探るのが本書の目的である。
【構成】
1章:日本人にとっての世界史
ー日本の大学では、西欧に追いつくために西洋史(現在の世界史に近い)が研究され、ナショナリズムのために日本史が -
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ネタバレ現在の「世界史」を自他の相違を所与の条件とする自国中心史観、ヨーロッパ中心史観とみなし、それに代わり、「地球市民」「地球主義」に立脚し「世界はひとつ」と実感できる「新しい世界史」像を提起する。歴史叙述からのあらゆる中心性の排除(被支配者やマイノリティ中心の見方も危険視される)、時系列による通史の放棄など、従来の歴史学の常識を否定する大胆で野心的な試みである。
問題は「世界はひとつ」という考え方、「地球市民」という帰属意識自体がある種の権力、イデオロギーとして機能する可能性に無自覚なことである。本書がヨーロッパ中心史観の例として攻撃する「世界システム」論が、「周縁」の立場からの新自由主義へ