羽田正のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全体の方向性としては、納得いくものではある。しかし、逆に言えば、さほど目新しい視点でもない。マクロな視点の歴史のあり方としては理解できるが、ミクロやミドルな視点での歴史はどのように位置づけられるかの疑念を覚える。そして、「世界はひとつ」・「地球市民」という表現には違和感を覚える。どのような意図での言葉の選択なのかは分からないが(本書にはその意図は書かれているが、どこまでの含意があるかは私には分からなかった)、やはり短絡的な印象を受けざるを得ない。むしろバラバラの「世界」のなかでどうやって「他者」を理解していくのか、あるいはその理解の不可能性を認識したうえで、つながっていく必要があるように思う。