杉山正明のレビュー一覧

  • 中国の歴史12 日本にとって中国とは何か
    シリーズの締め括りとして、全時代を通して中国の国土や歴史がいかに形成されてきたか、世界そして日本との関わりはどのようであったかを示す論考が六編収録されている。共通の文化基盤を持つ一方で、全く異なる価値観を持つ隣国との関係を考えるにあたって、表面的な知識は逆に相互理解を妨げることがあるという指摘は示唆...続きを読む
  • 中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国
    太平天国の乱から日中戦争開戦直前まで。国民党と共産党に至る近代中国の苦難の歩みを中心に描かれており、副題には挙がるものの溥儀の存在感は薄い。時代の中心が移ったことがよく分かる。
  • 中国の歴史9 海と帝国 明清時代
    海からの視点を取り入れて、経済と交易を軸に明から清までの社会構造の変遷を追う内容。様々なファクターが絡み合って時代が進んでいく様子が面白い。
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元
    遼による南北共存の成立までで半分以上を占める。特に耶律阿保機の時代が詳しく、あまり知識が無い領域だったため新鮮だった。宋朝を扱った前巻の別面としても面白い。
  • 中国の歴史7 中国思想と宗教の奔流 宋朝
    思想文化に焦点を合わせて、南北300年における時代の推移を明らかにする内容。特に朱子学に関する記述が豊富で、王安石から新旧対立・道学の展開を経て成立にいたる流れ、後世に与えた影響などは興味深かった。
  • 中国の歴史5 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝
    魏晋南北朝時代が対象。要点を押さえた叙述で、目まぐるしい五胡十六国と北朝、南朝の興亡が分かりやすい。一度解体された秩序が、侵略者を巻き込み拡大再構築されていく過程が興味深かった。
  • 中国の歴史4 三国志の世界 後漢 三国時代
    統一帝国の時代から分裂の時代に向けた歴史上の変革期としての時代描写が面白い。諸勢力の興亡だけでなく、文化や宗教といった社会面の理解も深まる内容。
  • 中国の歴史9 海と帝国 明清時代
    清が、満洲族の出自であり、東北部、ハンの後継として、その出自を十分に生かして、帝国を運営、支配していた。
    また周辺諸国との関係、特に鎖国をしていた筈の日本、正式な国交はないが、と経済的に密な繋がりを持っていた。
  • 中国の歴史2 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国
    後代に編纂された史料をもって過去の実像を見ることが、いかに困難であるかがよく分かる。戦国時代の領域国家形成に伴い、自己正当化のための歴史利用が国家毎にどう行われたかの比較は興味深かった。
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    考古学の成果を元に殷王朝までの先史時代が扱われている。予備知識がほぼ無かったので読むのは大変だったが、出土品の分布や農耕の伝播などから歴史時代につながる文化の発展を明らかにする過程が面白かった。
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元
    表紙はチンギスハンですが、内容はキタイ帝国が主。従来の中国史では、宋の記述が多く、それは日本人の文化受容過程で刷り込まれたものだという主張。
  • 中国の歴史7 中国思想と宗教の奔流 宋朝
    現代に伝わる日本の文化の基をつくったといっていい宋朝。歴代王朝最弱の軍隊を持っていたが、周辺の民族や国と交渉で渡り合っていたのは、文治主義の面目躍如ではないか。
  • 中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代
    唐内部の政権抗争の激しさに対して、文化や社会制度のレベルの高さ。日本などは、長らく唐の社会制度がお手本になっていたようなレベルに対して、朝廷の内紛の非道さはどう感ずればいいのか。
    日本は天皇制を維持することに対して、反面教師として見ていたのか。
  • 中国の歴史5 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝
    この時代、非漢族が南下し、自分たちの国をつくったり、中国大陸がいよいよ混乱の世紀に突入。しかし、この混乱が中華思想を育み、漢民族だけではなく、周辺の民族が各々の中華思想を持つに至る。
    倭のまとまりもその思想から生まれたものか。
  • 中国の歴史4 三国志の世界 後漢 三国時代
    三国志演義ではあれ程優遇されていた蜀だが、実際は三国の中でダントツに弱く、そもそも他所者の国であり、強い国づくりが難しかったこと。それでは他の魏や呉が万全の国家体制だったかというと、そうでもなく、内輪揉めで潰れてしまう。
    三国志の世界がが現在の中国と関係諸国の間を説明するキーになるというのは興味深い...続きを読む
  • 中国の歴史3 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国
    ファーストは偉大です。
    なんせ最初の人だから。始皇帝の秦は早々崩れてしまうけど、その教訓を活かして、漢は国づくりを行う。日本で言うところの、武士の象徴は源氏、というところだろうか。
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    これは入門書ではない。
    ある程度、考古学に知見がある人、東アジアの旧石器時代に知見がある人向けだと思う。
    農耕の開始から夏、殷の起こりまでの流れは興味深いけれども。
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    最新の考古学を踏まえて、綿密に考証を進めていくところが、素人にもおぼろげながらわかる。ただし、中国の地名が十分に頭に入っていない者には、掲載された図版では足りず脇に地図を置きながら確かめつつ読む必要がある。地名だけでなく、発掘された文物の名称の読み方も難しく、ふりがなは振られていても、数ページ進むと...続きを読む
  • 興亡の世界史 人類はどこへ行くのか
    世界史についての本。
    興亡の世界史というシリーズの中の最終巻。2007年に出されていたが、文庫化されるにあたって新しく手直しされたもの。
    従来の世界史というのは西洋史を中心としたものであったが、本書ではそれに対してもっと多文化的で中立的な世界史を提唱している。
    人口問題については、人口バランスとその...続きを読む
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回
    クビライは、各王族が自立的な動きを見せながらも大カァンを中心とするシステムをユーラシア大陸に築きあげた。元を中国史の王朝交代の文脈でみるとスケールを誤るのは分かった。