杉山正明のレビュー一覧

  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後
    ユーラシア大陸全体をダイナミックに動かしたモンゴル帝国。
    現在の中東情勢、中央アジアに影響を与えていたとは。
  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後
    モンゴル帝国はユーラシアからヨーロッパにかかる広大な世界を征服し、統治した。
    本書は、疾風怒濤のごとく各地へ攻め入って暴れまくり殺しまくったという、モンゴルの従来のイメージを全く覆すもの。
    当時はヨーロッパもロシアもたいした文明国ではなく、また、モンゴルが野蛮なやり方で諸国を蹂躙したという事実はなく...続きを読む
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回
    元々史書の習慣がない遊牧民のため「元朝秘史」など限られた文献しか残されていないモンゴル帝国。ゆえに破壊者の歪んだイメージが先行しがちだが、彼らの功績にスポットを当てる。

    いまの世界史の起源は東西を結び付けたモンゴルだと思うし、通商により世界を活性化させたのはチンギスでありクビライであろう。殺戮者と...続きを読む
  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後
    海の世界史に対抗する、陸の世界史。
    定説、思い込みを乗り越え、モンゴルが残したものを見つめなおそうとする本作。

    著者の思い入れが強く出過ぎている感もあるが、従来語られてきたモンゴル観が剥落し、歴史を見つめる目が少し変わった気がする。
  • 中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平
    2021/8/7
    中華人民共和国の成立~現在まで。
    格差不平等、特権階級を無くすことを目指した筈の社会主義国家が、結局一部の特権階級によって運営されているという事実。中華人民共和国の歴史は、お偉方が思想を都合良く解釈して国民に押しつけてきた歴史に思えてきた。
  • 中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国
     読み進んできた中国史が一気に現代史になった印象。その中で、日本が果たしてきた存在の大きさを改めて噛み締める。有名な蒋介石の言葉「報復してはならない。憎しみは憎しみを生み、永遠に終わらない」との言葉は昭和天皇の終戦ラジオ演説と同時に行われたラジオ演説だった。全く誉められないとしか思えない蒋介石のそれ...続きを読む
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元
    中国の北に長期間繁栄し、強大を誇ったというキタイ帝国という言葉は学校時代の世界史では学んだことが無かった用語。そしてその始祖・耶律阿保機(916年に帝権確立)という英雄も初耳。キタイは後年、中華風の国名「遼」を名乗ったという。遼、金、西夏などの国々は中国史の地図の中で北に描かれているが謎の国だった。...続きを読む
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
     好評を博した中国史研究のシリーズ「中国の歴史」の文庫化第1弾。巻頭に掲げられている編集委員代表の提言によれば本シリーズは、「大きな中国」の歴史に常に内包されていた「小さな中国」に焦点を当てて執筆されたとある。第1巻となる本書も、一元的な中原中心主義からの記述ではなく、先史時代におけるローカルな地域...続きを読む
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    【神話と考古学】
    夏王朝 二里頭文化
    『史記』 先立って記述される「五本帝紀」
    ↑松丸道雄 戦国時代以降につくられた五行説
    P.30 蚩尤 三苗

    洪水伝説
    三皇本紀とい司馬貞の補筆
    『三五歴記』『山海経』

    【中国発掘物語】
    濱田耕作
    文物考古研究所
    共同調査

    【農耕の出現】
    アフリカの典型オル...続きを読む
  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    自分が新石器時代の知識があまりないこともあって、内容はやや難しいと感じた。特に知らない知名や遺跡の名前、読めない漢字も多く、歴史地図帳を開いて地図と照らし合わせながら読む事で理解が助けられた。今も中国は北部は「面」が主食で南部は米が主食というように食文化が異なるが、過去の自然環境の違いで穀類の野生種...続きを読む
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回
    著者らしく、既存概念へのアンチテーゼを強調しているのか、モンゴルへの称揚と伝統中華やヨーロッパへの批難が激しい。特に明朝に対しては手厳しい。残虐なモンゴルへのイメージ脱却のため、世界帝国形成の間の戦況を説明し、モンゴル征服後も人口の大幅な減少が起こっていないこと、都市の繁栄は続いていることを強調する...続きを読む
  • 中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平
    近現代中国を作り上げ牽引した毛沢東と鄧小平を反逆者と逆境者として表現している。毛沢東はその人生において常に反逆を志向していた、またその類まれな戦略家軍事指揮官としての才能は常に迫る具体的な現実の敵を打ち倒す際にはいかんなく効果を発揮したが、建国後の富国強兵と行った抽象的な建設事業においては権威の壁に...続きを読む
  • 中国の歴史4 三国志の世界 後漢 三国時代
     劉備の支配する蜀は、魏に比べると1/5、兵の数では1\4なんだけれど、三国時代と呼ばれている。この3国がそれぞれ「皇帝」と名乗ってそれぞれ中華帝国の正統を競うところに魅力があるのだろう。
     ただこの本は「学術文庫」なので、冷静な目で歴史を追っている。結局どに皇帝も中国全土を統一できないのだ。
     考...続きを読む
  • 中国の歴史12 日本にとって中国とは何か
     この本の評価は難しい。内容的には2005年に出版された本をほんの少しお化粧して2021年6月に出版されたもの。この12巻が最後なのでこれで完結。とにかく題名が素晴らしい。「日本にとって中国とは何か」である。6人の歴史学者がそれぞれ分担して数十ページずつ書いているのだが、もう一度全面的に描き直してほ...続きを読む
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元
     書名と表紙から手に取った。副題に「遼 西夏 金 元」とある。
     「唐」が終わり「元」を経て「明」が起こるまでの500年余の現在の中国国土に起こった複雑な国家群の解説だ。多様な民族が国を形成し、また多民族により国が形成されていた様子が詳細に語られている。特にキタイ帝国(契丹国)について多く語られてい...続きを読む
  • 中国の歴史2 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国
    史記の著述をまず疑うことから、この本は始まる。
    これは入門書ではない。史記の内容を一通り把握した人達向けの本。
    しかし、春秋と戦国時代の大きな違い、今でいう天下の概念で夏殷周を語るべきではない、という著書の主張は理解できた。
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回
    モンゴル帝国にして元朝の皇帝クビライの人物、あるいはモンゴル帝国の研究書。従来のモンゴル帝国にたいする再評価を迫る作品である。NHK『文明の道』第5週でモンゴル帝国が海上交通や駅伝網を重視し、緻密な行政システムを作り上げていた研究成果を示した。これに関する詳細な文献を探していたところ本書にたどりつい...続きを読む
  • 中国の歴史3 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国

    隠していること、無ぁい?

    易姓革命による大量粛清(虐殺)、
    飢饉が来ると自分の子供を隣家の子供と交換して殺し、全て食する「食人」の風習、
    幼少期から、非情なやり方で女性を虐待する「纏足」の風習等、文化史としてしっかりと表記してくださいね。

    劉邦は、漢成立後、近臣を一族郎党皆殺しにしたと言う事実も、忘れてはいけません...続きを読む