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講談社創業100周年企画「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版。第2回配本、第3巻と同時発売の第4巻は、後漢末期から魏・呉・蜀の三国時代に焦点を当てる。
日本人にもっとも長く、広く親しまれてきた外国文学、『三国志』に語られる歴史は、どれほど史実を伝えているのだろうか。中国文学の研究者である著者が、小説『三国志演義』を手掛かりに、大抗争時代の戦乱と外交、文化と社会を解き明かす。
著者によれば、この時代は、現代にいたる中国の歴史を知るうえで、見逃せない重要性を持っているという。たとえば、小説では悪役の魏の曹操は、卓越した改革者であり、その子の曹丕、曹植は優れた詩人だった。曹操父子を中心とする文学運動が、後の唐詩の原点となったのである。また、広大な中国に、統一帝国を強く指向する理念が確立したのは、この時代だった。さらに、中国思想の骨格を成す儒教・仏教・道教が定着し、三教の間で論争と交流が行われるようになったのも、後漢末から三国時代のことだった。
また、陳寿の正史『三国志』や羅貫中の『三国志演義』では脇役だった呉こそが、実はこの時代を演出した影の主役だという。邪馬台国と朝鮮半島を含む東アジアの動乱は、現代に何をもたらしたか。文学から歴史を読む、中国通史シリーズとしては異色の一巻。〔原本:2005年、講談社刊〕
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三国志関連の作品が好きな人におすすめです。
時代背景や作中の思想のベースができて、物語の理解が進みます。
特に、三国の国力の違いや外交、そもそもの統一に対する価値観の違いが目から鱗でした。
また軍師連盟見返そうかな…
Posted by ブクログ 2021年04月01日
三国時代のことで卒論を書いたのももう昔。さらっと三国時代をおさらいするのに本書を手に取りました。演義と正史、実態と思われるところの比較や政治的な流れ、文化的な動き、国際関係などなど、わかりやすく書かれています。改めて三国時代が画期になっていることは多くあると実感しました。それだけに、三国時代にシリー...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年01月03日
「中国の歴史」シリーズ4巻目、「三国志演義」を歴史学の側面から検証する本。その方面に関心のある方には、面白いはず。私は「第9章 邪馬台国をめぐる国際関係」のみについて記す。
日本や朝鮮半島の考古学からのみ深掘りしてきた私ではあるが、この時代の中国の文献史学の信頼性は無視出来ない。批判的検証を経てど...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年12月25日
三国志演義ではあれ程優遇されていた蜀だが、実際は三国の中でダントツに弱く、そもそも他所者の国であり、強い国づくりが難しかったこと。それでは他の魏や呉が万全の国家体制だったかというと、そうでもなく、内輪揉めで潰れてしまう。
三国志の世界がが現在の中国と関係諸国の間を説明するキーになるというのは興味深い...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月09日
劉備の支配する蜀は、魏に比べると1/5、兵の数では1\4なんだけれど、三国時代と呼ばれている。この3国がそれぞれ「皇帝」と名乗ってそれぞれ中華帝国の正統を競うところに魅力があるのだろう。
ただこの本は「学術文庫」なので、冷静な目で歴史を追っている。結局どに皇帝も中国全土を統一できないのだ。
考...続きを読む
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