杉山正明のレビュー一覧

  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

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    バカ面白い。中国という枠組みが虚像である、それはなぜか?証拠を上げていく流れに引き込まれて一気読みしてしまった。同シリーズの五胡十六国自体〜前巻の宋代までいかに「異民族」が中国に進出し、血としても文化としても混じり合ってきたかを学んできた、その伏線が一気に回収される本巻。「異民族」の従来の暴力的なイメージをひっくり返された(沙陀軍閥は除く)。
    ポイントだと元寇のモンゴルサイドの背景が面白かった。日本史(特に戦前の一般に流布した史観)からすると英雄時宗が国難を打破した事件だが、実態は南宋征伐の牽制、というのがなんとも肩透かしのような気分。本郷和人さんの執権時代の入門書では時宗の外交的失敗という主

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    2025年10月12日
  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後

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    モンゴル軍の軍事的な意味での強さが伝わっているのは、ヨーロッパやロシアが自国の歴史を喧伝するために過大評価してきたもの、つまり西欧中心史観が根底にあることを著者は繰り返し説いている。実際のモンゴル軍は情報収集と内部工作に長け、戦わずしてバグダードまでもを開城させていたという。確かに、従来のモンゴル軍への見方とはがらりと変わってくる。
    モンゴル帝国の影響も、予想以上に大きい。
    ティムールもイヴァン4世もホンタイジも、チンギス王家ゆかりの王女と結婚することでモンゴル帝国の威光にあやかる、という政略結婚を行なっていた。ユーラシアという世界を東から西まで繋いだ、という点において、モンゴルは空前絶後の帝

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    2018年01月08日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    啓蒙書のためか第一部「あらたな世界史像をもとめて」など頼りないほど粗っぽいが、これをこう書くためにはそれこそ目の潰れるほどの研鑽の蓄積があるのだろう。

    数年前に「チンギス・ハーン」に関する本を小説を含めて十数冊読んだが、それと相俟って面白かった。

    中国は「元」の時代を自国の歴代王朝の一つに組み入れているが、杉山は「大元ウルス」は中国を占領したモンゴル政権だという。

    全体として「南宋」「明」に対する筆が厳しい。

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    2012年01月04日
  • 大モンゴルの世界 陸と海の巨大帝国

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    中世モンゴル帝国とその周辺の歴史について書いた一冊。

    モンゴル帝国の歴代皇帝や派生した周辺国について知ることができた。

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    2025年12月06日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    p.73
    「……ながいあいだ人類の営みのおもな舞台であったユーラシアの歴史のうえで、きわめてまれな例外として、ユーラシアの中央部をおおう史料の雲が晴れ、東西の世界を文献のうえからもひとつのまとまった姿で眺められる時代がある。それは、モンゴル時代である。もとめれば、たしかな証拠がもとめられ……もとめようとするだけの史料の壁と言語の壁をのりこえることができる状況が、いまようやく開けつつある。それが成就したとき、『世界史』は西欧中心史観とはまったく別のもうひとつの全体像を真の意味でとらえることができる……。」

    本書はもともと朝日新聞社より1995年に発売されたらしく、それを講談社学術文庫が再出版し

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    2025年04月18日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    歴史の教科書では学べなかった、歴史上世界最大のモンゴル帝国でなされていたことがわかる本。どこまでが事実かわからないものの、かなり現代化されたシステムが1300年代にあったかもしれないことがわかる。

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    2022年01月02日
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

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    遼による南北共存の成立までで半分以上を占める。特に耶律阿保機の時代が詳しく、あまり知識が無い領域だったため新鮮だった。宋朝を扱った前巻の別面としても面白い。

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    2021年04月27日
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

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    表紙はチンギスハンですが、内容はキタイ帝国が主。従来の中国史では、宋の記述が多く、それは日本人の文化受容過程で刷り込まれたものだという主張。

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    2021年02月23日
  • 興亡の世界史 人類はどこへ行くのか

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    世界史についての本。
    興亡の世界史というシリーズの中の最終巻。2007年に出されていたが、文庫化されるにあたって新しく手直しされたもの。
    従来の世界史というのは西洋史を中心としたものであったが、本書ではそれに対してもっと多文化的で中立的な世界史を提唱している。
    人口問題については、人口バランスとその国の繁栄について書かれており勉強になった。日本は戦後の復興期、高度成長期に人口ボーナス期を迎え、一気に経済繁栄した。これからは急速な高齢化と少子化で人口減少時代を迎える。経済的な縮小はやむを得ないだろうと思う。しかし、世界的には人口増加による環境問題に直面しており、日本の人口減少は今後に必要な世界的

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    2020年05月25日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    クビライは、各王族が自立的な動きを見せながらも大カァンを中心とするシステムをユーラシア大陸に築きあげた。元を中国史の王朝交代の文脈でみるとスケールを誤るのは分かった。

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    2020年04月07日
  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後

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    ユーラシア大陸全体をダイナミックに動かしたモンゴル帝国。
    現在の中東情勢、中央アジアに影響を与えていたとは。

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    2020年01月19日
  • 興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後

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    モンゴル帝国はユーラシアからヨーロッパにかかる広大な世界を征服し、統治した。
    本書は、疾風怒濤のごとく各地へ攻め入って暴れまくり殺しまくったという、モンゴルの従来のイメージを全く覆すもの。
    当時はヨーロッパもロシアもたいした文明国ではなく、また、モンゴルが野蛮なやり方で諸国を蹂躙したという事実はなく、なるべく戦わずに調略などを駆使して勢力を拡大した。

    著者は従来の「西洋中心主義」の歴史のあり方に強く抗議・詠嘆しつつ、モンゴルがユーラシア大陸全体に残した遺産について指摘している。

    広い世界を支配したチンギス・カンの系譜は長く尊崇され、後世まで統治者たちはこれを無視できず、栄光を継承しようとし

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    2019年11月05日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    元々史書の習慣がない遊牧民のため「元朝秘史」など限られた文献しか残されていないモンゴル帝国。ゆえに破壊者の歪んだイメージが先行しがちだが、彼らの功績にスポットを当てる。

    いまの世界史の起源は東西を結び付けたモンゴルだと思うし、通商により世界を活性化させたのはチンギスでありクビライであろう。殺戮者という一方の見方の裏側を、被支配国からの視点で分析したのは面白い。

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    2014年09月04日
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

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    中国の北に長期間繁栄し、強大を誇ったというキタイ帝国という言葉は学校時代の世界史では学んだことが無かった用語。そしてその始祖・耶律阿保機(916年に帝権確立)という英雄も初耳。キタイは後年、中華風の国名「遼」を名乗ったという。遼、金、西夏などの国々は中国史の地図の中で北に描かれているが謎の国だった。キタイと北宋、そして沙陀の李克用・李存勗親子の三国者迭立なども知らなかった世界。いかに中華王朝を中心とした歴史しか視野に入っていなかったかを痛感させられた。キタイは金、西夏を滅ぼし、その政治的遺産がモンゴルに受け継がれていくという。モンゴルの世界席捲という覇業はモンゴル系であったキタイの継承であり、

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    2022年07月01日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    著者らしく、既存概念へのアンチテーゼを強調しているのか、モンゴルへの称揚と伝統中華やヨーロッパへの批難が激しい。特に明朝に対しては手厳しい。残虐なモンゴルへのイメージ脱却のため、世界帝国形成の間の戦況を説明し、モンゴル征服後も人口の大幅な減少が起こっていないこと、都市の繁栄は続いていることを強調する。モンゴルの快進撃は、イスラーム帝国が急激な膨張をしたように、改宗を迫らなかったこと、降伏させて経済的に取り込むことを優先したことが挙げられる。
    クビライが大元大蒙古帝国として志向したのは、経済統合による世界システムだった。ムスリム商人を取り込んでの自由経済の奨励と、そこからの商税、そして大半を占め

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    2022年01月10日
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

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    ネタバレ

     書名と表紙から手に取った。副題に「遼 西夏 金 元」とある。
     「唐」が終わり「元」を経て「明」が起こるまでの500年余の現在の中国国土に起こった複雑な国家群の解説だ。多様な民族が国を形成し、また多民族により国が形成されていた様子が詳細に語られている。特にキタイ帝国(契丹国)について多く語られている。
     モンゴル帝国の第5代の帝位に就いたクビライが「大都」として造営したのが今の北京であるという。また、陸・海の交易も確立したとのこと。他書でこの辺の歴史をもう少し詳しく学んでみようと思う。

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    2021年03月07日
  • クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回

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    モンゴル帝国にして元朝の皇帝クビライの人物、あるいはモンゴル帝国の研究書。従来のモンゴル帝国にたいする再評価を迫る作品である。NHK『文明の道』第5週でモンゴル帝国が海上交通や駅伝網を重視し、緻密な行政システムを作り上げていた研究成果を示した。これに関する詳細な文献を探していたところ本書にたどりついた。モンゴル帝国に関してはヨーロッパからの評価を引き継ぐ形で今まで語られることが多く、野蛮な遊牧民族の側面、軍事的な側面ばかりに注目されてきた。しかし実際は「通商王国」ともいうべき交通の発展をもたらし、東西文化の結節の役割を果たし、「大航海時代」を準備したと結論付ける。著者の主張は明快でダイナミック

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    2011年10月27日