浅羽通明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
安定の浅羽評論。
「批評は二次創作」説は押井守御大もどっかで言ってた筈(『TVをつけたらやっていた』)。
その辺の『君たちは~』評を読み込み、それらのどの辺はよくて、どの辺が誤読であるかをエビデンス込みでコメントし、まづ「二大正義」があると言ふのを書く。その、マンガ版で削除されたかつ子さんの説くナニと、おじさんのいふソレは、発行当時どうも日本に入りかけてた二大潮流であったらしい。
原作がラノベ的であると言ふのは、へー。
相変はらず、小林よしのり先生の他、西原理恵子先生の本まで引用し、『君たちは~』の時代背景と他を開陳してゆくのは、まだ作者が元気な証拠であらう。 -
Posted by ブクログ
思想一般の不誠実さがどこからくるのか少し分かった気がした。己の思想がどんな来歴や原理原則に根差していることを直視せずに、結局のところ中道ぶる姿勢が欺瞞なのだ。
右派については、「自衛隊のイラク派兵…彼らのみにリスクを負わせるな。徴兵制復活が先だという主張が…上がったという報道はありません」という言及。
左派については、「被征服のリスクは、非武装の憲法を選択している論理的な帰結としては負うべき」という言及。
この原理を意識せずに何事かを述べること、本来自分の思想がこのどちらかに基礎を置き構築されていることに気づかないこと、それがあらゆる欺瞞の本性のように感じた。 -
Posted by ブクログ
個人的にこれまでアナーキズムを深く考えたことがどれほどあっただろうか。アナーキストなど何を考えているか得体の知れない完全なる他者だと確信していた。それは無意識のうちに信念として存在するほどに。その思想は社会を国を共同体を破壊して何を達したいのかと疑問に思うだけで、こちらから知ろうともしなければ、あちらからも呼び掛けられもしない存在。それがアナーキズムであり、アナーキストであった。
しかし本書は呼び掛ける。
「我々誰もが、徹底すればアナーキストにならざるを得ない」と。我々の生活する社会の原理原則を突き詰めた先にアナーキズムはあるということだ。自由、平等、反権威などを建前として暮らす以上、人はそ -
Posted by ブクログ
日常で使われる「右」「左」という用語、なんとなく分かるようで分からなかったこの概念を歴史を紐解きながら解説する。
本書を読むと、この「右」「左」という概念が極めて相対的であり、ある時期には「右」であっても、時代の流れと共に「左」と認識されることもあり得ることが分かる。
*「左」「左翼」…人間は本来「自由」「平等」で「人権」があるという理性、知性で考えついた理念を、まだ知らない人にも広め(啓蒙)、世に実現しようと志す(p44)。
*「右」「右翼」…「伝統」や「人間の感情、情緒」を重視。「知性」や「理性」がさかしらにも生み出した「自由」「平等」「人権」では人は割り切れないと考える(p45)。
*「 -
Posted by ブクログ
左翼と右翼の違い・関係性を分かりやすく、初心者向けに書かれた、「左翼、右翼」を知りたい向けの入門書にお勧め。
第8部構成で、
1,2章は左翼と右翼の辞書などを引用した意味の違い。
3,4章は、世界史から見たフランス革命を皮切りにした左翼の誕生とそれの反動として生じた右翼の目標と掲げる未来を見ていく
5,6章は、日本の歴史の中で、明治から昭和の戦後までの左翼と右翼の関係性を交互に述べていく
7章は、現代日本の右翼と左翼を、総理大臣が国を動かしてきた政策と左翼がその政策を動かす話題を取り上げる形で国が運営され、戦後の左翼と右翼の価値観変化を語る。
エピローグは、左翼と右翼の区別がなくなり、今ま -
Posted by ブクログ
宮崎哲弥『新書365冊』(朝日新書)と松岡正剛「千夜千冊」の紹介をきっかけに読んでみた。本書が素晴らしいのは、読書ノートと索引が充実してるところだ。新書本であるのにもかかわらず、各章ごとに、関連する書籍を多数案内してくれたり、本書で登場した用語と人物名のページをくまなく載せたりと、著者の誠実ぶりに感銘を受けた。では肝心の内容はどうであるかというと、こちらも「アナーキズム」の知識が体系的にまとまっており、今回初めて知ったものが多かったため、内容的に満足のいくものであった。はじめにアナーキズムの定義を記述し、次にこの概念と関連する人物像の経歴と影響力を、最後に現代(といっても本書は2004年出版
-
Posted by ブクログ
ネタバレ右翼って何!?左翼って何!?
右翼・左翼って呼ばれる人たちって、どういう価値判断で行動してるわけ?…という素朴な疑問から、読んでみました。
なーるーほーどー!!!と思うことが多くて、わかりやすくて面白かった。今まで自分が持っていた簡単なイメージとしては、
○右翼=保守、愛国、天皇崇拝
○左翼=急進派、革命
○どっかの国の国会で右と左に議員の席が分かれてたことから右翼・左翼という
これくらいの知識でした(まぁ、間違ってはいなかった)。で、右翼・左翼という言葉が生まれたフランス革命の頃の説明から始まって、明治維新から大戦前後、現代の右翼・左翼の定義まで、わかりやすく説明してあります。
人権が -
Posted by ブクログ
右と左って何?と改めて考えると、思い浮かぶワードがそれぞれある。
だが、なんでそもそも右と左っていうのか、それに「翼」が付いているのはなぜか。
筆者は、フランス革命で誕生した表現がどういう変遷を辿って現代社会で使われているのか。革命で論じられる「自由」「平等」、自由に重きを置くか、平等に重きを置くかによっても異なる立ち位置。
右にしても左にしても、フランス革命から冷戦集結に至るまでの200年と、それ以降の現代社会における右と左は同列に語るべきものではないと言う程、理念や表現・活動が異なってきてしまっているということ。
歴史の教科書といった形ではなく、物語を読み進めるような内容なので、読ん -
Posted by ブクログ
表題の2つの用語について解説するために、概説書や入門書を資料としてまとめられたもの。元はフランス革命に遡るが、その間にも分裂などの変遷があったとか、他国との関係が変化するにつれてナショナリズムの形も変化してきたことが説明される。日本では、政治や経済の軸の対立よりも、外交・安全保障の軸の対立が強かったことや、最近は文化の軸も加わっていると整理されているのがわかりやすい。
絶対王政時代のフランスは、相次ぐ対外戦争や王侯貴族の贅沢により国家財政が破綻寸前となった。新たな大規模な課税に対して抵抗が生じたため、それに応じて三部会が招集された。三部会は全身分が一堂に会して国事を議決する国民議会へと変わり