先週(2012.11)この本の上巻である「食い逃げされてもバイトは雇うな」を読みました。食い逃げされるラーメン屋は、それを防止するためにバイトを雇うかどうかを会計学的に解説した下りがあり、違和感を覚えていた状態でこの本(下巻)を読みました。
それによると、会計学的には正しい(食い逃げの方がバイトを雇うよりコスト的に有利)としても、経営的には「大間違い」ということが解説されていました。
この本では、数字に巷に出回っている数字に騙されない「考える力の大切さ(複数の視点を持って数字をみる、p240)」を解説しています。
よくコンサルトのアドバイスは、優秀な経営者ほど「頼りにしていない」と言われますが、第三者のアドバイスは、今までの結果である数字を解析してあれこれ言うよりも、将来を考えた経営的アドバイスをすべきだというのが、この本のポインドだと私は感じました。
特に、計画の重要性が示される本が多い中で、敢えて「成長性が見込まれない現在で計画をするこに対する疑問を投げかけている点(p107)」、計画よりもカード(複数のオプション)を持つ重要性を説いている(p118)のは、印象的でした。
以下は気になったポイントです。
・事実なのだろうけれど人の判断を惑わせる数字のことを「禁じられた数字」という(p12)
・スポーツなどでの禁じ手という考え方の特徴は、「やろうと思えば誰にでもできるけれど、お互いのために決してやらない」という点にある(p14)
・アンケートは、前提条件や対象範囲のちょっとした違いによって、出てくる数字が異なる(p30)
・会社の業績などの指標の平均値は、うまくいっている会社とそうでない会社がゴチャ混ぜになっているので、その間をとった数字と比べても意味はない(p51)
・利益を減らすための方法としては、コンサルタントを頼んで多額のコンサルタントフィーを払ったり、大規模は社員研修を行って多額の研修費を計上する、社員への決算賞与(役員賞与は対象外)などがある(p76)
・以前よりも計画が難しくなった環境で、以前よりも計画が重視されている現状は、どう考えてもムリがある(p107)
・計画は、「作られた数字」「根拠のない数字」を生み出す土壌になっている(p114)
・計画よりも「カード(切り札)」の時代になる、環境の変化に応じたカードをいくつ持っているかが問われる(p118)
・予算計画を廃止した代わりに、KPI(Key Performance Indications:重要業績達成指標)をつくる、KPIとは、目標に向けてのプロセスの進捗状況を調べるために、達成度合い(performance)を定量的に示したもの、最終目標ではなく、中間的目標であることがポイント(p123)
・計画信仰は言葉を換えれば「計画幻想」、計画は個人や企業から自由を奪い、ムリ・ムラ・ムダを生む(p124)
・金持ちが、美術品・土地・株を買うのは、価値が上がる場合がよくあるから、非減価償却資産は、好きだからではなく、持っていても価値が下がらないから意味がある(p136)
・費用対効果と言う言葉を聞いたら、「効果」とは何を示すのかを質問すべき(p160)
・ムラやムダを把握して初めて効率化が行えるのに、何も把握せずに人員や予算が減らされれば、ムラ・ムダならぬムリが生じてしまう、準備された効率化は人や会社を豊かにするが、準備なき効率化は人と会社を疲弊させる(p166,168)
・二分法(社内と社外等)を使用する理由として、1)論理的に見せる、2)ものごとをわかりやすくする(p175)
・長期間販売する商品の値付けにこだわったのは、定番商品ともなれば、他の商品との価格バランスも考える必要があるし、数年後に出るであろう同種の商品価格をも制約するから(p182)
・「食い逃げされてもバイトは雇うな」という、会計の観点からしか見ていない短絡的な考えは、大間違い(p192)
・二分法を捨てる代わりに重要なのは、視点を大きく変えることで、妙手に近づくこと(p198)
・中国の進出に成功した社長がこっそり言っていたのは、「中国企業や中国市場を制した外国企業が日本に進出するのを事前に防ぐため」であった、公式見解は「中国は成長市場だから」(p201)
・限定販売は、「希少性の追加」と「在庫の恐怖からの解放」という、非会計と会計の両方を満たした妙手である(p206)
・フォードが1914年に「フォード工場のすべての有資格労働者に日当5ドル(当時の平均は1-2ドル)与える」と発表したが、労働者の多くは対象者ではなかった(p215)
・会計は科学的(だれが計算しても同じ結果)だが、ビジネスは非科学的、なのでビジネスと会計では、求められる能力が全く異なる(p220)
・310億円の無駄遣いを考えるには、一般会計と特別会計の重複分を除いた250兆円(2006)の割合で考えるべき、すると異なった見解が見えてくる、複数の視点を常に持つことが大事(p233)
・数字のセンスの真髄とは、複数の視点を持つこと(p240)
2012年11月18日作成