安田登のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者自身がワキ方の能楽師でいらっしゃるため、「能というのはこういうものだよ」とレクチャーしてもらえる内容ですが、観劇を始めたばかりの現時点では「そうか、そういうものか」と知識として受け入れる状態です。
しかし、観劇の回数が増え、能の謡を習ってある程度年数が経った後にこの本をもう一度読めばより腹落ちするのではないかと思える、自分の能楽の経験値を測れる本のような気がしました。
内容として特に興味をそそられたのが、主人公の武士が修羅道や地獄に堕ちるストーリーの多い能を江戸幕府が庇護した主目的は「敗者の鎮魂」であった、そして幕府から与えられた鎮魂、それも「源義経の魂を鎮める」というミッションが芭蕉のおくのほそ道にはあった、というのは話 。
後半のミッションの話は著者の仮説ですが、読んでいるとあながち間違っていない気がしてかなり興味深い内容です。
芭蕉以外に能を習っていた文人は近代にも多くいたようです。特に漱石の作品には能の影響が色濃く出ているものがあり、中でも主人公が旅に出る『草枕』は「能を通して世の中を見る」という『おくのほそ道』と似通った設定(芭蕉は自身を能のシテ方と設定して旅をした)で物語が進みます。
かねてから太宰や漱石などの近代文学作品を読んでみたいと思いつつ、どうも食指が動かなかったんですが、これを機に『おくのほそ道』と合わせて『草枕』『夢十夜』から読んでみようと思います。そしてこの本同様、年を経て能の経験値が増えた時にもう一度読み返したいと思います。 -
Posted by ブクログ
能や論語などの古典をベースに、教養や知性についての対談を書籍化したもの。タイトルに変調とあるように、一般常識では見られない解釈や解説が非常に面白い。「不惑の惑は、本来は域であり、枠にとらわれるなという意味」「教養とは、外部に開かれた小さな窓枠。内部の言語のみで説明できるわけがない」「笑いは割らい。その場の雰囲気を割って変化させるもの」「自由とは不安定。四つ足から二足歩行となり、さらに飛ぼうとしている」「雨粒を感じようとする動作を制御して行うことはできない」「矛盾はあって当然。最強の矛があったら世界は終わる」「事象の背後に見えないパターンを見いだすことが戦略」
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Posted by ブクログ
えーーーっ大げさな!と感じるところもあったし全てそのまま信じることはできないけど、これはこれでめっちゃ面白い視点だと思った!!
RPG風に見ると、詩魂を集める旅で、ミッションをコンプリートした芭蕉は平泉以降はお気楽な旅に転ずるっていうのも納得できた。
うまく言うなぁ~!
確かに、パワースポットで泣いて鎮魂の力を蓄えたのかも。。。
そして能は詳しくないんだけど、影響しているんだとしたら、、、古典とのつながり=パラレルワールドのスイッチ押して、心が昔に飛んでいってさめざめと切なくなってしまう、、、という気持ちは日本人ぽくて頷けるなぁ。
古典の登場人物って、デジャブ的場面ですぐに「あぁこんなんだったんだろなぁ~・・・」って感傷にひたっちゃう人多いもんな。
西行にあこがれて、俳句で義経の鎮魂を行った。芭蕉の目的はこれだったのか。。。。 -
Posted by ブクログ
分野の異なる専門家たちが、今の環境に至るまでにどんな本の影響を受けたのか、血肉とするためにやっている本の読み方やおすすめ本を紹介し、
間に「100de名著」のプロデューサーさんの解説と示唆が入るというもの。
マルクス、女性のケア、古典
若干リベラル寄りといえなくもなかったけど、
全体的にはフラットな印象。
それぞれの専門家たちが語ることは正直ついていけないことも多く飛ばし飛ばしだったけど、
本との出会いで人生が変わることはとてもよく伝わった。
新しい世界への窓になることを期待してこの本を手に取ったけど、その目的は果たせたかなという感じ。
本を通して学び続けること、問い続けることが重要なんだと改めて考えることができた。 -
Posted by ブクログ
仕事で壁にぶつかった時や、代わり映えのしない日々に焦りを感じることがある——そんな停滞感に心当たりがある人にこそ、手に取ってほしい一冊です。
『能 650年続いた仕掛けとは』は、650年という時間を生き延びてきた能の仕組みを、現代にも通じる視点で解き明かします。単なる伝統解説ではなく、「なぜ続くのか」という問いに真正面から向き合った内容です。
特に印象的なのは、「初心忘るべからず」の意味です。ここで言う初心は、初々しさではなく、「古い自分を切り捨て、変わり続けること」。成長ではなく“変化”を前提とする考え方に、ハッとさせられました。
また、「めどき」という言葉も心に残ります。結果が出ない時期を、単なる停滞ではなく、次の飛躍のための準備期間として受け入れる。この視点を持つだけで、焦りとの付き合い方が変わります。
さらに、能が観る人の想像力を引き出す仕組みを、VRのような体験として説明している点も面白く、「難しい」という先入観が自然とほぐれていきました。
読み終えたとき、「変わり続けること」への見方が少し前向きになります。停滞を感じている時にこそ、読みたくなる一冊です。