【感想・ネタバレ】見えないものを探す旅――旅と能と古典のレビュー

あらすじ

いつもの風景が、その姿を変える

単なる偶然、でも、それは意味ある偶然かもしれない。
世界各地へ出かけ、また漱石『夢十夜』や三島『豊饒の海』、芭蕉など文学の世界を逍遥し、死者と生者が交わる地平、場所に隠された意味を探し求める。

能楽師・安田登が時空を超える精神の旅へといざなう。


私たちには、「見えないもの」を見る力が備わっています。
「目」を使わないでものを見る力です。(まえがきより)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

能を観たくなった
むしょうに歩きたくなった
漂泊の旅人であるシテに共感

P.161
能の物語の多くは、漂白の旅人が異界と出会うというパターンを持つ。ふつうの人には出会えない異界も、漂白の旅人だけは出会うことができる。そして、漂白の旅人は異界と出会うことによって、新たな生を生き直すことができるのである。能を観るということは、その地平に観客も巻き込まれるということだ。それによって、能を観終わったあと、心身ともに新たな自分に変化して、新たな生の可能性を感じることができるのではないだろうか。

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

日常と非日常に見る能的精神を綴ったエッセイ。
日本語、日本人の精神、日本関係ないけど能に通ずるところのある何か。
ワイには難しかったけど面白い。あわい…あちらとこちらが重なって存在するところ。ええですね

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

感覚として分かる
言葉にして感想書くのは難しい
やっぱりストンとくる感じ
しばらく安田登さんの本を追っかけて
自分なりの答え(感覚?)を
つかみたい
HUTBOOK STORにて購入

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2022年09月13日

Posted by ブクログ

下掛宝生流の能楽師、異才、安田登さんの雑誌連載を基にしたエッセイ集。能のワキとは「分く」から来た言葉で、あの世とこの世を分かつ存在、境界線に立つ存在だという。そのワキ方の安田さんが、能と旅と古典について記したエッセイは、まるで夢幻能のように、過去と現在、現実と幻の境界が曖昧になっていく。

一ノ谷で肩に止まった赤トンボから平家を視る。旅先で会った古老から疱丁の包丁さばきを幻視する。ほうきや麻雀牌から隠れた意味を見出し、松尾芭蕉の歌を脳内ARに再生させる。

こうしたことは誰にでも起きていると安田さんは言う。ただ、それに気づくか気づかないかだけだ、と。古典芸能や古典文学に触れることは、早回しのようになっている日々の時間軸を、ゆったりと、さらには引き伸ばしていくことにつながるのかも知れない。

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2022年05月17日

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