安田登のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『変調 日本の古典講義』 内田樹×安田登
本書のあとがきで、安田登さんが内田樹の本について、読み終わったあとに何も覚えていないということをお話されていたが、全く同じことを私も正直なところ、思っていた。おそらく大学1年生から約10年間で70冊程度の内田樹の著作を読み漁ってきたが、この本について何が語られていたのかを話すのは至難の業である。ただ、全く覚えていないのであるが、読んでいる途中の自分、読んだ後の自分は不可逆的に何か違うものになっていることはわかる。
特に、読んでいる最中には、どこかで思考のスイッチが入り、今自分の身の回りで起きていることや仕事等で悩んでいたことへの打開策が見えてくるとい -
Posted by ブクログ
「古典の知識つけたいな。難しいかな、でも学んで知ることができたらこれからもっといろんな本を楽しく読めるだろうな。ものの見方も変わるかもしれない」そんな思いを持ちながらも何もしていなかった私が、入門のようなものになるかもしれないと思って手に取った本です。読んだから知識が増えた、とは言えないけれども、自分のいろんなところが沢山の刺激を受けて、興味を示す範囲がぐんっと広がった感じがしました。心境の変化があったり、環境の変化があったり、少し期間を開けてみたり、そういう風にしながら何度も手に取って、言葉を咀嚼して、長く長く自分の変化を感じながら読んでいきたい本です。
-
Posted by ブクログ
能楽師の安田登さんが開成高校の生徒に特別授業をされた内容です
だからとってもわかりやすくておもしろい!!
.
. 「史記」を通して、歴史の中で思考の概念が生まれる過程がわかるということが驚きの視点でした。
文字が生まれる瞬間、心や時間の概念生まれる瞬間、法が生まれる瞬間、全て「史記」から見えてくるんです
無いものが生まれる瞬間。
文字がない時代の人たちは、文字がある世界なんて想像もつかなかったでしょう。
ということはこれからの時代を生きる私たちが今までにない概念を生み出すかもしれないということ。
そのために歴史やいろんなことを学んでたくさん考えることの大切さがわかりました。
ぜひ若い人たちに -
Posted by ブクログ
安田登(1956年~)氏は、大学卒業後、高校教員を務めていたときに偶々観た能の舞台に衝撃を受け、27歳で下掛宝生流ワキ方の鏑木岑男に入門。国内外の舞台で能を演じつつ、学生の創作能や能についてのワークショップ等、能楽の普及のための幅広い活動に参加している。能や能のメソッドを使った身体論等に関する著書多数。
本書は、能について、歴史、様式・形式、観阿弥と世阿弥、謡(うたい)、芭蕉や漱石への影響等、幅広い視点から解説したもので、目次は次の通り。
第一章:能はこうして生き残った、第二章:能はこんなに変わってきた、第三章:能はこんなふうに愛された、第四章:能にはこんな仕掛けが隠されていた、第五章:世阿弥 -
Posted by ブクログ
著者は、初めての能で「松風」を鑑賞中、水面に浮かぶ月の風景を幻視してから能にハマり、能楽師にまでなられた方。私も初めての能で、著者までではないが、鑑賞中時間を忘れてトリップした経験があり、能は従来のエンタメとは何か本質的に違うのでは、と思ったことがあったので、興味深く本書を読めた。
入門書に相応しく、能楽の歴史や、特徴や仕組み、効能などがカバーされていた。特に興味深かったのが、漱石や芭蕉、三島由紀夫や村上春樹などの現代の作家や漫画家の作品に見られる能からの影響。それら影響を受けた作品を改めて読んでみたくなった。
最も印象的だったのが、現代の映画などを私たちはお金を払って「消費」する感覚で鑑 -
Posted by ブクログ
新しい何かを学ぼうとしても、いきなり専門書に手を出すのはハードルが高い。そもそも、需要と供給の原則通り、専門書は価格も高い。
そんな時、NHKの100分de名著シリーズは、非常にありがたい。当代切っての学者や評者の解説を、まあ普通の版元なら無理だよねというリーズナブルなお値段で、気軽に手に入れることができるのだ。
本書は、摩訶不思議な能楽師、安田登先生が軍記物の名著『平家物語』を解説しておられる。「祇園精舎の鐘の声」で始まる名調子を大半の人は口ずさむことができるだろうし、重盛の「孝ならんと欲すれば忠ならず」という台詞をご存知の方も多いだろう。信長が好んだことで知られる幸若舞や能の『敦盛』は