【感想・ネタバレ】別冊NHK100分de名著 集中講義 平家物語 こうして時代は転換したのレビュー

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Posted by ブクログ

新しい何かを学ぼうとしても、いきなり専門書に手を出すのはハードルが高い。そもそも、需要と供給の原則通り、専門書は価格も高い。

そんな時、NHKの100分de名著シリーズは、非常にありがたい。当代切っての学者や評者の解説を、まあ普通の版元なら無理だよねというリーズナブルなお値段で、気軽に手に入れることができるのだ。

本書は、摩訶不思議な能楽師、安田登先生が軍記物の名著『平家物語』を解説しておられる。「祇園精舎の鐘の声」で始まる名調子を大半の人は口ずさむことができるだろうし、重盛の「孝ならんと欲すれば忠ならず」という台詞をご存知の方も多いだろう。信長が好んだことで知られる幸若舞や能の『敦盛』は「平家」が元ネタである。その他にも、あれは「平家」だったのかというお話はきっと少なくない。とはいえ、「平家」なんて、せいぜい高校の古典の時間に細切れに読んだきりである。これは学び直しがいがある。

本書は最初から安田節が全開フルスロットルで突き進む。ご自身も「あわい」の住人である安田先生は、『平家物語』は貴族から武士社会へと転換する「あわいの時代」を描いていると喝破する。そして、テクノロジーによる急速な革新が進む現代もまた「あわいの時代」であり、今こそ「平家」を読むべき物語なのだと語られる。実におもしろい。

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2023年04月20日

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