尾上与一のレビュー一覧

  • 天球儀の海

    Posted by ブクログ

    危なかった…
    みんみんさんとおびのりさんにハッピーエンドとお聞きしていなかったら心がブチ折れて、呆然と夜空を見上げてシリウスを探す所だった…

    本棚が濃すぎると愛すべき先輩方に心配(?)されたので、BLの金字塔で薄めて行きますよ!(あれ、薄まっていない…?)

    以前にオススメ頂いた1945年シリーズ『蒼穹のローレライ』に続いて再販で刊行された2作目です。(前も書きましたが本来は刊行順が違うそうです)
    今回は前作と違い、戦争が起こっているとは思えない平和に思える大分でのお話。
    見えると言っても実際は戦争の火の手はじわじわとにじり寄っており、主人公の希はいつ出動命令が出るか分からない特攻隊の志願兵として覚悟を決めて、今か今かとその時を待っています。
    それも憧れの坊ちゃん、資紀の代わりに死ぬ為に…

    幼少の頃に希の命を救ってくれた資紀は名家の嫡男でただ1人の息子です。父親は海軍中佐で大地主。資紀も跡を継いで立派な海軍大尉になっています。
    一方希は天文学者の父親の息子で四男、優秀で兄弟からも学者になるべきだと言われていましたが、いつかは資紀の下で飛びたいと航空学校に進み、立派な戦闘機乗りの資格を得ています。
    もうこの頃には物資、燃料不足なので練習で飛ぶ事も出来ず、一億総攻撃の風潮の中で特攻隊が編成されていました。
    資紀も本来ならば特攻隊に選ばれる可能性がある所を、父親の徳紀はたった1人の跡継ぎを死地に送る事を避けたく、ですが名士である成重家ともあろうものが息子を出さないと言うのも世間体が悪くなるので養子を迎えて代わりに特攻隊に出そうと言うのです。その白羽の矢が立ったのが希です。

    改めて凄い時代だと痛感します。
    「日本人は何人生き残れるのだろう」という台詞が作中で出て来ますが、もしもあのまま降伏していなければ、日本は正に焦土と化していたかも知れません。
    希の願いは坊ちゃんの為に自分が飛び、彼が暮らす日本を守る為に敵艦を落とす事。
    この話にはむしろ嬉々として乗ります。奇跡が起こったと喜ぶ位。
    なんという…なんという健気さ…。

    希の兄の恒もラバウル航空隊のエリートパイロットとして飛んでいるのですが、気になり調べた所、次回発売の『碧のかたみ』に登場するようなので楽しみな限り。

    ですが希の方は飛べずに、身代わりになっているのがバレない為にずっと成重家の離れで隠れ住んでいます。幼い頃に資紀から貰った青い綺麗なトンボ玉を握り締めて、憧れの人の気配を近くに感じながらその人の為に死ぬ事だけを願って。
    なんという…なんという(強制終了)

    ローレライでは抜けるような南の空が印象的でしたが、今回は希の手の甲にオリオン座の形の黒子がある為に美しい夜空が効果的に描かれます。
    黒子は星座と逆なので海に写すと完成するという、どうしたらこんなロマンティックが止まらない発想が出来るのか。
    前回も思いましたが尾上さんの透き通るような表現のお陰で、冒頭の希が夜空を見上げるシーンや、資紀が縁に座って1人で星を見上げているシーンが非常に美しく、当時は空襲の為に灯りも消していたのでさぞかし空だけは美しさを保っていたのだろうなと切なくなりました。

    資紀は軍人としての誇りを持っているので、恐らく自分が特攻隊として飛べず代わりに行く希に腹を立てているのだと希は思っています。
    この辺りが平和な時代に育っている私には信じられない価値観なのですが、実際に資紀は希の事を覚えてはいたものの、憮然とした態度です。
    それがどんどん冷たくなり、とある時期から辛く当たられるようになり…
    私も読んでいて希と同じように「なんで?!なんでこここまで?!どうしたん?!」と困惑していたのですが、不思議となんだこのクソヤロー!とならないのが資紀の凄い所。

    しかし終盤の方で資紀がとった行動には衝撃過ぎて一度本を下ろして「えぇっ?!ちょっと待って?!」と声を挙げてしまいました。
    ですが、ここで気付いてしまうのです。彼が何故ここまでするのか。勿論、最後に希もちゃんと気付きます。
    ここまでしないと愛する者を守れない時代…

    はい、例の如く涙腺崩壊。今回はベッドの上だったので人目を憚らず浸ることが出来ましたよ。
    本を読んでる時は泣いたって良いじゃない!!
    誰に言い訳してるのか分かりませんがとにかく最後の方は「マジか…マジかよ…」と1人でブツブツ呟きながら読んでる怪しい私でした。

    書庫とかランタンとか星空とか、今回もロマンティックなシチュエーションが盛り沢山でしたが、ローレライの時よりも見ていて切なかったです。
    いや、ローレライも切ないけど…。

    その分、本作の書き下ろしは本当にほっこりしました。もう良かった…。ただ、ただ良かった…。
    雑貨店の店主には2人に代わりお礼を申し上げたい。

    おびのりさんも仰ってますが、毎回このシリーズはBLとか超越して文学ですね。
    みんみんさんのレビューで拝見したのですが、戦争をテーマにする事に批判的な意見もあるようです。ですが個人的に戦争史を勉強している身としては全く問題無いと思っています。
    きちんと戦時中の女性の逞しさや悲哀なども描かれていますし、確かに少しファンタジー色も足されてはいますが、それは読み物として仕方の無い事だと思いますし、当時の国民の意識もちゃんと表現されています。

    個人的にはお洒落が出来ない女性たちが、せめてもの慰めに花言葉に思いを馳せているというくだりが良かったです。
    女中の告白の仕方も良かったなあ…。あれをやられたらちょっと好きになるかも。

    次回作も楽しみです!

    2
    2024年05月19日
  • 天球儀の海

    Posted by ブクログ

    さてさて...1945シリーズ復刊 第2弾。

    感想は旧版の方にあるので割愛しますが、新規書き下ろしの掌編『青いカップの王様』が最高だったことをお伝えします。

    1
    2024年04月28日
  • セカンドクライ

    Mo

    購入済み

    兄の麒一朗通して元虐待児である慧と出会った桂路。兄の遺言で彼氏と共に過ごすことになります。出会いにより画家として調子を戻します。兄の想いがほんと心温まります。泣けます。ぜひ読んでください。

    1
    2024年04月01日
  • 蒼穹のローレライ

    Posted by ブクログ

    尾上与一 1945シリーズ
    待望の復刻再販。書下ろし掌編付
    みんみん、再販教えてくれてありがと。
    4作連続刊行第一作。

    時代設定は、太平洋戦争中期
    舞台は、ラバウル航空隊

    家族の辛い過去を背負い、戦績を上げることで、家族の名誉まで回復する為だけに飛び立つ戦闘パイロット、塁。
    彼の専属整備員となり、心身共に支える三上。
    二人は、徐々に認め合い、自分の死をも厭わなかった塁に戦争後の人生の夢を持たせる。
    ローレライと呼ばれた果敢なパイロット塁が、初めて自分の感情に素直になれた時、彼の零戦は静かに海を漂う。
    想像していた以上に文学だった。キャラ文庫なのに!
    書下ろしSS「面影」は、塁が三上の写真をどうにか手に入れようとするお話で、きちんと時代設定と相まって、程よくBL心をくすぐります。
    あとがきで、日時と人物が特定されやすいジャンルでの架空性を大切にしたとありました。
    架空であっても 現実の厳しい戦地で何かしらの支えがあって欲しく思いました。

    0
    2024年03月15日
  • 蒼穹のローレライ

    Posted by ブクログ

    1945シリーズ 復刊おめでとうございます。

    旧版も手元にありますがなかなか読めずにいた本作。

    "聞け。ローレライの声を"
    p.299の一節が心に残っています。

    0
    2024年02月29日
  • 初恋をやりなおすにあたって【SS付き電子限定版】

    購入済み

    初読みの作家さん

    初めての作家さんです
    幼なじみで初恋の人で今でも好きで
    でも、お母さんのこといまの自分のことを考えたら告白も躊躇う
    一方自分で決めた仕事を途中で投げ出して逃げてしまった、師匠の娘との縁談を断っても逃げられず
    そんな二人が再会して遠距離恋愛になる
    でも心はいつも側にいるから大丈夫

    #胸キュン

    0
    2024年01月28日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    ネタバレ 購入済み

    一気読み!

    リディルとグシオン、その養子のやエルの和やかムードから、リディルの兄のステラディアースの危機に、かつてグシオンを苦しめた呪いが再び表れ、一気にハラハラドキドキの展開に!目が離せません。
    ステラディアースと、ずっと側で支えてくれたゼプトのやり取りに感動しつつ一気読みてした。また更なる展開が楽しみな終わり方で、次作に期待大です。

    0
    2024年01月21日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    み

    購入済み

    今回も泣ける

    今回は、2人の養子のヤエルが登場。次男のステラと騎士のゼプトのお話が同時並行に進みます。
    ステラに献身するゼプトがカッコいい
    ステラとゼプトの身分格差の恋も素敵でした。
    優しく大人しいヤエルが
    最後リディル達のために頑張るのも
    うるうるしてしまいました。
    大好きなシリーズです。

    まだ続きがありそうなので
    楽しみ

    #切ない #ドキドキハラハラ #深い

    0
    2024年01月10日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    ネタバレ 購入済み

    リディル大活躍!

    ステラ兄様のお話ですが、ステラ兄様を救うために三男リディルが大活躍!そしてもしかするとロシェ兄様も…?
    うわぁぁ続きが読みたーーーいっ!

    0
    2023年12月31日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    匿名

    購入済み

    感動します

    このシリーズは大好きです。何度も涙しながら、最後まで読みきったら、胸がいっぱいになりました。読後感は最高です。一巻目から読んで下さい。

    #泣ける #感動する #切ない

    0
    2023年12月30日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    Mo

    購入済み

    王子ステラのお話でした。ずっと繭の中でしか生きられずリディルと1番仲の良い兄であっても不遇な人生だと思ってたので、彼のメインのお話が出て嬉しいです。ゼプトは素晴らしい人格と才能の持ち主。ベストな伴侶ではないでしょうか。次はまたロシェのお話かな?

    0
    2023年12月25日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    YY

    購入済み

    待ってましたー!
    ロシェの物語がでたあと、次はきっとステラだと思い待っていました。
    お気に入りのシリーズ本の一つです。
    父王と王妃の話も読みたいな。

    0
    2023年12月22日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    購入済み

    待ってました

    大好きなシリーズです。今回も期待を裏切らない心暖まる物語でした。続編お願いします

    #ハッピー #感動する #胸キュン

    0
    2023年12月11日
  • セカンドクライ

    み

    購入済み

    バランスが良かった


    主人公の桂路の兄
    麒一朗が亡くなるところから始まります
    最初は、悲劇的な話かと思ってたのですが
    悲しみを引きずったままにせず
    かと言って故人を偲ぶ2人の
    お話は最後まで飽きさせず
    面白かったです。

    #癒やされる #切ない #深い

    0
    2023年12月10日
  • 虹色の石と赤腕の騎士 花降る王子の婚礼3

    購入済み

    大好きなシリーズ、ついにステラのお話が、、、!
    めちゃくちゃ嬉しい。
    ゼプトやヤエルの勇気と清い心が温かく、
    変わらず互いを想い合うリディルとグシオンに
    やっぱりキュンキュンです。

    雰囲気的にまだ続きがありそうなので楽しみ。
    ゼプトとステラのその後も気になりますし、
    ロシェ達のように本人達視点での物語でも
    嬉しいなあと思います。
    文章の全てが美しく、
    過去作品も何度も読み返していますが
    また一作目から読み返したい気持ちになりました。
    シリーズを通して言えますが、
    世界観にどっぷり浸りたい時にオススメです。

    #胸キュン #ドキドキハラハラ #切ない

    0
    2023年12月10日
  • 【分冊版】キャラ文庫アンソロジーⅣ 瑪瑙 [氷雪の王子と神の心臓]番外編

    購入済み

    大好きなシリーズです。
    個人的にはグシリディが好きですが、
    イスロシェがメインのお話です。
    本編もそうだったけど、切ないな〜。。。
    月にたった2日、それもイスハンに呪いが
    掛かっていた時期もあり尚更に貴重な時間。
    ほのぼのとした日中とは対照的に
    夜の二人の時間は胸にグッときます。

    #切ない #ほのぼの #泣ける

    0
    2023年07月22日
  • 氷雪の王子と神の心臓

    匿名

    購入済み

    氷の姫

    前作と同様、期待に違わず最高に楽しめました。
    二人共予想を上回ってヤンチャで、笑えるシーンも多くてハラハラしながらも感動できます。
    シリーズにして欲しいです。

    #ドキドキハラハラ #感動する

    0
    2023年03月25日
  • 氷雪の王子と神の心臓

    Mo

    ネタバレ 購入済み

    前作のリディル王妃の姉でロシェの物語で、かなり悲劇的な人生を送ってたと思ってたのですが、猛烈な恋愛結婚で王様は彼女を救う為に掠奪したということにして真実を隠すほど愛してたんですね。
    途中後宮が出来て小作りに励んだ王に幻滅しましたが、これは大国の皇帝としての定めだったんですね。でも嫁に説明しろって思ったけど。ロシェと結ばれてからはハーレム後宮も閉じられ一筋になったし、二人のラブラブなのが見られて前作で不幸な事件が起こってるのが分かってるなか嬉しかったです。リディルもそうですがもっと続きが読みたいです。

    #感動する #切ない

    0
    2023年03月20日
  • 雪降る王妃と春のめざめ 花降る王子の婚礼2【SS付き電子限定版】

    Mo

    購入済み

    ほんとにグシオン王とリディルは仲睦まじくようやく幸せになれるとなったのに大国に攻められて王は重症、リディルも怪我と記憶も無くすなんて何と不幸なことだと。兄君がずっと連絡が取れなかった理由がわかりこれまた姉も愛のために自分の身体を消滅させてたという事実にショックしました。
    リディルの努力の甲斐あり姉ともアイデース王とも交流が始まり魔法陣を直せる大魔法使いとも出会えてある意味で幸せになって良かった。スピンオフのお姉さんの話も読んでみたいです。

    #ハッピー #泣ける #切ない

    1
    2023年03月19日
  • セカンドクライ

    購入済み

    好き!

    尾上先生の新作!そして草間さかえさんの挿絵も素晴らしい。
    不思議なタイトルだな、と思いながら読み進め、意味を理解した時の高揚感たるや。

    主演カプを見守る(見守る…?)役柄である緒川さんが実に良い。

    良作です。読んで良かったです。

    緒川さんのスピンオフもぜひ読みたい。

    0
    2023年03月19日