塚本勝也のレビュー一覧
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エルブリッジ・コルビー博士の原著を防衛研究所の塚本氏等が訳出したもの。これは原文でなんと書いてあるのだろうという訳もたまにあるが、全体としてはうまく訳されていて、原著にあたるよりは大分楽に読めた。
コルビー氏は、トランプ第一次政権で国家防衛戦略をリードし、対中シフトを軍事面から支えた人物であり、何を隠そうつい先日、議会承認を経て前回よりもランクを上げて、政策担当国防次官としてペンタゴンに帰ってきた。
氏の筆致は冷酷なまでに論理的であり、リスクと便益の冷徹な計算に基づいている。大掴みの論旨は明快で、米国はインド太平洋の平和と安定に最も重大な国益を持っており、そこに覇権を敷こうとする中国に対し -
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Posted by ブクログ
現代の戦略研究の第一人者の一人である著者の和訳本で2014年に発行されているが、もともとは1987年原本出版であり、和訳が遅すぎよう。内容が難しいこともあるが、欧州各国はもちろん中国韓国よりも遅いのは、このような戦略研究者が防衛省や自衛隊に限られているというお寒い状況のせいだと思う。
副題の戦争と平和の論理こそが、内容を的確に示している。通常生活における合理的な直線思考とは異なり、逆説の論理が技術や戦術から戦略まであらゆる場面で支配している、という。それをこれでもか、という膨大な実例で解説する。
おおいに感心したが、難しい表現や複雑な説明も多々あり、一度読んだくらいでは理解したとは言いが -
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Posted by ブクログ
筆者であるエルブリッジ・コルビーはアメリカのトランプ政権のNational Defense Strategy作成メンバーの1人である。そんな彼が書いた本であり、英語版は多くの文献で引用されている。そのような本が英語版が出てから2年程で日本語版が出たのはありがたい限りである。
内容としては中国の地域覇権を阻止するために何ができるかである。アメリカのすべきこと、各地域ができること、また我が国日本に求められることなどが書かれる。また、想定される軍事行動に対してどう対処するのか、またそのために何ができるのか、するべきなのか、もしくはしてはならないのかが書かれている。
英語版が出されてから2年が経った -
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Posted by ブクログ
C国の覇権を阻止するための米国の戦略について、かなり理論的に詳細に検討していて面白い。
のだが。
これは現覇権国たる米国が、自国の安全自由繫栄を脅かさないために、覇権挑戦国を許さないという本で、ぶっちゃけ、「中国」を「米国」に差し替えても国によっては首肯できる。昨今の、某大統領貿易についての横暴ぶりを見るに、一皮むけばさほど変わんねえと思うところもある。
ただ、我が国としてはそれでも米国の方がかなりまし、という話であって、C国の覇権なぞ現実化なぞ目も当てられないのも事実。
なぜかは、C国が胸に手を当てて考えてもらいたいものだが。
米国は、自領土自体は相当程度安全という前提が薄ら透けて -
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Posted by ブクログ
「戦略」についての教科書的な著。内容としては、戦争とは何か、戦略とは何かという根本的な問いに始まり、過去の戦略思想家と彼らの思想の変遷、さらには戦争や戦略に関連した議論が歴史的にどのように推移し発展してきたかということについてこれらを系統的に叙述する一方で、現在各国が直面している、戦略に関わるグローバルな問題について分析し、その解決の可能性についても戦略的な視点から言及しています。ヨーロッパやアメリカに比べて日本では戦略に関連した研究があまり成されていません。その意味でこの本は一般の人が戦略という概念に対する理解を深める一助となるように思います。