松永正訓のレビュー一覧
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途中まで読んで積んでいたのだけれど、改めて読むとよかった。自分は障害や医療的ケアのあるお子さんのための保育を事業でやっているわけだが、そこまでつながらない、病院と在宅を行き来しながら過ごすお子さんもやはりたくさんいるのだ。そしてそういうご家庭にも、そのご家庭の愛と生き方がある。
医療職が患者の延命と緩和ケア、人道的な観点でどれくらい治療を続けるか、というような課題は子どもにかかわらずあって難しい問題だけれど、その中でも子どものために本当に一生懸命になって命を救うために治療する医者、看護師をはじめとした医療職の人々には頭が下がるなあ、と改めて思った。 -
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一人の優秀な看護師にインタビューして、仕事の実態、一人前になっていく過程、勤務の苦悩、医者や患者との関係などを喋ってもらい、看護師の舞台裏に迫るドキュメンタリー
それにしても、この看護師・千里さん(仮名)はすごい人だ。
彼女は、地方の古びた病院で新人として勤務、師長から働きぶりを認められ、自治医科大学のオペ室のナースとして研修を受ける。そして、元の病院が新病院として建て替えられたのに合わせ、そのオペ室で勤務することになる。
彼女のすごさは、前向きな姿勢。オペを怖れず、解剖学や初めて聞く病名を図書室で調べたり、術者への器械出しのスキルを極限まで向上させたり。
おそらく、仕事への情熱はトップクラス -
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ネタバレ★感想
勇太くんやご家族の気持ちを知ることができた。
ただそれだけだけど、心が動く。それが大事と改めて感じた。
優しい眼差しで、背景を想像しても
〇〇さんと同じ気持ちになりたくても
〇〇さんにはなれない、だからこそ。
障害者は、コミュニケーションを通して人間関係を築くことは難しい、
心が見えにくいなど脳の構造上、仕方ないとか可哀そうとかじゃない。
うまく言えないけれど、誤解を恐れずはっきり言うと、
障害がなく生まれてきた人のほうが、生涯を通して心も身体も圧倒的に自由。
自由な私が支える、寄り添うことは当たり前。
どうやったら今を穏やかに過ごせる?楽しいかな?を共に考え続けていく。
時に「な -
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自閉症を持つ子と、その母親について。
お涙ちょうだいではない。ほっこりエピソードも大してない。救いのない話でもない。かといって、全面的に救われる話でもない。
ただただ、障害児と生きるという、その生活、人生。そこで起こる困難や喜び、母子の変化を描いている。他の障害児を例に、障害児を持つ困難さや、障害児福祉の社会制度についても知ることができる。
文庫化にあたり、単行本からの5年間での変化も追記されている。当然のことだが今もこの母子が生活をしていることが、文庫本ではより強く感じられた。
子どもを持つと一度ぐらいは「この子には何か問題がないだろうか」と不安が頭をよぎる。「何があっても愛して育てよう -
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なるほどなぁと思いながら読んだ。
大学病院時代、病気になり勤務医を退職したこと、クリニックの立ち上げ、電子カルテの作り込み、クリニックでの診察あれこれなどなど。
すごく実直に文章を書かれていて、医師目線でのとらえ方が読んでいて新鮮だった。
面白かったのは松永先生が自身のことを「ニコニコした医者ではない」と言っていたこと。それまで勝手に想像していた先生像を裏切るものだったが、かえってその飾らなさが好感を持てた。
風邪に抗生剤は不要なこと。開業医でも診断のつかない病気はあること。しかし、患者が危ないのかそうでないのかを判別することが大事だということ(6日間熱が下がらなかった1歳半の子の例) -
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私は子供の頃に体が弱く、頻繁に医者に掛かっていた。一患者としては、予約を取り、具合が悪い中を待った結果、納得のいく診察と薬の処方を頂くための、たった数分の真剣勝負である。ところが先生から「しばらく様子を見ましょう」「原因が分かりません」などど言われると、不安になるし、時にはイライラしてしまうもの。正直「こいつ大丈夫か?」と思いたくなるもの。
全ての先生に当てはまるか分からないが、医師の方も、短時間で真剣勝負をしていることが分かった。「様子見、原因不明、ストレスが原因」という言葉も、真剣勝負の結果、やむなく発せられる言葉なのだろう。筆者のように、ここまで自分の弱みを自己開示してくださり、真剣に -
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軽い気持ちで読み始めたのだが、これが意外に面白かった。
正直でフェアで好感の持てる著者である。
自分のことをビビりでいわゆる「繊細さん」だと言う。ここまで自己開示する医師ってそうそういないような?
看護師との関係性など、なるほどそういうことだったのね、と納得。開業するのって資本金ほとんど要らないなんて!専門のコンサルにお任せしているっていう世界。
なるほどなるほど。
(どこにでもコンサルって今はガンガン入ってくるのね。この件に関しては、うーん…。いろいろ思うところはある。そういう種類の「仕事」もあるとは思うけどね。)
理念はちゃんとあるのに、自分の弱さをさらけ出してくれるこんな医師が主治医