江口夏実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白い、名作だ、と言われる漫画に必要な条件や定義は色々とあるだろうが、私個人としては、前の巻より面白いってのは大事かな、と思っている。つまり、この(6)は(5)を上回っているので、『出禁のモグラ』は名作、と呼ばれるべきだ、と力強く言いたい訳だ、私は。
これまでも、『出禁のモグラ』では、怖いっ、と感じる事は多々あった。前シリーズなんか、何度も鳥肌が立ってしまった。
しかし、その恐怖はオカルト的だったり、鬱屈した人間の闇の部分に対するものだったが、この(6)で感じた恐怖は、看守である浮雲さんが揮った圧倒的な暴に、だった。『嘘喰い』で登場する立会人レベルの暴だわ、これ。
看守だからこそ、モグラを守る、それが浮雲さんにとっては大事。そのモグラが囚人として過ごせない状況になったのならば、相手の理など容赦なく捻じ伏せ、無慈悲な攻撃を加え、命を刈ろうとする。この世には、色んな恐ろしいタイプがいるけど、自分の職務に、どこまでも忠実だからこそ、自分の役目を果たすためなら、手段を一切、選ばないタイプは一線を画した怖さがある。
そんな浮雲さんの、文字通り、人間離れした怖さで読み手を震わせたのと同時に、この騒動を起こしていたゲームマスターの抱えていた闇を露わにし、読み手に「これは果たして、悪と言えるのか、悪として裁くべきなのか」と考えさせるのもまた、江口先生、テクニシャンだなぁ、と感じさせてくれる。
実際、誰でも持っていると思うんだよな、この劣等感と自己顕示欲、「好き」を共有したいって欲が綯い交ぜになったものは。そんな人間らしい心から、この騒動を起こしてしまったのは、一人の天才少年。子供だから何をしても許される訳じゃなく、やっちゃいけないラインを越えてしまった以上、その罪は裁かなきゃいけない。そう、この少年は、自分が犯した罪を裁かれるべき所で踏み止まってくれていた・・・逆に言えば、そこで踏み止まらなかったのなら、私は子供であっても、裁く事はせず、その命を断つべきだ、と思っている。
最後の最後で、毒繭アケロンティアこと熊谷誠治(故48)に好い働きをさせるってのも、江口先生かつこの『出禁のモグラ』らしいな、と感じた。何がどうってのは説明し辛いんだが、藤田和日郎先生の『双亡亭壊すべし』の凧葉やみなぎ得一先生の『足洗邸の住人たち。』の福太郎のような、本来であれば、非戦闘員であるはずの絵描きが、戦いの勝敗を引っ繰り返すような一手を打つ爽快感に近いものを、この熊谷の言動に、私は感じた訳である。
この「呪いのゲーム」編の着地点は、ハッピーエンドじゃないけど、バッドエンドやビターエンドでもなく、結局んとこ、こういうのが一番、落ち着くんだよな、と思えるものだった。他のシリーズに負けない、色々と考えさせてくれるものだった。
ちょっとじゃ済まないレベルで「呪いのゲーム」編が重かった事もあってか、江口先生、「猫附ゼミ夏合宿編」は結構、はっちゃけてるっつーか、明るさに全振りしてるわ。こういう、明と暗の使い分けも、江口先生の武器だ、と私は思う。
悪い奴じゃないし、むしろ、良い奴なんだけど、絡み辛いっつーか、積極的には関わられたくないタイプである、陽キャの更なる先にいる藤村に対する苦手意識を、ほんのちょびっとであるが、ドッヂボールで克服した真木くん。そんな彼の背を、モグラが良い感じに押してくれているのが、これまた、グッと来る。この背中の押し方、やる気の出させ方は勉強になるわ。
この台詞を引用に選んだのは、モグラは真木くんのことをちゃんと見てくれているんだなぁ、と感じたものだったので。
短所や弱点を悪い、とせず、それも個性を形成する大切なものと見た上で、優れている部分をしっかりと、本人よりも把握してくれているのは嬉しいもんだ。
「真木の弱点は、全てにおいて、『ビビリ』なとこだ!他の点では、判断力も行動力もある!!ビビリを取っ払えば強いぞ!!」(byモグラ)
この台詞を引用に選んだのは、深いなぁ、と感じたので。
熊谷誠治(故48)って、アクが弱くないキャラが言うからこその説得力。
毎度のことながら、名言は言うキャラも大事だな、と思う。
人生は儘ならない、でも、だからと言って、何の努力もしないってのは違う。
どうにもならない、と解っているからこそ、少しでも、どうにかしようって足掻くのが人間だ。
その足掻きを止めてしまった時、人は、気付かない内に、自分の「大切なもの」を自分で捨てちまってるのかも・・・
「生きたい人が早死にして、生きたくない人が苦しみながら生きています。世の中、上手くいかないです。世の中、変です。いつだって、一番欲しいものは手に入りません。3番目くらいに欲しいものの方が、何故か、手に入りやすいです。皆、それはわかっていて、それに対する対応の仕方が、多分、人生の分かれ目です」(by熊谷誠治)
この台詞を引用に選んだのは、上にも書いたが、モグラの発破の掛け方は学ぶところが多い、と感じているので。
社会人としてやっていくには、ある程度、こういう能力が必要なんだよな、と悩む事が度々。
後輩の、困難に立ち向かう勇気を引き出したい時、このスタンスを参考にしたい。
また、モグラのこれで、戦う気持ちを持つ真木くんも良い奴だな、と思える。
「それにな、真木も一回、戦った方がいいな。『藤村』って、よく、お前の話に出てくる、『気のいいジャイアン』ぽい奴だろ?見てわかったよ、ドッジボールの件も、また押し切られたんだろ。お前、見るからに気が進まなさそうだもんな。ただな、いつも我慢して意見を譲るのはお前の勝手だが、譲る以上、相手の土俵で戦うのを許すってことでもあるな。なら、ちゃんと戦ってみないか、まぎ太くん」(byモグラ)
こちらの台詞もまた、モグラの人(まぁ、神様なんだけど)としての器がデカいってことを魅せてくれるものだ。
モグラの中で、藤村に対する恨みは、相当に深かったはずである。
しかし、藤村に敗北の味を舐めさせた事で、その恨みをキッパリと捨てるのは、漢にしか出来ない、と私は思った。
許す力、これもまた、人間には必要か・・・
「よォーし!!これで許―す!!!」(byモグラ) -
Posted by ブクログ
『現世の人間、あの世の鬼』
そう、すなわち本作は地獄の「鬼」による物語。
勿論、地獄の話なので閻魔大王も登場する。
でも、個人的に一番気になるのは金魚草。
(是非、育て方を鬼灯様から教えていただきたい)
本作は、閻魔大王第一補佐官である、鬼灯(様を付けさせて下さい)と、その他癖のある住人達による、地獄の日常を描いた作品。
地獄の話、と聞けばホラー…?と思われる方もいらっしゃるだろう。私も本作に触れる前は、そんなことを感じていた。
だが、ホラー要素は殆どなく、むしろ上手く盛り込まれている時事ネタや神話ネタに、お腹を抱えて笑ってしまう程の面白い作品。
アニメ化もされ、原作ともにかなりの人気がある本作。
日本の神話など、勉強となる部分も多いので、是非読んで、他の方にもおすすめして欲しい。 -
購入済み
鬼灯と白澤が心ならずも一緒に飲む回が笑えます。
私事ですが、以前公務員の友人(大トラ、辛いもの苦手)と薬剤師の自分(彼女より子トラ、辛いもの好き)で飲んだ時とリンクしすぎててなお可笑しかったです。
「地獄なんてファンタジーな設定なのに自分のことみたい!」と思うのは、地獄が実はファンタジーなんかじゃない、という証拠だったりして…!? -
Posted by ブクログ
ネタバレいや、ちょっと、待って、(3)と(4)でガッツリ描かれた「人魚編」があんだけ面白かったのに、この(5)から開幕した「呪いのゲーム編」、序盤から、メッチャクチャ面白いんだが・・・・・・凄い。
改まって言うような事でもないんだけど、この『出禁のモグラ』、前作の『鬼灯の冷徹』とは違ったベクトルの面白さに攻めていて、なおかつ、江口先生の成長を読み手に感じさせてくれる。
オカルトネタを絡めた面白可笑しさで、読み手を「クスッッ」と笑わせてくれる、そこは『鬼灯の冷徹』でも用いられていたテクニック。
そのテクニックは、この『出禁のモグラ』でも使われているんだけど、コメディ色はあえて抑え気味にして、シリアスっつーか、各編の、軽々しく扱っちゃいけないテーマを、読み手に「アナタたちは、どう考えますか?」と問うてくる感じに、江口先生の人間的な深味を感じさせてくれる。藤田作品のように、読み手へぶつかってきてくれる漫画が、そら、つまらん訳がない。
この「呪いのゲーム編」で、江口先生が持ち出してきたテーマ、それは何なのか、私の読解力が到らぬ事もあって、正解なのか、は判らんけど、個人的には、「一線を越えちゃった、一芸を極めたオタクの業と闇、それは許すべき罪か、それとも、絶つべき悪か」と思った・・・・・・自分でも、いざ、言語化してみて、何のこっちゃ、と首を捻ってしまうんだが、大雑把に言えば、「無邪気は悪か、悪じゃないか」だ。
ネタバレになってしまうんだが、この「呪いのゲーム」を発現させ、プレイヤーを(悪)夢の世界へと引きずり込み、連続プレイで脳を休ませず、過労死に追い込んでいるのは、他者からの批判を病的に恐れ、そんな自分を誰よりも自分で嫌ってしまい、そして、霊となった時、誰も自分を酷評せず、同時に、自分が楽しいだけの夢の世界を作る力を得た、天才ゲームクリエイター。
彼は、特定の個人を恨んでもいないし、世界そのものも憎んでいない。ただ、自分の作ったゲームを全力で遊んでくれる人たちの奮闘を見て、自分自身が楽しい思いをしたいだけ。生きた人間を片っ端から疲労で殺す事が目的ではなく、結果として、死の淵まで追い込んでしまっているだけ・・・悪意を軸にした行動じゃないだけに、却って、厄介で面倒臭くて、取扱注意案件。
現実にもいるだろう、決して、悪気はなく、ただ、自分の「やりたい事」を優先して行動を起こし、目も当てられないトラブルを起こしてしまうタイプの人間が。決して、人間のクズではないが、かと言って、人畜無害な善人からも程遠い。ハッキリ言えば、深い関りを持ちたくない、自分の側にいられたら困る存在だ。
そんな善でもなく、悪でもない、実に人間らしい感情と願望で、この天才ゲームクリエイターの霊は自分だけの世界を作り上げた。彼の作ったゲームをクリアできなければ、死ぬまでプレイ地獄。一度、クリアしている森君(ver.2)を新たな仲間に迎えたモグラたちは、このゲームをクリアし、同時に、この霊をどうにか出来るんだろうか。自分が非難されない世界が欲しい、ってのは誰もが望むものだけに、力づくで祓っちまうってのは後味が悪くなっちまいそう。
それにしても、この(5)で、最もギョッとさせられたのは、表紙も飾っている浮雲さんと真木くんが梅雨の元で会話を交わし、衝撃的な事実がサラッと明らかにされた第36話「梅雨の中にて」だった。やっぱりなぁ、と思いはしたが、ここで、しかも、ポロっと出すか、と戦慄した。何より、浮雲さんの、モグラとは異なり過ぎる、人から懸け離れている感じにゾワッとする。彼女の存在が、これから、物語をより面白くしていくんだろうな・・・ほんと、江口作品は面白いなぁ。
この台詞を引用に選んだのは、確かに、と納得できる言葉だったので。
あのトラブルに巻き込まれて、気持ちの置き所が変わって、毎日を生きる事にある程度の余裕が出来た森君が言っているのも大きいだろう、これは。
人間、持っている手札ってのは、各々で違って、人生はその手札だけで戦っていくしかない。
使える手札は使うべきタイミングで活用する、それが、人生強者になるコツかね。
「不思議なもので、この顔を人にイジられるのは嫌だったのに、自主的に活用してやろうと思ったら、わりと楽しかった。人間、現金なもんだね」(by森 -
Posted by ブクログ
ネタバレ呪いのゲーム編、まさかの人の介入でまさかの展開になりかけてびっくりした。
権限行使されたら最強か。
熊谷さんの説得のお陰で力業ぶった斬りエンドにならずに本当によかった。
そして、更にキャラ特性が追加された森君である。
楽しそうでなによりです。
後半は猫附ゼミ合宿話。
教授めっちゃはっちゃけてるな、キャラ崩壊かと思ったけど、そういえば奥さんでマウント取ったり、そもそもあの方を奥さんに迎えている時点でお茶目さんだよねと妙に納得した。
ただ除霊という意味では解決しなかったような。
あの後、問答無用で食われただろうな、あのお調子者の霊。
どちらの話でも真木君のコンプレックスだったり臆病だったりする部分を取っ払ったときに見られる長所に焦点当たっていたのが印象的だった。
弟君より本当にいい男だよ、真木君! -
ネタバレ 購入済み
ゾクッと笑える
ゾクッと笑える。ゲームで出てきたあの人は準準レギュラーになるのかな??なんだかんだあったけど、一番おもしろかったのはオマケページの店長の話だった!
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ネタバレ 購入済み
お猫様じゃらし
いっぱい食べる君が好きー
↑
そして、集まる霊体の皆様
賄いが美味しいかどうかって、特に学生バイトだと重要なの分かる。
しかし、祓い給え清め給えしそうなやつがねこじゃらしとはww
しかも、ハチワレ以外にシロ饅頭みたいなの出たww -
Posted by ブクログ
ネタバレアンデルセンの童話が侵食される。
すぐに傷つく、泣く、ネガティヴ思考にウンザリさせられるがその思考に付き合う事で成長する。
悲しみの真珠がテーマになっていて人魚姫の涙、マッチ売りの少女、片足の兵隊、結末は救いようのない話だけど、たくさん出版されてきたさまざまな作家の作品でいまでも残っているということは心に突き刺さる後世に残したい話なんだと実感。
今まで現実逃避だけのために読んでいた本を深く考察して読むことをしていなかったので読書は大切の意味がわからなかったけどこの本で学ぶ。
もったいない時間を過ごしていたと思うけど、こういう風にものごとを考えることを教えてくれる大人がいなかったので子どもが理解するまで本の大切さを教える必要があると思った -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初ただの修復する作業かぁつまらないと思いながらも読み進める。が、それなりに考えさせられる内容で悪役がいないと物語は面白みにかけると、確かに悪役が善人だったらラプンツェルは外に出たいと思わないし、塔の中で一生を暮らす事になる。
1番最後のプロローグでどう感じるかは読み手次第と言っているが塔の中で一生を魔女と暮らすのが幸せだと思う人もいる。そして魔王が物語を変えているのは人間の想像力を衰えさせるため。確かにゲームは死んでもまた復活するし暴力も痛くない。想像力がなくなっている現代の警告になっている本。薄いし読みやすいので、真剣に向き合って考える時間も充分取れる本。
やはり自分はこの作家全ての作品が好きだし児童書を読んでこなかった今までの時間をムダに過ごしていたんだなぁと思う。 -
匿名
購入済みジャイキリ
他はあんまり興味なかったけど、ジャイアントキリングが表紙だったし久しぶりに掲載されていたから読んだ。面白い。買って良かった。
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購入済み
どのコマも美麗
楽しみににしていた新刊!
序盤で、え…こんなに知っちゃっていいの?と戸惑うくらいミステリアスだった部分が明かされていきましたが、明かされたところで結局はミステリアスのままだなと気付きました。
明かされたのに謎が深まる展開がさすがすぎて、また作品に飲まれていってます。
後半は怒涛の展開のなかモグラの考察が進むので、ジェットコースターに乗りながら推理小説を読み進めるような感覚に陥りました。
振り回されないように必死。
前エピソードがムナクソ要素強めでしたが、今巻はギャグ要素強めの安心展開です。
続きがキニナル!