殿堂入りです。江口先生、また一つ、私の心の本棚に、名作を一つ増やしてくださり、ありがとうございました。
完結、それは物凄く寂しいです。ここで、寂しくない、と嘘を吐いたって仕方ありません。けど、文句なしのラストだったからこそ、殿堂入りですし、次回作が楽しみに待てるんですよ。
次回作に対する期待度は、そ
...続きを読むれこそ、藤田和日郎先生の連載が終わった時と同じくらいに大きいです。江口先生からすると、シャレにならないプレッシャーはかけないで、って感じかも知れませんが、私的に、江口先生は藤田先生と互角に殴り合える存在なので。
ブラックユーモアな内容に、自分の人生について考える上で、大切な「何か」が含まれていて、最初から最後まで読み応えバッチリな作品でした。
この作品、最大の魅力、それは断トツで、主役である鬼灯様の存在感でしょう。怖いけど優しい、厳しいけど甘い、しっかりしているようでいて時に緩い。鬼神だけど実に人間臭いですよね、鬼灯様は。
そんな主役らしさを持つ鬼灯様が作品の主軸となり、各キャラたちと関わり、ストーリーを盛り上げ、オチをしっかりと付けていたからこそ、ここまでの人気になったのではないか、と私は感じています。
この(31)も、読み手の心に強く残る回ばかりでした。そんな中でも、私の印象に残ったのは、第267話「檎ちゃんの杖」でした。
一番に好きなのは、鬼灯様なんですが、次点が檎なんですよね、私。飄々としていて、ちゃらんぽらん、金にがめつく、ちょっと卑怯。男としてマイナスな部分が多いようでいて、何故か、憎めない。
檎ミキ派な私ですが、ぶっちゃけ、実際に、ミキちゃんが檎に恋愛感情を抱いているか、その辺りは微妙だな、とは思っています。ただ、少なくとも、ミキちゃんの中で、檎は特別な存在である、とは確信しています。兄たちへの好意や、鬼灯様に対するリスペクトとは異なる、温かな感情をミキちゃんは檎に対して抱いているように思えます。
なので、『鬼灯の冷徹』そのものは完結しちゃいましたが、檎ミキが恋愛方向に進展してほしい、とはマジで思っています。ほんと、檎がメインのスピンオフが読めなかったのだけが、ある意味、心残りかもしれません。
最後の最後で負の感情が漏れてしまいましたが、江口先生、本当に心から楽しめる漫画をありがとうございました。そして、次回作が、この『鬼灯の冷徹』の質を超えるモノになる事を楽しみにしております。
この台詞を引用に選んだのは、こういう事をサラッと、女性に照れずに言えちゃうから、鬼灯様はカッコいいんだよなぁ、と憧れてしまうので。
無変化、と言うと、悪いイメージに囚われがちだけど、変えないからこそ保たれる素晴らしいもの、もこの世にはあるでしょう。
何がある、そう聞かれると、まぁ、困るんですけど、あるのは確かだと思います。
大事なのは、あるがままを受け入れられる心に育てる事かと。
「あと、座敷童子さんは、そのオカッパが似合っていますよ。変えるよさもありますが、変わらないよさもあります。変える必要のない、素晴らしい状態ということですよ。あくまで、私の主観ですが」(by鬼灯)
そして、もう一つ、この(31)で私の心に響いた名言を紹介。
断言しますが、この言葉で〆ているからこそ、『鬼灯の冷徹』は、私の中で殿堂入り作品になりました。
確かに、と読み手を納得させるパワーを持つ言葉を出せる、それは漫画に限らず、小説を書く上でも大切な事でしょう。
自分は、カリスマにも、陰の傑物にも、陰の傑物の育成役にもなれそうにないが、せめて、一人でも多く、読み手の心にガツンッとぶつかっていける言葉を発すキャラを、自分の小説に登場させていきたい、とやる気が増しました。
「この世でも、あの世でも、統治に欲しいのは、冷静な後始末係である。が、そういう陰の傑物は、ただのカリスマなんかより、ずっと少ないのだ。そして、陰の傑物を育てられる者は、更にもっと少ないのだ」(by天の声)