桐野夏生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ファイアボール・ブルース」と「ファイアボール・ブルース2」。PWPという、架空の女子プロレス団体を舞台にした小説である。「ブルース」の方は、PWPの看板女子レスラーである、火渡抄子を主人公としたミステリー仕立ての中篇。「2」の方は、火渡の付人の近田を主人公にした、連作の短編集。「ブルース」も「2」も、付人の近田の語りという形で小説は書かれている。題名のファイアボールは、火渡のニックネームである。私としては、近田が自分の才能に限界を感じて、プロレスから引退する、「2」の方が好きだ。年末くらいから、桐野夏生の本をかなり集中的に読んでいる。もともと、「魂萌え」とか「グロテスク」や「out」等の、比較的最近の作品、ベストセラーになった作品等には目を通していたのだが、年末に村野ミロシリーズを読み始めてから、かなりの数の作品に目を通した。その結果、桐野夏生に対する印象が、ずいぶんと(良い方向に)変わった。この人の小説世界は、すごく多彩だ。一言で、どんなジャンルの作家、ということは出来ない。シリーズを別にすれば、作品毎に味わいが違う、というか、同じシリーズの中でも、この「ファイアボール」のように、作品の形態や主人公を変えたり、あるいは、村野ミロシリーズでは、なんだか、作中の登場人物の性格まで、最終作では変わってしまったような、そんな変わり方をしている。チャレンジングな作家、という印象を、たくさんの作品を読んだ結果、得た。未読の作品も、まだあるので、しばらくは続けて読んでみるつもりである。