安田夏菜のレビュー一覧
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生活保護制度に対する現状や課題を問題提起してくれた本
二人の中学生男女(山之内和真と佐野端希)が軸となって、親からの学歴に対する過度な期待とプレッシャー、ヤングケアラー問題、家庭内暴力、外国人に対する日本人の偏見、社会的弱者への周囲の対応等とても考えさせられる内容でした。
感情移入したわけではありませんが、読んでいて自然と涙が出ました。
文中にもありましたが、様々な制度というものは非常に分かりにくく、それを必要としている人達が理解困難なものが多い。しかし損をしたくなかったら、ちゃんと理解して利用しないといけないという話は妙に腑に落ちました。
扱っている内容は少し重いものですが、非常に読みや -
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『むこう岸』というタイトルに惹かれて手に取った本。
難関私立中で落ちこぼれ公立中に転向してきた和真と、生活保護を受けながら母と妹の三人で暮らす樹希が、出会うことからこの物語は始まる。
広くて深い川の向こう側とこちら側。
「貧しい生活レベルの人」「恵まれた家で育ってきたくせに」と反発する二人がどうなっていくのかとハラハラしながらページをめくった。
二人を繋げる「カフェ・居場所」があって良かったと思う。世話焼きなマスターがいて、先生と呼んでくれるアベルくんにも出会えた。樹希にとっても唯一安らげる居場所がここ。穏やかに時間が流れる空間にいると、人は落ち着いた気持ちになり心を開いていくように思う。
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生活保護を受けて暮らす樹希の家庭環境・苦悩を知り、生活保護についての見方が変わった。
こどもの力だけでは貧困生活から抜け出すことも大学に行く事も夢を抱くことも容易ではない。そんな不自由な生活の状況下でも、クラスメイトからは、「生活保護って書いたTシャツ着ればいいんじゃね?みんなに養ってもらってるんだから、それくらいしないと不公平じゃん」と心無い言葉を浴びせられたりする。
生活レベル・学歴・容姿・出身地など似た者同士に対しては仲間意識を持ち、相反する者には敵対意識を持つ。そういう線引きを無意識に誰もがした事があると思う。心当たりのある人は、樹希と和真の言葉が心に刺ささったり、胸を締め付けたり -
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おもしろかった。落語のことを知らなくても、すごく楽しめる。
最初は、孫ための貯金を勝手に使っちゃうなんて、ひどいおじいちゃんだなって思ったけど、返そうと思ってがんばっているところとか、落語が大好きなところとかが、いいなって、少しずつ好きになった。がんばるおじいちゃんの落語がすごい。
ぼくは、しきりたがりやのところが、けっこうけいすけに似ている。でも、けいすけは、しきってるって知らなくて、よかれと思ってやっていたけど、ぼくは目立ちたくてやっている。目立たないとさびしい気がしちゃう。けいすけの事件を読んで、直そうって思った。
ぼくが似ているからじゃないけど、けいすけより、周平の方が、人のことをばか -
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YAコーナーで見つけた一冊。
とても読み易くて、2人の中学生の気持ちが溢れてそのまま文章になっている。
穢れなき2人の思いは、ひしひしと伝わってきて思いのほか感動し、涙する。
私立中学へ入学したものの、そこから落ちこぼれて中学3年で公立中学へ転校した山之内和真。
父を亡くし、鬱病で働けない母と3歳の妹の世話をして生活保護を受けている佐野樹希。
2人が唯一、共有できる「カフェ・居場所」
そこで得られるのは自由な時間だけではなくて、お互いのことや自分のことを見つめ直すとても大切なものだった。
生活保護法について必要にならなければわからないことも知ることができた。
だが、みんなが知っているわ -
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これは名作。
構成は、ほぼ完璧といっていいと思う。ミックスルーツの主人公、人との違い、人種、種。なぜしつこいほどに界門綱目科属種を繰り返してきたのか…最後の「種」の話に集約される。
私たちは、「哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属ホモ・サピエンス種」であり、かつてヒト属にいた北京原人・ジャワ原人・ネアンデルタール人は絶滅している。チンパンジー属は2種、オラウータン属は3種。DNA解析の結果、肌の違いがあろうが同じ種だということが科学的に証明されている。
はなは我が道を行くタイプだけど、科学部電脳班の協力があったからこそ父の愛(たぶん)に気づいた訳だし、電子機器への偏見からも抜け出せた。
ミハイルもはな -
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悩みなんて人それぞれ。悩みに大きいも小さいも関係ない。誰になんと思われようと蟲を愛で、自分の意見をきちんと言える葉奈ちゃんがかっこよかった。「わたしの37兆個の細胞はひとつ残らずわたしのために24時間一致団結して働いているんですよ。これに感動せずに何に感動するんですか!」「細胞が死んでも新しい細胞にわたし情報を伝えて、ずっとわたしがわたしのままでいられるように力を合わせてくれてるんだよ。こんなに必死に守ってもらってるのに、本人がシクシク泣いてる場合じゃないよね!」。という37兆個の細胞の話は私も胸に刻みたい。児童書だがとても良い本でした。見た目にとらわれず本質を見極めることの大切さを教えてもら