【感想・ネタバレ】セカイを科学せよ!のレビュー

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Posted by ブクログ

これは名作。

構成は、ほぼ完璧といっていいと思う。ミックスルーツの主人公、人との違い、人種、種。なぜしつこいほどに界門綱目科属種を繰り返してきたのか…最後の「種」の話に集約される。
私たちは、「哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属ホモ・サピエンス種」であり、かつてヒト属にいた北京原人・ジャワ原人・ネアンデルタール人は絶滅している。チンパンジー属は2種、オラウータン属は3種。DNA解析の結果、肌の違いがあろうが同じ種だということが科学的に証明されている。

はなは我が道を行くタイプだけど、科学部電脳班の協力があったからこそ父の愛(たぶん)に気づいた訳だし、電子機器への偏見からも抜け出せた。
ミハイルもはなも、交流し、理解することで世界が自分を深く理解し、解放していっている。

「目立つのはしょうがない、人一倍非難されるのもしょうがない」とも取れることを言われて以来、目立たないように生きてきたミハイル。

「偏見なんてなくならないんだから」「みんな悩んでることはあるよ」なんて、なんて意味のない言葉なのか。

そして、愛や気持ちだけでは結果を残せない。目に見える形にして残せるのが科学。

良質な多様性YA作品でした。

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2022年07月20日

Posted by ブクログ

悩みなんて人それぞれ。悩みに大きいも小さいも関係ない。誰になんと思われようと蟲を愛で、自分の意見をきちんと言える葉奈ちゃんがかっこよかった。「わたしの37兆個の細胞はひとつ残らずわたしのために24時間一致団結して働いているんですよ。これに感動せずに何に感動するんですか!」「細胞が死んでも新しい細胞にわたし情報を伝えて、ずっとわたしがわたしのままでいられるように力を合わせてくれてるんだよ。こんなに必死に守ってもらってるのに、本人がシクシク泣いてる場合じゃないよね!」。という37兆個の細胞の話は私も胸に刻みたい。児童書だがとても良い本でした。見た目にとらわれず本質を見極めることの大切さを教えてもらった。ちょくちょく出てくるロシアの諺もなんだか可愛い。

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2022年06月18日

Posted by ブクログ

ハーフまたはダブルと呼ばれてしまう主人公の生きづらさと、昆虫の科学的分類を引き合いに出す新しい観点に唸りました。青春物なのですが、綺麗事ではないのに、読後感はきれいでした。

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2022年05月14日

Posted by ブクログ

理科部の生徒に読ませたい❗️深く考えさせられるところとお腹を抱えて笑ってしまうところと、本当にいい塩梅でした。小学生高学年でも十分わかる内容。大人から子どもまで幅広く読まれる作品。

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2022年05月02日

Posted by ブクログ

いい!!コミカルにテンポよく進むのにテーマは今どき。キャラの濃い転入生の入部に始まり、終盤の校長先生からの提案によってなんちゃって科学部のメンバーたちに新しいセカイが広がった。山口さんの37兆個の細胞の持論がポジティブすぎてこれまたよし!

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2022年04月24日

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小6息子の夏休み読書感想文のために下読み。
ちょうど思春期を迎えた子どもに安心して与えられる内容だった。

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2022年07月16日

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令和四年度中学生課題図書。ミックスルーツの中学生が繰り広げる、中学校理科室でのバイオロジカルな日々。自分のルーツや周りの人種差別意識を考え、なかなか自分を出せない「藤堂ミハイル」が「蟲」に詳しい転校生「山口アビゲイル葉花」や科学電脳班の仲間たちと関わり、蟲のお世話をする中で、自分や周りの人について考えていく。

世界には78億人の人がおり、いくつもの国に分かれて戦っている。日本には1億人が、クラスには35人がいるが、意見が違って揉めたりする。しかし、細胞は37兆個あるけど、一つ残らず私のために24時間一致団結して働いている。中学2年生くらいの成長期だと2年くらいで全身のすべての細胞が入れ替わるが、別の人間にはならない。それは自分のことを愛してくれてるから。
葉花の「死んでも新しい細胞に私の情報を伝えてずっと私が私のままでいられるように力を合わせてくれているの。こんなに必死に守ってもらっているのに自分が泣いている場合じゃない。」という考え方が力強く素敵だと思った。

14本足でせわしなく決まるワラジムシ。
下から上にまぶたを閉じるカナヘビ。
ぴょんぴょん跳ねるもふもふのハエトリグモ。
心臓を高速で拍動させているミジンコ。
これからも彼らは自分たちで考え、協力し、新しいことに挑戦しながら「科学」の本質を探求していくだろう。"犬が吠え、風が伝わるそれでもキャラバンは進む。(他人の言うことにとらわれるな。犬が吠えても風が吹いても、ただ前を見て進め。)"

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2022年06月30日

Posted by ブクログ

2022中学生 課題図書。外国人に間違えられる見た目のせいで嫌な思いをした為、目立たないようにしている男の子のクラスに転校してきた、見た目がアフリカ系の葉奈。蟲に夢中の葉奈にクラスも科学部電脳班のメンバーも面食らうが、真っ直ぐな葉奈にだんだん考えが変わっていく。差別と区別は違う、そうだなぁ、この本面白かったなぁ。

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2022年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

令和4年度課題図書、中学校の部。

面白かった!
ミックスルーツの彼らの悩みというか、
「なんとなく、びーっと線を引かれる」感じをうまく表現している。


蟲、昆虫を葉奈が散々語ってくれるんだけれど、
生き物の分類である
「門 - 綱 - 目 - 科 - 種」についてもきちんと語られてきて、それが最後の最後、「人類はひとつの種」というワードに結びつく。これがまあ、ミックスルーツに悩む登場人物たちの気持ちと重なり、イヤというほど効いてくるという手法。うますぎる。


感想文も書きやすそうだけれど、
なにより面白かったのでおすすめしたい作品。
これは小学校にも入れたい。


こじらせ系ハーフのミハイル、
最後かっこよかったぞー!すっきり!

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2022年06月17日

Posted by ブクログ

そろそろ小学校卒業の6年生向けの本を探して読んでいる本の中の一冊。


日本人の父とロシア人の母を持つ藤堂ミハイルは、日本育ちながらもいかにも白人系の外見と名前から勝手なイメージを持たれたり、不要な注目を集めてきた。中学2年生の今では、目立たず波紋をたてずに地味に生きていこうとしている。入っている部活も「科学部電脳班」と名前だけは格好いいが、特に目的もなくのんびり過ごすメンバーの集まりだ。
そんなミハイルのクラスに新学期の転入生山口アビゲイル葉奈が入ってくる。アメリカ人父と日本人母の間に生まれて、ミルクコーヒー色の肌と、カーリーヘアと、縦にも横にも大きな体を持つが、日本生まれ日本育ち、英語は話せないし好きなものはお茶漬けでスポーツは全くダメ。最初の挨拶で「好きなものは『蟲』です!!」と言った葉奈は初日から完全に周囲から浮いてしまう。昆虫の「虫」ではない、虫三つの『蟲』。爬虫類、両生類、甲殻類も含む小さな生き物全般のこと。
葉奈は学校に生物部がないと知るとその立ち上げを訴え、ミハイルたちの「科学部」の一部の「科学部生物班」として1人で活動することになった。
葉奈が学校にせっせと持ち込むカナヘビやワラジムシ、ハエトリグモは、全生徒の悲鳴を呼び、理科室は魔界扱い。ミハイル達「科学部電脳班」も変な目で見られてしまう!?

周りが騒げば騒ぐほど自分のやりたいことを押し通す葉奈は、浮いているどころかほとんどいじめの対象になっている。
最初は避けていた「科学部電脳班」のメンバーだが、キラキラした眼で蟲たちへの情熱を語る葉奈の姿に興味を持つようになる。

しかし多くの蟲を持ち込む1人だけの部活動には、生徒や親たちからの苦情が相次ぐ。そして学校から科学部存続の条件として「『科学部』だと言うなら、科学的な取り組みをすること」と言われてしまう。科学部「電脳班」は、「生物班」(葉奈だけ)に協力して生物研究のテーマを決め、研究成果をレポート提出することになった!

===
日本と別の国の両親を持つが日本育ちで日本の考えを持つのに「〇〇が得意っぽい」と決めつけられたり、自分の考えや振る舞いをいちいち「お前は普通の日本人ぽいよね」と言われたりすることへの疎外感。
中学生の部活動の考え方。「生物にエサをやるだけなら小学生の係。科学とは、物事の本質についてこうではないかと考え、その考えが正しいかどうかテータや論理を使って検証する行為のことです。自分たちでできますか」と言われて「自分たちはもうガキじゃないんで、やります!」という意地。

哲学的なややこしいロシアのことわざや、生物科学の豆知識も面白かったです。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

面白かった!子供向きというよりは、ローティーンを中心に、大人も楽しめる作品です。字が大きくて、老眼フレンドリーではある。悩める中学生、藤堂ミハイルのクラスと科学部に蟲屋の転校生、山口アビゲイル葉奈がはいってくることによって、悩ましくもキラキラしい中学生活が紡がれる。ミヤマカミキリ、カナヘビ、ワラジムシ、ハエトリグモ、ボウフラ、アカスジキンカメムシ、ミジンコ。だらだらとコンピューターの前で時間を潰していた科学部に生物班をつくり、活動をみとめてもらうために、研究発表することになる。
 この山口さんにとっても共感を覚えますねぇ。とても素晴らしい。
刺さったところはといいますと
私の大好きなジャンピングスパイダーを生物班で飼育しはじめて、電脳班の生徒が見にきた時

>”奈々花が平尾先輩からルーペをひったくった。
「相手はクモですよ。そんなものキモいに決まっ・・・、えっ?」
目を見はっている。
「なにこれ・・・。かわいい・・・」”

可愛さとか、可愛いと感じるか感じないとかって、
実は、どうってない理由やったりしたり、
外部からの刷り込みや、
同調圧力だったりするもんですし、
最近よくいわれるのは、親が異常に昆虫を差別する子供は
昆虫をみようともせずに、嫌う傾向にある、というのがよく言われますな。
最近、自然科学系の蟲屋なんかが、よく両親や近しい大人が子供の興味の対象を問答無用で否定しないようにという、啓発を行っているのを目にします。

あとは、たくさんでてくるミハイルのロシアのことわざが面白かった。

”猫はいつもバター祭りなわけではない。”

人間万事塞翁が馬、
バターでヒャッハーな猫も、明日はどうなるか、、
ていうか、バター祭りて、、(あはは)
ちx〜る祭りみたいな感じか(あはは)

みんな悩んで大きくなるんですわ。
そして、大人になる前に、
いろんな耐性を身につけるわけですな。

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2022年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この悩みについて、科学的に本質を追究するならば。

ミハイルは日露にルーツのある中学生。過去の出来事や兄のことから、できる限り目立たないように心掛けて生きている。ところがミックスルーツの転校生山口アビゲイル葉奈は、初日から虫好きてあることを公言して我が道を行く。ミハイルが目立たぬために所属していた電脳班しかない科学部に、彼女は生物班を復活させたことからミハイルは騒動に巻き込まれていく。

自分は何なのか。ミックスルーツでなくてもきっと誰しも考えたことがあるだろう。人は様々な違いを持つ。しかし生物学的分類でいうならば人は種に分けられない。みなホモ・サピエンスなのだ。

校長の出した問い掛け、科学的な取り組み。物事の本質について考え、その仮説をデータや論理を使って証明する。葉奈が考え出した仮説を検証して発表することが生物班の存続の条件となる。そのために電脳班の皆が少しずつ協力していく。違う人間だからお互いにアイデアを出し合い、できることを協力する。大ピンチからのオチはなかなか拍子抜けだが、校長の態度は好感が持てる。

違うことってなんだろう。同じことってなんだろう。ミハイルは最後にロシア語で叫ぶ。違うから目立たないように生きてきた。でももう小さな違いにはとらわれない。本質を追究することを知ったから。

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2022年07月10日

Posted by ブクログ

課題図書。
天使のようなミハイルくんは、お母さんがロシア人でお父さんが日本人。
葉奈の考えた方がすごい。
人間には37兆個の細胞があり、ひとつ残らず24時間一致団結して働いている。古くなった細胞は次から次へと死んで新しい細胞に入れ替わる。2年くらいで全身の細胞が全て入れ替わる。
死んでも新しい細胞にわたし情報を伝えて、ずっとわたしがわたしのままでいるように、力を合わせて、必死で守ってくれている。
だから本人がシクシク泣いている場合ではない。
だから立ち直る!この37兆個の細胞にかけて。
研究。
ミジンコの心拍数を数える。
どうやって?
それが部活らしくて、研究チームらしくてとても良かった。
みんなで協力したり、意見を出し合ったりする様子が、まさに部活!
ロシアのことわざは面白い。
「犬が吠え、風が伝える。それでもキャラバンは進む」
他人の言うことにとらわれるな。犬が吠えても風が吹いても、ただ前を見て進め。
面白かった!

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2022年06月26日

Posted by ブクログ

ミックスルーツと、昆虫が好きな女の子という、どちらも今求められている良いテーマだと思います。ただ作中での言葉遣いや、表現の仕方について、もう少し深い考察がされてもいいのではないかと思いました。昆虫について、生き生きと描写されていて、虫が好きな人はもちろん、虫が苦手な人も興味が持てる内容となっています

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2022年03月20日

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