車浮代のレビュー一覧
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江戸時代の版元・蔦屋重三郎。
江戸文化の仕掛人としての生き方と、彼が見出した
絵師、作家たち13人の姿を分かり易く紹介する。
・まえがき ・相関図
第1部 蔦屋重三郎とは何者だったのか?
第2部 江戸文化を創った13人
――蔦屋重三郎が見出した絵師・作家
主な参考文献有り。
巻末付録として、本書に登場する主要人物ゆかりの地の地図、
本書に登場する14人の生没年図、蔦屋重三郎年表
江戸時代、田沼意次から松平定信へ。自由から統制への
時代の変遷の中で生き、活躍した版元・蔦屋重三郎。
23歳で開業してからの機を見て動く、プロデュース、
マーケティング、ビジネス、狂歌での人脈形成、 -
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ツンッとした芳醇なお酢のにおいがページを開くたびに漂ってくるかのような物語。ミツカンの創業者たちのお話。登場する「山吹」は使ったことがないけど、ちょっと、というかかなり気になるので購入して、お家でお寿司でもつくってみようかと読みながらずっと思い続けていました(笑)
本家と分家の関係や養子縁組もあり登場人物の名前や関係性を覚えるのに最初は苦労しましたが、読み進めていくうちに慣れると同時に、「半左衛門」「又左衛門」といった受け継がれていく名前の重みのようなものを感じ取ることができました。
読み終えたとき「これ、ドラマで見てみたいかも」という願望が生まれたりして、NHKあたりかな、実写化するなら。配 -
Posted by ブクログ
ネタバレ蔦屋重三郎の伝記小説、と思い込んでページを開いたらまさかのサラリーマン登場。よく見たらカバーに東京タワーもあるしタクシーも走ってる。
ということで、部長の椅子に手が届こうか、というところまで順調に泳いで来た広告代理店の営業マンが突然の転落でお歯黒ドブにハマって江戸時代の吉原に転がり込み、蔦重の下で過ごした三ヶ月間のお話。
意外なことに江戸時代の細々とした描写が丹念に時代考証されているらしく、随所に「へぇ」と思わせる小ネタがちりばめられていて楽しい。
蔦重の言葉も何だか現代の成功した起業家の話を聞いているみたいで「ふんふん」と妙に納得させられて面白い。
最後の手紙は、(色々分かってスッキ -
Posted by ブクログ
古典落語が基となった連作短編集の体なのだが、構成がめちゃくちゃ凝っている。
本来の落語を知らなくても問題ない。ちゃんとオチまでのが語られ、その後、登場人物の死後について描かれる。
取り上げられている落語は『芝浜』等の所謂人情モノばかり。なのでその登場人物の死後は本来ならば極楽に行けると思うのだが、彼らは何故か閻魔様の前に連れてこられ、生前の隠された悪行が明かされる。そして掲載されている4席の落語は、とある人物によって全てが繋がっていて、読み終えると一冊の物語に仕上がっている。サービス精神が旺盛な内容。鯨統一郎の『幕末時そば伝』を彷彿させる。 -
Posted by ブクログ
「蔦重の教え」の作者だけに、この作品も圧巻の読み応え。
ミツカンの成り立ちの伝記になっている。
副題が「酢屋三代の物語」
不思議なことに、当主は他家からの養子が大きな名を残している。
元々は名古屋地区の酒蔵。
だが、いつまでも上方の酒には一歩どころか
常に値段では半額以下。
評判の悪い江戸の酒よりはマシといった評価。
酒蔵で樽が酢になってしまったことに端を発し、
もっと美味しい酢はどうしたら作れるか?
研究を重ね、酒粕から上等な酢を作ることに成功。
「粕酢」と言う名前の新しいお酢は、江戸に持っていき、人々に食べてもらうと、なんと、寿司屋から高評価。
そこから、大きく商売が変わる。