【感想・ネタバレ】天涯の海 酢屋三代の物語のレビュー

あらすじ

世界に誇る「江戸前寿司」はなぜ誕生したのか――
「粕酢」に挑んだ三人の又左衛門と、彼らを支えた女たち。
江戸の鮨文化を一変させた変革と挑戦!

江戸後期。知多郡半田村で酒造業を営む五代・中野半左衛門の急死により、
婿養子に迎えられた半六は、酒造りの傍ら酒粕を使った粕酢造りを思いつく。
後に分家を許された三六は、又左衛門家を興す。
初代から二代、三代へと、粕酢造りは受け継がれていくが、彼らの行く手には
幾多の苦難が待ち構えていた。
三人の又左衛門は、いかにして粕酢を江戸中に広めたのか――。
いまや世界で愛される日本の「寿司-SUSHI-」。
その流行の淵源となった「粕酢」に生涯をかけた人々の歴史長編小説。

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Posted by ブクログ

ミツカンの本社が半田にあったことに驚いた。確かにお寿司には酢が不可欠なのに、握り寿司ブームを考えるときに、酢を意識したことがなかったと改めて気づく。二百年のあいだにはさまざまな波瀾もあったわけで、小説としても面白かった。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

「蔦重の教え」の作者だけに、この作品も圧巻の読み応え。
ミツカンの成り立ちの伝記になっている。

副題が「酢屋三代の物語」

不思議なことに、当主は他家からの養子が大きな名を残している。

元々は名古屋地区の酒蔵。
だが、いつまでも上方の酒には一歩どころか
常に値段では半額以下。

評判の悪い江戸の酒よりはマシといった評価。

酒蔵で樽が酢になってしまったことに端を発し、
もっと美味しい酢はどうしたら作れるか?
研究を重ね、酒粕から上等な酢を作ることに成功。

「粕酢」と言う名前の新しいお酢は、江戸に持っていき、人々に食べてもらうと、なんと、寿司屋から高評価。

そこから、大きく商売が変わる。

この物語は、新しい美味しい酢づくりという、大事業を成功させるまでの、歴代当主の苦労、その妻の援助を、感動的な物語に仕上げている。

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2021年03月18日

Posted by ブクログ

江戸時代の酢製造業の商家の話。時代小説である。
愛知県で酒蔵を営んでいた商人一家が、アクシデントで酒が腐り、酢になってしまった。酒は上方にかなわずどう頑張っても二級品ということで、分家して酢を製造することにした。
跡継ぎが生まれずに養子をもらって学ばせたり、自然災害に見舞われたり、裏切られたり、商売や家族のいろいろな出来事を綴ってある。著者は本書の執筆にあたりかなりいろいろ調べたようだ。
出てくる人物の名前が襲名で途中で変わったり、奥さんたちの名前が似ていたり、複雑で覚えるのを途中であきらめてしまった。最初に巨大な家系図が書いてあると、面倒臭くなってしまう。厳しいことを書くと、オチがなくストーリー展開もやや陳腐。
江戸前寿司が米酢から粕酢を使うことで発展するところは興味深くて、美味しそうな握りずしの描写で食欲を刺激された。

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2025年03月26日

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