黒川祥子のレビュー一覧
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泣いた。その努力と愛情に。現実の厳しさに。
皆が幸せになることは、簡単じゃない、とてつもなく難しい。支援者たちがそれぞれの立場で一生懸命頑張ったとしても、子供たち全員を幸せにできる訳じゃない。虐待がなくなるたわけじゃない。それでも目の前の子供一人ひとりを幸せにしようと生きてくれる人ちに心からの敬意を送りたい。
社会的養護という言葉を知らなかったことが恥ずかしい。税金はそういうことにも使われているのか。募金とか寄付とか里親とかできなくても、私たち一人一人にできることをやる社会を作りたい。
今まで虐待関係の本を読んで、社会の構造とかはなんとなくわかったつもりでいたけど、本書では当事者たちがどんな -
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ネタバレ虐待の本は何度も読んできたけど、これはファミリーホームが多く出てくるのでまた新しい世界を知ることができた。いつか私もこういう仕事に関わりたいものだ。結婚してなくても里親になれると聞いたこともあるけど。自分の子も育てたことないのに、人の子を育てられるのかとちょっと思う。被虐待児は発達障害的な症状が出るというのは、あの子たちもそのせいなのか、と思っちゃう。問題多発のあの子も、虐待を受けたせいだと思えば許せるのか。とにかく、あの子も死なず、誰も殺さず、生きていればいいと思う。しかし、あの里親さんに渡すのを嫌がった養護施設は許せない。こんな低レベルなところが今も存在してるなんて。10年くらい前とはいえ
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ネタバレおそらく「虐待」とか「子供の貧困」か何かで検索をして引っかかった本。出版も去年の11月ということで、読んでみた。
虐待を受けて「根っこ」(287頁)をうまくはることができなかった子供たちは、本文から分かる行動だけを見ていると、まさに「動物」である。常に怒声や痛みの恐怖に怯え、感情をシャットアウトして自分を守るのである(=「解離」かな?)。
そのような環境で育ってきた子供たちは、体はどうやって洗うのか、お箸はどう持てばいいのか、といった「日常生活」をどのように送ればいいかを全く知らない。そのようなことから一つ一つできるようにさせていくことが里親の仕事(の一つ)になる。
さらに重大な -
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林真理子さんの「小説8050」を読んで、じゃ実際はどうなのか…と、この作品を手にしました。「8050問題」とは、80代の親が50代のひきこもりの子を抱えている家庭から派生する問題のことです。
それぞれの家庭には、父や母の抑圧、家庭内暴力、無関心、共依存、教育及び心理的虐待、過干渉などの問題があり、その上、外部に対して閉じてしまう傾向にあった…。親が働けている時とはまた異なり、病気や介護の問題、年金の問題も…読んでいてひたすら苦しかったです。
でも支援者は、「安心してひきこもれる社会」が大事だと説きます。支援のゴールは「自分が生きたいようにいきること」…ひきこもりの状況を無理に矯正す -
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ノンフィクション作家、黒川祥子さんの、8050問題についての本です。
8050(ハチマルゴマル)問題とは、ひきこもりの50代を80代の親が世話するという社会問題のこと。
その背景には、保健所の減少があり、ひきこもりの根本原因があり、家族問題があり……と、ひきこもりは「本人」だけが問題で起こることではない、ということがとてもよく分かります。
少し前であれば、ひきこもりは「本人に問題がある」と言われていました。なかには「精神的に未熟だから」「本人が怠惰だから」という意見もありましたが、この本を読むと、本当の実態が良く見えてきます。
親の依存が激しくて自分を出すことが一切許されなかった人 -
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ネタバレノンフィクションですので、現実の家族のお話なのでしょう。
日本中で実際には知られてはいないだけで、もっとたくさんの苦しい惨めで悲惨な家族たちが存在してしまっているのでしょう。
どうしても自分と他人を比べてしまいます。
高齢化しているひきこもり当事者たちは、すべてにおいて「今さら」という気持ちが非常に強い。もうどうしようもない、と思っている。
P.178「自分が一番ひどいとか、こんなダメな奴はいないとか思っている人もいるかと思います。僕も何回もそう思いました。でも、そんなことないんです」
あなたに似た人はたくさんいる。あなた一人だけではなく、同じように、「自分はできないだらけの中にいる」と -
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80歳台の親と引きこもりの50歳台のこども。地域から孤立し、社会から忘れられた隠花植物のような生活。
貧困の中で共に老い、やがては精神的に朽ちてゆく。
その中で、奪われた人生を取り戻し、「自分自身」を回復するために孤独で壮絶な闘いを闘うこどもたちがいる。すべて、とは言えないまでも、引きこもりの根っこにあるのは歪んだ家族関係だ。言わば親子という底無し沼。「家庭内の問題」であるがゆえに、社会から隠し、あるいは隠され、支援の手は届きにくい。もしくは当事者である家族から拒否される。あまりにも深刻で悲惨な実態に私は何ができるのだろう。引きこもりからは遠い人生を過ごしてきた自らを省みるとき、深い虚無感に襲 -
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ネタバレパラパラと目次をめくる段階で、すでに胸が痛くなる。
著者の黒川祥子さん自身もシングルマザーである。その実体験を『はじめに』で
『虚空にたった一人、苦しさで胸をかきむしりながら、のたうち回る。』と、語っている。
・シングルマザーのリアルな経験談とコロナ禍の現在の実情
・「女性の貧困元年」とは?
・「日本型福祉社会」
・80年代の"幻想"のツケとは
・先進国で最低、日本の女子教育
・フランスと韓国の場合
・なぜ日本のシングルマザーは貧困なのか
・どうすれば貧困の連作を止めることができるのか
等々、
こんなに厳しい現状だったのか・・・本当に・・・知らなかった、知りたくなかっ -
Posted by ブクログ
本書に登場する7つの事例をもって、8050問題の全てを包括しているわけでは無い、100の事例があれば全て違った問題を抱えている、というスタンスは評価できる。
しかしながら、7つの事例に関しても表層をなぞっているだけという印象はまぬがれない。それだけ家族の問題というのは奥深く、他者の介入を許さないということもできる。
この手の本では「居場所」づくりなることが盛んに言われる。確かにそれで救われる人も少なくないのだろうが、「徹頭徹尾人とは関わりたくない」人へのアプローチをどうするべきなのか、就労をゴールとするこれまでの支援に意を唱えたのは良いが、やはり他者との交わりを最終ゴールに据えている点ではこれ