原田泰のレビュー一覧
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究極の「バラマキ政策」BIについて初めてまとまったものを読んだ。
格差社会の現状から説き起こし,思想的系譜を辿った上で,良くある誤解に対するフォローや批判に対する反論を通じて,今の日本においてもBI導入は充分実現可能であると主張している。
データに基づいて論じているのは好感がもてる。それによると,今の生活保護の水準を上回るような給付額には無理があるようだが,著者はそれでも問題ないとしている。
子供への給付は「母親の口座に振り込む」とか,狭い仮設住宅より普通の家に二家族で住む方が快適だとか,賛同できない点もいくつか散見されるし,何より現実に問題なく回る制度かどうかについては全く説得的ではなかった -
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ネタバレ従業員が減ることは悪いことではない。
分配を変えても給料は増えない。成長が必要。
ひとり当たりのGDPが増えないことが問題。本来は人口増加率が少ない方がひとり当たりの成長率は高いはず。
構造改革=あらゆる分野で生産性上昇の邪魔をしている。
資本ストックが足りない=投資不足。
無駄な資本投資は、所得を生み出さないから一時的にしかGDPは伸びない=中国の債務の罠、バブル時代の無駄なビル、無駄な公共投資。
普通は、30%程度の伸びがあるはず。
資本蓄積だけでは成長率は低下するが、新しい技術を伴った投資によって生産性が高まる。
行政のラッダイト運動、護送船団方式を打破すること。
年金制度の収入の -
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未だ解決の見えないロシアによるウクライナ侵攻。著名な学者の中には西側がロシアの干渉地帯を踏み躙ったとか、人類学史的には他民族国家のウクライナをプーチンが取りに行くのは必然であるとか意見は様々だ。また独裁に近いロシアが国民世論を味方につけて国を挙げて侵攻を歓迎しているといった報道もあり、一概に現状とその原因を説明するのは難しい。間違いないのは市民が巻き添えを喰って住居を失ったり死者が出ているという事実だけ。勿論学者達もそれをやむを得ないとか是認するわけでもない。
プーチンが引き起こしたこの様な事態を権威主義対民主主義と捉え、終わりの見えない現在の状況を踏まえると民主主義自体が敗北してるのではない -
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(2021年6月の感想)
2年前は、生活補助に対してベーシックインカムの感想を書いていた自分がいたが2年が経過して思いも変わったのですこし整理しておく。
まず生活保護受給者であるが受給者の大半は人生を歩んだ環境がとても複雑だったり深刻な心の病を患っている人等である。現在は適当な一定額を給付して「あとは自己責任でよろしく」ですませてはおらず、実際には役所の方が彼らの自立は精神的にほぼ不可能であることを感じつつ、彼らを一人の人間として扱って自立のチャンスを地道に提供している現実がある。役所の人はとても大変だけど、捨てていけないとても大事な仕事だなあって思って、そういったことをもっと積極的に知って -
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生活を保障するものは「地縁・家族」→「会社」という風に変遷してきた。戦後、日本国民の多くは自営業からサラリーマンとなった。企業は成長して人手を欲しがっていた。年金や保険を拡充しなければ自社に人手不足になってしまうという背景もあって、高度経済成長期を通して企業の保険に加入する人の割合が増えた。
しかし、非正規雇用が拡大している現在ではこのような社会福祉体制は弱くなっている。これは単に最低賃金を上げればよいという問題ではない。最低賃金の上昇は失業率の上昇を引き起こすからだ。ここで問題なのは生活保護を受給するハードル(生活保護水準)が高いということだ。このある種の選民思想的な分配法則を持つ理由は現 -
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手軽に読み切れるベーシックインカム本。貧困とはお金がないこと、と明快に主張し、その思想的背景とベーシックインカムの有効性・妥当性を述べる。社会保障財源を整理することで現代日本でベーシックインカムは可能だし、著者の言う「貧困」は解決しうる、と言っている。
「共産主義者」近衛文麿が出てきたり、なぜかABCD包囲網が出てきたり、福祉をまともでない人の矯正なんて捉えたりして、随所で読む気を削がれるが、たぶん国民経済計算の方法なんかは間違っていないのだろうから、有用な本であろうなと思った。
細かいところを除けば、「あとがき」で結論書いてあるし、寄り道を削ぎ落とせば、内容的にはパワポ10枚くらいで十分な -
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ネタバレ日本では、約1000万人の人びとが、
年84万円以下の収入で暮らしているようです。
そういった貧困を無くすため、
皆が最低限の健康で文化的な生活を保障するための思いきった政策として、
著者はベーシック・インカムを提唱し、
経済や政治の分野での込み入ったところ、
細かいところまでを解きほぐす形で話を進めています。
それゆえに、ベーシックインカムは、
社会思想としてあるいは社会学的に語るだけのものではなく、
実践的な議論をするまでの段階に来ているのだなあと読めます。
雇用状況や所得状況の現実をみる第1章からはじまり、
第2章ではベーシック・インカムにいたるまでの、
そしてベーシック・インカムを支 -
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ベーシックインカム。それは「すべての人に生きていくために必要なお金を年齢、性別に関係なく配ってしまおう」という政策のことだ。最近ではAIの発展との関係で語られることも多くなり注目を集めている。
本書は、そのベーシック・インカムについて具体的な例をあげつつ、その実現の可能性について論じている。著者の結論は「私は、日本もイギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、生活保護を受ける人の比率を高くすべきと考える」というもので、その行き着く先がベーシック・インカムだということだ。もちろん、是非はあるだろうが、現在の格差や貧困の問題を解決しうる一つの方法として学んでおきたいテーマで -
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貧困は要するに金のない人ということ。であるならばそこは一律で銀行口座を設定してもらってそこに振り込む。そして福祉官僚はお金だけでは解決できない人間関係とか能力開発に特化すればちいという主張。真ナンバーだと抵抗するけど国民全員がばら撒きでBIを受け取れるから銀行口座を登録し所得はすべてそこにいれるようにというのは徴税のことを考えても正解だとおもう。課題は人は金をもらうと怠惰になるのでは?という懸念。自分は懸念だとおもい、そういう人もいるけど金のこと気にしなくていいから文化やスポーツや冒険が爛熟するう期待がある。
一九六〇年代以降でもっとも重要な変化は、子が資本財ではなく消費財になったことである -
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【ベーシックインカムの基礎を学ぶ】
スイスで国民投票にかけられるベーシックインカム。すべての人に(所得の高低問わず)一定の金額を付与することで、国家から貧困をなくし、経済的に発展できる仕組みを作り上げるものだ。
本書では、
1)そもそもベーシックインカムとは何か
2)財源をどのように確保するのか
3)導入するとどのようなメリットとデメリットがあるのか
を中心に説明している。
文中、数字が出てきてしっかり読まないとわかりにくい。数字が出てくる割に文字だけで済まそうとしているからである。
数字的なロジックも含め、100%理解したわけではないけれど、ベーシックインカムの基本的な考え方などは頭に