田崎健太のレビュー一覧
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東京五輪に関連して電通の存在がクローズアップされる中でタイトルを目にして面白そうだなと思い、本書を手に取った。
本書には電通やFIFAの他にアディダスが重要な存在として登場する。アディダスは電通と共同出資でISLという会社を立ち上げスポーツビジネスに切り込んできた。電通が嫌う汚れ仕事(お金配り)の部分を担ってきたのがアディダスである。このアディダスおよびISLの体質がIOCやFIFAの腐敗体質および放映権の高騰を助長してきたものといえる。本書ではこれらの組織における腐敗を描いてはいるものの、やはり取材が難しいのだろう、表層的な一面を描くのみで、その裏で本当に何が行われていたのかというジャーナリスティックな部分に踏み込むには至らない(特に電通に関する記述については電通側の発言を鵜呑みにした記載となっている印象がある)。とはいえ80年代以降のスポーツビジネスの急拡大の背景を知るには面白い本だと思った。高橋治之の一代記としても面白く読める。 -
Posted by ブクログ
表紙に大きく「SID」と書いてあるが、もちろん本を開くまでなんのことか分からない。
これはタイトルとして良いのだろうか、と思わざるを得ないが、それ故に手にとった自分もいるわけで、逆説的に成功なのかな。
それぞれのスポーツで、成功するのに必要な性格・性向は異なっているということが種々のインタビューを通じて積み上げられていくが、話はスポーツに留まらず、政治や子育て・教育論まで。
著者のいうSID(スポーツ・アイデンティティ)は、学術として高めるというよりは、人を見る上で、その人が若い頃に取り組んだスポーツ、ポジションを予め知っておき、ある程度の傾向を掴むために利用する、みたいなのが良いのかな、と。
その前提を知るためには、自分自身の引き出しも多くしておかないといけないので、著者の書く他のノンフィクションを多く読むのが手っ取り早い、と。
個人としては、そういう利用法になろうか。
あるいは、文科省とかスポーツ庁的な発想で、将来のオリンピック選手発掘に使うべく、心理テストとかを作ってデータを蓄積していくとかかな。
もちろん電通案件ですが。
正誤表)
「ブルー・スリー」→「ブルース・リー」
「日本ハムファイターズ」→「近鉄バファローズ」 -
Posted by ブクログ
「最強」というビジョンを誘蛾灯に人を集める職業が「プロレス」なのだとしたら、それは観客だけでなくレスラーになりたい若者の心も吸い寄せることになります。その光が最高のルクスを放っていたのが70年代後半の「新日本プロレス」で、アントニオ猪木というリアルな肉体と挑戦的言語が眩いファンタジーを発散していたのでありました。その「最強」という夢まっしぐらに突っ込んでいったのが佐山聡少年です。大概は「最強」はプロレスというビジネスのための営業ツールだ、と知ることがレスラーとしての「大人の階段」なのですが佐山はその階段を拒否、ずっと少年としての人生を歩むことになりました。その記録が本書になります。新日の隆盛と崩壊、UWFの隆盛と崩壊をテーマにしたプロレス歴史本はかなりありますが、そのどれもが佐山を“特異点”として取り扱っています。今回はその“特異点”視点で修斗の章が新鮮でした。しかし、少年が自分を語る言葉をあまり持たないように還暦の少年佐山聡も言葉は細切れで、著者が「佐山さんと四つに組む」と宣言していたようにはなっていないような気もしました。しかし逆に前著「真説・長州力」の長州の饒舌っぷりに違和感を感じたようにはならず、佐山、変わんないな…と思いました。タイガーマスクという本来の自分の目指すところで充分過ぎるスポットライトを浴びたことで、自分を慕ってくる若者には無名性を強調するというジレンマが彼の複雑さのひとつであることが強く感じられました。誰も見たことの無い風景を見た者だけの孤独、それは製圏道を進める現在も続いているのでしょう。
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初代タイガーマスクとして日本全体を熱狂の渦に巻き込んだ佐山サトルさんが、人生を通じて何をしたかったのか、を膨大なインタビューを元にひもといたドキュメンタリー本。読み終わって「なるほど、佐山サトルは求道者であったのか」と悟ったと同時に、「何でも簡単にできてしまう天才は、どこに行っても異端者になるんだよな」と非常に切ない気持ちになった。ある意味、吉田松陰と似たような純粋さと狂気を感じたし、こういう人だからこそ時代を切り開く事が出来たんだな、とある意味納得出来た。
佐山さん以外の部分では、アントンハイセルに端を発した新日の混乱の件が割と詳しく書いてあり、そちらも興味深く読めた。正直、読後感はあまり良くないのだけど、古くからのプロレスファンとしては読んで良かったな、と思ったりした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初代タイガーマスクとして一世を風靡した
佐山サトルの評伝。著者の田崎健太とは、あの「真説・長
州力」を書いたノンフィクション作家。あの本の好き・嫌
いはともかく、取材力に関しては確実に信用出来る仕事人
であることは間違い無い。
・・・いやぁ、凄かった。
まずハードカバーの単行本で500ページを超える物量だけ
でも凄い。これに加え、佐山本人や周辺の人々に丁寧に取
材がなされており、いい加減な記述・断定的な記述の類い
が一切無い。内容に関しては、これまでいろいろなところ
で書かれてきた初代タイガーや佐山のエピソードとほぼ相
違なく、誤解を恐れずに言うのなら、壮大な「まとめ」を
読んでいる気分。だけど・・・。
もし田崎さんで無い人間が「まとめていた」のであれば、
そんなこととっくに知ってたぜ!的な、妙な否定を伴った
感想しか出てこなかった気がする。キッチリ仕事の出来る
作家さんが書いてくれるからこそ、僕らが特別な感情を持
たざるを得ない「唯一無二の存在」の物語を楽しむことが
出来た、と思う。田崎さん、本当に感謝します。
そして改めて、佐山サトルという男の「天才ぶり」を思い
知った。その上で、佐山サトルというプロレスラー・格闘
家が、今の僕にどれだけの影響を与えてくれたのかも再確
認出来た。
タイガーマスクに熱狂したこと、旧UWFでゾクゾクしたこ
と、シューティングで「恐ろしい競技が始まった」と感じ
たこと等を昨日のことのように思い出す。何より、本人の
意には沿わないのかもしれないが、僕が変わらずに大好き
なプロレスの世界に戻ってきてくれた佐山には、本当に感
謝しか無い。
願わくば、今後の佐山サトルの人生に正当な評価があるこ
とを望む。佐山サトルの存在に人生を変えられた人間は、
本当にたくさん居る筈なのだから。 -
Posted by ブクログ
現在、日経新聞に連載中の釜本邦茂さんの「私の履歴書」が日本とサッカーの出会いの陽のあたる歴史だとしたら、本書は本来だったら陽の射し込まない歴史なのかもしれません。まだまだ書かれていないこともあるのでしょうが、著者はよくぞインタビューを重ねたものだ、と思いました。たまたまこの前に読んだ小林至「スポーツの経済学」でIOCとFIFAの巨大ビジネス化にISLと電通の関与したことが指摘されていて、日本の広告会社が巨大スポーツビジネスに「入った」のではなく「作った」ことに不思議な感覚を覚えていたのですが今回の読書によって、なるほど!がいっぱい得られました。
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Posted by ブクログ
勝新太郎の映画と私生活のエピソードを書けば面白くないわけがない、と思われるのは著者にとって損なことだろう。そんな予断を持って読み始めたが、やっぱり面白い。日本映画ファンを自称する自分としては、勝新太郎映画をあまり見ていないのはお恥ずかしいのだが、それに加えて、テレビをほとんど見ていないので、晩年のテレビ映画の傑作と言われるものを何とか見なくてはと反省している。
映画俳優の伝記としては、著者と勝新太郎との私的な関係のこともあってか、少し思い入れ過剰だと思われるのが残念である
と言いつつも次は山城新伍の「おこりんぼ さびしんぼ」(積ん読状態だった)を読んでみようと思っている。 -
Posted by ブクログ
まず取材力が違う。多くの関係者から取材を行い、協力者の過去の発言と今回の取材での矛盾点を突いて1つずつ真実を裏付ける確認作業が丁寧である。
自分は三銃士世代の為、デビューから移籍や出戻りの経緯を詳しく知れたのは良かった。
ただページ半分でやっとジャパンプロレスとややテンポに遅さを感じ、新日現場監督時代の話はスッポリと抜けてある。長州が売り出したかった選手やそのギミックや、逆に選手から提案されて却下した案など聞きたかった。
現在もトレーニングに新日道場を使ってる手前その辺はNGなのか、代わりにWJの話が解禁になったのは新鮮だった。今回で最後との事だが次があるように感じた。