感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人はパズルのピースのように凸も凹もある。彼は、凸も凹も突出していて、それを受け取る凹も受け入れる凸も限られていた。まさに「球童」、野球界から離れ、童でもなくなったときに、残された道はあれしかなかったのかもしれない。
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田崎さんの作品は、本当にどれもよく取材されていて、単に話を聞いた、関係者の話を集めた、というレベルを大きく超えています。
一人の人の生き方、生き様が、重みと厚みを込めて読み手に伝わってきます。なかなか、こんな描き方ができる書き手はほかにいません。
あまりにも特異な才能に、精神の強さがバランスできていないとどんなことがおきるのかがこれでもか、と描かれています。
読んでいて苦しくなりました。
もうちょっと気楽に、
もうちょっとほどほどに、
気持ちを落ち着けることができたら。
好きな野球、好きなピッチングを続けてくれたら、どんな名勝負がもっとみられただろう、と思わずにはいられません。
伊良部・清原の対決シーンは、ある程度の年齢層のひとには、忘れられない緊張感を今でも思い出させてくれます。
あの名勝負の主人公が、ほんの15年ほどの間に全く違う姿になってしまいました。
とても複雑に想う。
そんな読後感です。
Posted by ブクログ
私自身は実物を見たことがない。しかし、本書の登場人物(証言者)には馴染みのある人たちが多い。ここの証言者以外でも、接点が少しでもあった人たちと話せば、(プラス・マイナス入り混じった)それぞれの強烈な思い入れが感じられる。特異な野球人であったことは間違いない。「ブーブーな。こうやってちゃんと残る形にしてもらえたことは良かったんと違うかな」。証言者の一人となった元チームメートは、遠くを見るようにしてそう言っていた。本書は伊良部秀輝の真実を描くことを目的としたノンフィクションというよりも、伊良部秀輝に関わった人たちからのレクイエムだと思う。