田崎健太のレビュー一覧
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Jリーグ開幕時に川崎に住んでいた私は、テレビでしょっちゅう放映していた試合中継を見るうちに、横浜フリューゲルスを応援するになった。
三浦カズや武田にチャラい印象を持っていた私に、当時川崎を本拠地としていたヴェルディを応援するという選択肢はなかった。
マリノスはそれなりに好きなチームではあったが、エドゥーやモネール、GKの森敦彦などがいる個性派集団の方に惹かれていったのだと思う。
チームの雰囲気も、プロ野球で応援していた横浜大洋ホエールズに近かったような気がする。
その後もアマリージャ、前園、三浦アツ、波戸(ゴールセレブレーションで鳩のような動きをしていた。)、楢崎などの印象的な選手がいたフリューゲルスが好きだった。
前置きばかり長くなってしまったが、本書は、裏方を含めた関係者へのインタビューを積み上げて書かれた労作である。
この関係者には、フリューゲルスのルーツである横浜サッカークラブの創立メンバーも含まれており、短命に終わったこのチームの歴史を語るのにこれだけの分厚い叙述を要したのも納得である。
最後に、クラブ経営が世界水準にあれば、あの状況からフリューゲルスが存続できる道もあったかもしれない、というオルタナティブが語られるが、つくづく悔やまれる話である。 -
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1993年にJリーグがスタートして、
たったその6年後
1999年元日の天皇杯優勝を最後に
横浜フリューゲルスというチームが消えました。
今ではその痕跡は合併相手となった
横浜Fマリノスの「F」と、横浜FCの本拠である
三ツ沢球技場くらいでしょうか。
この本の題名にある「なぜ」に対して、
本書では明確に答えは提示されていません。
しかしヒントは散りばめられています。
創世記のJリーグバブルの崩壊があまりに早く、
クラブチームの運営というものを理解している人間が少なかったことが一つ。
現在、同じようなチームの経営危機が
発生すれば、高給選手を放出し、若手主体の
チームへ切り替えるのが普通かと思います。
しかし当時はこんな考えを持つ人がいなかったのです。
そして2つ目の理由はなんと労働組合が組織されていなかったことです。
日本のプロ野球がスト権を行使して、
1リーグ化を阻止したのは記憶に新しいと思います。と言っても2004年のことですが。
一方でJリーグ選手の労組化は2011年だったのです。
「ストライキは無理でも試合のボイコットで抗議
の意を表す方法もあったのでは?」と
やや乱暴ですが、そうい意見もあったかもしれないです。
その答えは本書のキモの部分である、
横浜フリューゲルスの前身のチームの歴史を冒頭から追いかけている理由にあるのです。
ノンフィクションにおいて時系列に物事を
追いかけるのは、冗長な感を招くので、
通常はクライマックスシーンから入るのが常かと思います。
しかし横浜フリューゲルス消滅の種は、
Jリーグの前身である日本リーグ時代に蒔かれていたというのが、著者の見立てかと思います。
だから冒頭から時系列に歴史を追っているのです。
歴史の妙を感じずにはいられない極上の
ノンフィクションです。 -
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読み応えがあった。「真説・長州力1951-2018」、「真説佐山サトル」でも思ったけど取材がすごいし説得力がある。
Jリーグ発足当時をリアルタイムで知っていた身だけどフリューゲルスの消滅はなんとなくしか知らなくて、フリューゲルスと言えば真っ先ににレゲエの森くんを思い出す程度の思い入れだったけれども今見ると驚くような登場人物や当事者がいたり、経営やマネジメントの側面での話などはサッカーとは関係なく面白かったな。オススメです。
あとジャンルは全然違うのだけど、結末があらかじめわかっているという意味でルディ・サーゾが書いた「オフ・ザ・レイルズ」で読み進めるにしたがってランディ・ローズの死に向かって行く時の辛い気持ちを思い出したりもしました。
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ネタバレ世評に違わず、すっごく面白い。
藤波との名勝負数え歌の時が一番熱くて、その後も海賊男のあたりは長州が見たくてもだえるほどだった。それから後はUWFが好きになって特にファンではなかったのだけど、プロレスを見ていた時には必ず長州がいた。長州をめぐるプロレス史解説でもある。トップアスリートはプロレスに対して冷ややかな人が多いのだけど長州はその代表だ。近年カミノゲで、愉快な側面に触れていたため、昔のおっかない感じが記憶からよみがえる。
マサ斉藤はずっとすごく好きだったが、悪い意味でアメリカンな銭ゲバな側面を初めて知って引く。
オレも専修大学出身で秋山とためなのだけど、レスリング部には全く接点がない。松浪先生のゼミを選択するチャンスはあって、同じクラスの女の子はそのゼミでエジプトかどこかに行っていた。楽しそうだった。松浪先生のゼミを受講していたら運命が違っていたかもしれない。 -
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ドラフト4位には好選手が多いという。本書では桧山(阪神)、渡辺俊介(千葉ロッテ)、和田一浩(西武)、武田久(日本ハム)、川相(巨人)、達川(広島)を収録。「ドライチ」「ドラガイ」に続く良作。
ドラフト上位指名も素晴らしいが、一芸に秀でたりスカウトの眼力が問われる下位指名も面白い。本書では出てこないがイチロー、中村紀洋、金本なんかもドラフト4位。本書はそんなドラフト4位の元プロ野球選手をテーマにしている。
プロ野球に入りたくて入りたくて仕方なかった選手もいれば、まさか自分が指名されるとは、という選手も。弟の方が才能があったがケガで断念など実力だけでない運の要素も。
指名される選手にはコンプレックスに感じる場合もあるようで、取材を拒否されることもあったという。
たまたま編集の都合もあろうが、なんとも玄人受けしそうな選手が集まった作品。
昭和、平成のプロ野球を愛した人にはきっと楽しめるだろう。 -
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もともとの雑誌連載では絶滅芸人というタイトルだったという。読み終えてみれば、まさに絶滅寸前の凄まじい人生を歩んできた芸人ばかりであった。ほとんどの芸人はリアルタイムで知らないしその凄さも今一つわからないが、とても濃密な取材のもとに構成されていて読みごたえがある。何ヵ所か読めない漢字があったがルビがないのは著者の矜持か。
月亭可朝は豪快というかいい加減というか、とても堅気の商売はできないであろう人だった。
松鶴家千とせは逆に真面目でぼくとつな人柄が滲み出ている。ビートたけしの師匠を自認しているが、弟子に否定されていて切ない。
毒蝮三太夫はラジオが終わってもファンサービスを徹底していて素晴らしい。あの毒舌に至るまでの人生がまた壮絶だ。
世志凡太という人は知らなかったが、浅香光代が若い頃お色気で売っていたとは驚いた。まさに身体を張った芸人だった。
こまどり姉妹は文章から二人の息の合った会話が伝わってくる。生死をさまよう極貧から抜け出し舞台に立ったのに暴漢に刺され、ガンを患い、裏切られ借金まで背負う。
戦中戦後の地獄をくぐってきた芸人たちはやはり気合いが違う。単なる芸人のインタビューではなく、歴史的な背景も勉強になる濃厚な一冊。 -
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「正当なノンフィクション作品は、取材対象を傷つける可能性を内部に孕んでいる。取材とは心の中へ踏み込んで、触れられたくない記憶を掘り起こす作業でもあるからだ」(プロローグ 佐山サトルへの挑戦状)
昭和の新日本プロレス絶頂時のスーパーヒーロー タイガーマスク。
第1次UWFの象徴 スーパータイガー。
そして、格闘技団体 修斗の創設者・佐山サトル。
プロレスファン、格闘技通の間でその名を知らぬものはいない。
大きな大きな影響を与え、今でも語り草になっている。
だが、その実像、その人物にキッチリと向かい合って記録に残されてきたものは殆どなかった。
都市伝説のような流言飛語。
根拠の曖昧な噂話。
武勇伝から罵詈雑言まで、巷には溢れかえっている。
著者は、真正面から佐山本人に向かい合い、丹念な取材で掴んだ情報、疑問、見解をぶつけていく。
その一つ一つに極めて誠実に答えていく佐山。
事実とは何か。
真実とは何か。
格闘技というジャンルを越えて、歴史の真実を、物事の本質を追求していこうとする姿勢に、真のジャーナリズム、ノンフィクションの在り方を見た。
骨太で読み応えのある好著。 -
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FIFAの腐敗の歴史、と言えば簡単なのだが、現実はそう簡単で単純ではない。それより話は大きく、五輪や国際陸上のマネーの話も出てくる。
欧州中心主義と戦ったアベランジェ、マルチリンガルでバランサーのブラッター、その周りに企画と集金係としての電通(特に高橋治之)、スポーツをマネーにしようと企てた張本人のホルスト・ダスラー(アディダス創設者の長男)…。
その他、ピーター・ユベロス(ロス五輪組織委員長)、高橋治之の弟・治則(「長銀を潰した男」)、等々。
著者の長年の人脈を活かした著作であり、この田崎健太氏ではないと書けない本だと思う。文章もとても読みやすく、先へ先へと読み進めてしまう技量が素晴らしい。
カネにまつわる部分が当然ながら曖昧になってしまったが、それはカネの実際の配分に関わらない(関わると日本法では犯罪になる)人へのインタビューが中心では仕方ないと思われる。
いずれにせよ、大量のカネが悪いのではなく、生き金死に金、如何に使われるかが善悪判断の要点となるのだとも改めて気付かされる。
スポーツに関わる人だけではなく、スポーツに少しでも興味がある人は必読の本。 -
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昭和の新日本プロレスを少しでも好きだった人にはぜひ読んでほしい。ウソや適当な話ばかりのプロレス本とは明らかに取材の量も質も異なる。WJ以降の長州はリアルタイムではあまり追っかけてなくて初めて知るようなことも多かった。少年時代から新日入団までの話はほぼ初めて聞くエピソードが多くてとても興味深く読んだ。新日全盛期、ジャパンプロレス・全日、新日に戻って以降の話はリアルタイムで見ていたけれども、見えないところでの魑魅魍魎とした数々の話もとても面白かった。そして登場する数々のレスラーの人柄もすごくよくわかるし、嫌いだった奴はやっぱりくそだったと思わざるを得ない、特に北尾な。あいつは本当に最低な男だ。そして前田、越中、ヒロ斉藤、藤波、グラン浜田とかはますます好きになる。残念なのはマサさんとWJが原因で疎遠になってしまったことかな・・・。