【感想・ネタバレ】横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのかのレビュー

あらすじ

「いつまで選手たちに黙っている気ですか?」
「このままでは危ない。チームが潰れるぞ」

関係者が初証言、Jリーグ31年目にして明かされる”真実”



日本サッカー界の「汚点」――
クラブ消滅の伏線だった「全日空SCボイコット事件」の真相。
日本で最初に本物のクラブチームとなる可能性があった「フリューゲルス」を潰したのは誰だったのか。



(目次)
プロローグ

第1章
最初の「汚点」――全日空SCボイコット事件
1964-1986

第2章
日本リーグの・アウトサイダー・から「オリジナル10」へ
1987-1992

第3章
ブラジル人トリオ獲得の「裏側」
1993-1994

第4章
「家族的」なクラブの限界
1995-1997

第5章
緩みの象徴「タクシーチケット」
1997-1998

第6章
「ボイコットだけは阻止しなければならない」
1998

第7章
怒りと悲しみを心の底に埋めた男たち
1999

あとがき

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

いつも行ってる西が丘で起こったボイコットとか、最後に昨日の対戦相手だったYSCCが出てきたり、地続き感があってリアルに考えさせられた。昨日のYSCCの応援は仕上がってて流石J3だったサポータは違うな、新宿は今後これができるのかなとか思った。

0
2025年10月12日

Posted by ブクログ

Jリーグ開幕時に川崎に住んでいた私は、テレビでしょっちゅう放映していた試合中継を見るうちに、横浜フリューゲルスを応援するになった。
三浦カズや武田にチャラい印象を持っていた私に、当時川崎を本拠地としていたヴェルディを応援するという選択肢はなかった。
マリノスはそれなりに好きなチームではあったが、エドゥーやモネール、GKの森敦彦などがいる個性派集団の方に惹かれていったのだと思う。
チームの雰囲気も、プロ野球で応援していた横浜大洋ホエールズに近かったような気がする。
その後もアマリージャ、前園、三浦アツ、波戸(ゴールセレブレーションで鳩のような動きをしていた。)、楢崎などの印象的な選手がいたフリューゲルスが好きだった。

前置きばかり長くなってしまったが、本書は、裏方を含めた関係者へのインタビューを積み上げて書かれた労作である。
この関係者には、フリューゲルスのルーツである横浜サッカークラブの創立メンバーも含まれており、短命に終わったこのチームの歴史を語るのにこれだけの分厚い叙述を要したのも納得である。
最後に、クラブ経営が世界水準にあれば、あの状況からフリューゲルスが存続できる道もあったかもしれない、というオルタナティブが語られるが、つくづく悔やまれる話である。

0
2025年05月10日

Posted by ブクログ

テクストとは、織物のことだという、初歩的な知識を思い出させてくれる。それだけ多くの人達の声を集めて丁寧に織り上げてくれた。厚みもあり、まだるっこしいと感じる向きもあるかもしれないが、歴史を当事者の生きた証として描くためには必要なことだ。きっとこの何倍もの情報が書き留められなかったに違いない。 
直ぐに横浜FCができたように、知恵はいくらでも出せたはずだ。そこが企業の持ち物という意識から抜け出せなかった初期のJなのだろう。
それにしても、最後に触れられているYSCCの下位リーグからの復活を心から祈る。

0
2024年12月17日

Posted by ブクログ

1993年にJリーグがスタートして、
たったその6年後
1999年元日の天皇杯優勝を最後に
横浜フリューゲルスというチームが消えました。

今ではその痕跡は合併相手となった
横浜Fマリノスの「F」と、横浜FCの本拠である
三ツ沢球技場くらいでしょうか。

この本の題名にある「なぜ」に対して、
本書では明確に答えは提示されていません。

しかしヒントは散りばめられています。

創世記のJリーグバブルの崩壊があまりに早く、
クラブチームの運営というものを理解している人間が少なかったことが一つ。

現在、同じようなチームの経営危機が
発生すれば、高給選手を放出し、若手主体の
チームへ切り替えるのが普通かと思います。
しかし当時はこんな考えを持つ人がいなかったのです。

そして2つ目の理由はなんと労働組合が組織されていなかったことです。

日本のプロ野球がスト権を行使して、
1リーグ化を阻止したのは記憶に新しいと思います。と言っても2004年のことですが。

一方でJリーグ選手の労組化は2011年だったのです。

「ストライキは無理でも試合のボイコットで抗議
の意を表す方法もあったのでは?」と
やや乱暴ですが、そうい意見もあったかもしれないです。

その答えは本書のキモの部分である、
横浜フリューゲルスの前身のチームの歴史を冒頭から追いかけている理由にあるのです。

ノンフィクションにおいて時系列に物事を
追いかけるのは、冗長な感を招くので、
通常はクライマックスシーンから入るのが常かと思います。

しかし横浜フリューゲルス消滅の種は、
Jリーグの前身である日本リーグ時代に蒔かれていたというのが、著者の見立てかと思います。

だから冒頭から時系列に歴史を追っているのです。

歴史の妙を感じずにはいられない極上の
ノンフィクションです。

0
2024年09月01日

Posted by ブクログ

読み応えがあった。「真説・長州力1951-2018」、「真説佐山サトル」でも思ったけど取材がすごいし説得力がある。

Jリーグ発足当時をリアルタイムで知っていた身だけどフリューゲルスの消滅はなんとなくしか知らなくて、フリューゲルスと言えば真っ先ににレゲエの森くんを思い出す程度の思い入れだったけれども今見ると驚くような登場人物や当事者がいたり、経営やマネジメントの側面での話などはサッカーとは関係なく面白かったな。オススメです。

あとジャンルは全然違うのだけど、結末があらかじめわかっているという意味でルディ・サーゾが書いた「オフ・ザ・レイルズ」で読み進めるにしたがってランディ・ローズの死に向かって行く時の辛い気持ちを思い出したりもしました。

0
2024年04月18日

「スポーツ・アウトドア」ランキング