ベリエ・ヘルストレムのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
元服役囚ベリエ・ヘルストレムと作家アンデシュ・ルースルンドの描く事件は、現在のスウェーデンでの深刻な病理を浮き彫りにする。
フィクションでありながら、現実の社会の闇でもある人身売買と強制売春の悲しい事件に取り組むグレーンス警部もまた、時代が生み出したかのようなモンスター級の犯罪者によって引き起こされた、やるせない過去を抱えながら生きている。
彼の過去と、それを引きずりながらの痛々しいまでの現在の生活が、シリーズの中で徐々に明かされていくほどに、読み手の切なさは増していく。
不完全燃焼のような今回の事件の終わり方。この先のシリーズの中で、解決の展開を見せるのか?! -
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Posted by ブクログ
ネタバレエーベルト・グレーンス警部シリーズ第三作。
自分の中の何かが麻痺したのだろうか。
エーベルト警部が、これは大事件と騒ぐのが
全く響いてこない。
作者の「やり口」に慣れてきたということか。
自分が望んでいないにもかかわらず、
意外性の無い、悲劇的な結末へと向かって、
話が進んでしまうことに。
アメリカの州立刑務所内で死刑執行前に死亡したはずの囚人が、
スウェーデンで暴力行為で逮捕され、
政治的駆け引きの結果、アメリカに引き渡されて死刑に処された。
それだけ。
死刑になると判っていて卑劣な男に暴力をふるってしまった動機も、
その無実の罪を創り出した男の動機も理解できなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエーベルト・グレーンス警部シリーズ第二作。
もはや苦行だ。
相変わらず苛烈な暴力の描写に、
正義の無力さ、人生の虚しさの熱帯雨林をかき分けて前進するような苦行。
その行程の果てにあるものは、
心洗われる大瀑布でもなければ、
失われた古代遺跡でもない。
前作で登場した囚人が刑務所から出所して話ははじまるが、
そこに外国から騙されて連れてこられた売春婦たちがからんでくる。
酷い暴力の被害者の彼女が、銃と爆弾を持って立てこもった目的はなにか。
グレーンス警部と囚人の因縁が明らかになり、
自分の恋人に重傷を負わせ人生を破壊したその犯罪者を、
傷害からくる事故死を殺人の罪で追い込むのはまだ良いとし -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「悪童」の解説でみかけて。
ミステリーとは謎とその解だ。
謎は殺人だったり、盗みだったり、客の不審な態度だったり、
解は犯人だったり、動機だったり、過去だったりする。
主人公の恋愛に夢中になったり、
美味しそうな食事に心を奪われたりすることもあるが、
それだけではミステリーではない。
謎解きの過程を楽しみたいという希望はあるが、
残念ながらすっとばされることもある。
全ての謎に解が与えられる訳でもない。
しかし、謎と解がなければミステリーではない。
それゆえ、この作品はミステリーではない。
少女が残虐な殺され方をしていても、
被害者の家族が悲しんでいても、
刑事や検察官が犯人に同情しようが -
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