ベリエ・ヘルストレムのレビュー一覧

  • 三分間の空隙【くうげき】 下

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    分厚い2冊の徹夜本だった。。。
    サスペンス・ミステリーとしての面白さもそうだけど、いつもに比べて圧倒的に読みやすい。それはいつも凄惨に描かれる犯罪被害者や貧困等の社会問題が出てこないから。
    少なくともグレーンス警部が劣悪な犯罪者やそこに至る背景に怒り憤りを感じる部分がないんだよね。。。
    そこがちょっと物足りなさを感じなくもない。。。
    まあ描かれてないわけじゃないんだけどちょいと弱いよね。
    まあこれ以上分厚くなっても困るか笑

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    2020年09月07日
  • 三分間の空隙【くうげき】 下

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『三分間の空隙 下』ハヤカワ文庫。

    最後の最後まで息詰まる展開が続く下巻。クレイグ・トーマスの『闇の奥へ』を彷彿させるような作品で、非常に面白い。パウラは家族と共に生き延びることが出来るのか。一難去ってまた一難。パウラが家族と共に普通の生活を取り戻すまでの長く険しい道程の結末は……

    麻薬犯罪組織が社会を支配する時代。快楽を求める麻薬中毒者と麻薬製造と売買により莫大な金を手にする犯罪者たち、彼らをを壊滅するために手を尽くす米国政府。

    家族と共に自ら生き延びるために米国下院議員の救出を選択したパウラ。

    下巻の冒頭でグレーンス警部と麻薬犯

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    2020年08月31日
  • 三分間の空隙【くうげき】 上

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『三分間の空隙 上』ハヤカワ文庫。

    角川文庫の『三秒間の死角』の改題作かと思ったら、まさかの姉妹作で全く新たな邦訳作品だった。しかも、グレーンス警部シリーズ。危うくスルーするところだった。

    上巻を読む限りではグレーンス警部の見せ場は無く、パウラが主人公と言って良いだろう。

    パウラの焦りが読み手にも伝わるかのように命の危機を感じる白熱の展開が続く。正義を全うするためにはそこまで悪に成りきる必要があるのか。

    メインの舞台はコロンビア。僅か9歳の子供がたった200ドルで殺し屋になる異常な社会。米国の麻薬取締局に雇われたスウェーデン人の犯罪

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    2020年08月30日
  • 三分間の空隙【くうげき】 下

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    ことこの連作に関してはかなり熟れてきてて一般受けしそう。
    制裁とかボックス21とかの粗さも好きねんけど。

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    2020年08月23日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    【ネタバレ】
    不愉快な結末、予想を覆す…と煽っているものの、想定の範疇のラスト、主人公たちの不実…、こう書くと駄作極まりない作品のようだが、小説としてはオモロいのである。

    主人公だから、有能な警察官だから、過去の不幸と戦い正義を貫こうとする人物だから…といってその人物の行動すべてが正しいわけではないのである。
    その人物が義や仁や情に基づいて行動したとしても、それが万人にとっての義や仁や情に当てはまらないこともままあるのである。

    「不愉快な話」=「面白くない作品」
    多くの場合この指標は成り立つのだが、この作品はイコールではないと証明している。不愉快だがオモロい。憤りはすごく感じるが読ませる。

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    2019年06月01日
  • 制裁

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    ネタバレ

    「3秒間の死角」が面白かったので、グレーンス警部シリーズを追いかけてみようと手に取った1作目。

    オモロい、サスペンス描写も良く展開も読めずハラハラドキドキできて、何よりテーマも良いぞ。

    (以下ネタバレ)
    死刑制度のないスウェーデンでは、児童虐待レイプの連続犯であっても、刑期を勤め上げれば(あるいは精神鑑定を受ければ)刑務所を出所できるらしい。そんな極悪犯を私的に処刑する事の是非。その処刑を世論が支持し私的リンチが流行する怖さ…

    でも、俺も娘を作中のような残酷な目に会わせた犯人がいたら、法律関係なくブチ殺そうとするだろうな。人間は社会があって初めて人間たるんであろうけど、作中のお父さんのよ

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    2019年05月01日
  • 地下道の少女

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    ネタバレ

    表向きにはいないということになっているスウェーデンのストリートチルドレン。だけど現実に地下にたくさん存在している。誰からも探してもらえない人がいるということ。子どももいるということ。ひとつの殺人と43人の子どもが路上に置き去りにされる事件。このふたつの事件の捜査から地下へと続き、スウェーデンや近隣でのストリートチルドレンの問題が表面化していく。グレーンスの癇癪や独断で動く捜査や一匹狼なところは相変わらずで、でもシリーズのなかで重要な位置になりそうな今作。大きな社会問題とグレーンス個人の問題を抱え苛立ちが募る。このシリーズは重い問題を扱っていて読み心地がいいとは言えないけれど読むことをやめれない

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    2019年03月06日
  • 地下道の少女

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     現実に即して書こうと意図した作品には、すっきりした終わりはない。小説題材となる現実を、普遍的な形として世界の記憶に留めようと意図する作家は、読者が求める単純化に応えることは容易にはできない。何故なら現実が抱える問題は、今もなお解決を見ることなく、ずっとそこにあり続けるものであるからだ。だからこそ、この種の作品はどこかで必要とされ、そして誰かに読まれる時を待つ。

     これは子供たちの物語だ。家族に捨てられたり、家族から逃げ出したり。ストリート・チルドレン。北欧では冬を越すためにシェルターや施設に逃げ込む者、連れ戻される者もいる。しかし帰りたくない、逃げ続けたい子供たちの一部は、何と地下道に居住

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    2019年03月02日
  • 制裁

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    ネタバレ

    娘を幼稚園まで送り届けた後、テレビを付けると見覚えのある男が映っていた。性犯罪者が脱走したというニュースだ。嫌な予感を抱きつつ、幼稚園まで引き返すが…。

    憎しみと悲しみ。喪失。虐待の暗い記憶。
    娘を殺した犯罪者を殺す父親。一度は無罪となるが、上告されて有罪となってしまう。投獄後、過去の虐待の記憶に悩まされる受刑者によって性犯罪者と勘違いされ、殺されてしまう。しかし、父親が殺した犯罪者の次のターゲットは、その受刑者の娘だった。彼は娘の命の恩人を殺してしまったのだ。

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    2018年10月30日
  • 制裁

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    アンデシュ・ルースルンドの本は、『熊と踊れ』から入り、『ボックス21』を読み、この『制裁』で3冊目。
    色んな立場の人の視点から物語が進められるが、それぞれの立場に、感情移入することができるのが不思議。

    今回も、犯罪を通して社会問題や倫理の問題を投げかけられた。
    自分の中で考えを纏めるのに時間がかかりそうだが、人が人を裁くって難しい。

    訳者あとがきより抜粋
    『他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら、大人はそうすべきなのか。そうやって、人の生命の価値を、同じ人間が決めてしまうことは、果たして許されるのか。それが許されるとき、怪物が生まれるのではないか……。』
    しばらく考えてみる。

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    2018年09月16日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    これと似た現実が世界にはいくらでもあるんだと思うと、作者には、愚かな警官2人の代わりに現実を綴ってくれてありがとう、という気持ち。
    リディアとアレナの声を胸に刻む。二度とこんな事が起こらないように、とリディアが命をかけた翌日に新しい2人。あり得ないけどこういうことはきっと今も起こっている。有能な警部でもこういうことをし得る、ということも作者のメッセージの1つ。

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    2018年09月09日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    いま流行りの?北欧の警察小説。北欧物の英米物との違いは、主人公がやたら泥臭い事。英米物にも泥臭い主人公はいるにはいるが、北欧物の場合、警察官と言う職業を感じさせないほど、ものすごく泥臭い。そしてもう一つ北欧物の特徴(?)は、なんとなく漂うその“暗さ”。暗いのは、北欧の気候を反映しているんですかね?そのの泥臭さと、暗さで、なんとも言えない全体的な雰囲気が形作られている。

    そしてこの作品、最後の2行が衝撃的。頭のどこかで、そうなることをうっすらと感じてはいたんですが、文字にして読んでみると、ものすごく衝撃的です。いやぁ、なんだかな。

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    2018年09月08日
  • 死刑囚

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    毎回の事ながら
    心して読み始めて入るものの
    「ん、今回はそんなでもないかなぁ」と思いきや
    ストンと落とされてしまう。
    新たな展開も多く 読み応えがあった。
    ため息しか出ない。

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    2018年06月06日
  • ボックス21

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    「制裁」の刑事達が登場するシリーズ二作目
    前回同様、読み終えた時の
    現実の問題を突きつけられた重みが凄い。
    前回のあとがきにもあったように、物語はフィクションではあるが、モデルになった人。事件事象は存在している事実。
    そして日本でも同様の問題がある事実。

    ラストの終わり方は途中で予想が出来たけど
    「そうであって欲しくない」という
    思いのまま読み進めて、嫌な汗をかいていたら
    放り投げられてしまった。

    登場人物紹介の並び順が、刑事達をメインにしていないあたりがにくい。

    過激な方法で目撃者から証言を得ようとするベテラン刑事に、汚れ仕事をさせていると自覚していながらも自分では一歩踏み出せないパー

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    2018年05月25日
  • 死刑囚

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『死刑囚』ハヤカワ文庫。

    再文庫化されたので再読。グレーンス警部シリーズの第3弾。奇抜な設定と予想外の結末が待ち受ける社会派ミステリーの傑作。読み返しても、なお面白い。

    スウェーデンで暴力事件を起こし、逮捕されたジョンと名乗るカナダ国籍の男は6年前にアメリカの刑務所で、死刑囚として獄死した男だった……何故、獄死したはずの男がスウェーデンに居るのか、彼の犯した罪は冤罪だったのか、彼の運命は……多くの謎を提示しながら、ストーリーが展開していく。

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    2018年05月05日
  • 制裁

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    面白かった。
    「制裁」という日本語を噛みしめる。
    戦争にしても殺人にしてもいじめにしても、それぞれの立場に立った時に見える景色は違う。
    考え続けること、思考停止しないことしかない。
    ただ1人、犯人だけは本当に最低!と思ってしまうのだが、
    またそこにも落とし穴を感じて、薄気味悪い。

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    2018年02月12日
  • ボックス21

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    最後の3行に、、、帯の煽りは期待せず読んでいた。
    最初から最後まで重苦しく、緊張感ある展開。それでいて読みやすく、一気に読める。
    破綻もなく、最後まで一気に持っていかれた。
    女である身としては、なんども繰り返される苦しい描写がなんとも辛かった。
    そして、最後の3行には、、、、久しぶりに心底驚き、その余韻に浸りました。1作目も読もうと思います。

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    2017年12月09日
  • ボックス21

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『ボックス21』ハヤカワ文庫。

    北欧社会の闇を描いた警察小説の傑作。ランダムハウス講談社より刊行されたグレーンス警部シリーズ第2作が復刊。本作のラスト3行の衝撃はフィリップ・マーゴリンの『黒い薔薇』にも優るとも劣らない。

    売春斡旋業者から激しい暴行を受け、病院に搬送されたリトアニア人娼婦のリディアが取った思いも寄らぬ行動は事件の真相へと…

    ランダムハウス講談社版で既読であるのだが、これから刊行されるであろう未訳作品に期待を込めての再読。

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    2017年11月26日
  • 制裁

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    人は誰かのために何かを為すことは多分できない。だから社会は不完全だ。でもその社会の中でしか生きられないのも人なのだという矛盾を強く感じる。
    テーマは重いし、救いはないし、読むのが辛いけど読まなきゃいけない気がしてとても疲れる一冊でした…
    あと訳がやはり素晴らしい。北欧ミステリなのに誰が誰だかわからん!てならなかったのは翻訳の手柄もあると思います。

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    2017年04月30日
  • 制裁

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『制裁』ハヤカワ文庫。

    2007年にランダムハウス講談社より刊行されたグレーンス警部シリーズ第1作を、著者による改稿を反映した上で再文庫化とのこと。既にランダムハウス講談社版を読んでおり、再読となる。

    日本人作家であれば、薬丸岳が取り上げそうなテーマであり、非常に考えさせられる警察小説である。愛する娘を殺害された父親の犯人への復讐の是否を問う問題作。

    幼い二人の少女を毒牙にかけ、殺害した卑劣な性犯罪者ベルント・ルンドが移送中に脱走する。脱走したベルント・ルンドは再び一人の少女を殺害する。殺害された少女の父親フレデリック・ステファンソ

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    2022年06月01日