ベリエ・ヘルストレムのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前作でスウェーデン警察上層部から見放された潜入捜査員ホフマンが、今作ではアメリカ政府から見放されて、アメリカの殺害対象リストに載ってしまうが、ゲリラに拉致されたアメリカ下院議長を救出して見返りに殺害対象リストから除外してもらおうとするものの、やっぱりアメリカ政府からは見放されてしまう…という薄幸物語。
ホフマンが生き延びて家族ともどもスウェーデンに帰還するために、グレーンス警部もパシリ役で奮闘する。
アメリカ下院議長の救出に向かうあたりから話が駆け足っぽい印象を受けるが、過去作同様、今回も読み応えがあって楽しめた。
けれど、世間の暗部を炙り出す社会派ミステリを読んだという印象ではなく、ショーン -
Posted by ブクログ
グレーンス警部シリーズ。
前作「三秒間の死角」でピート・ホフマンはポーランドマフィアに潜入捜査をしていて刑務所から命がけで脱出したが、今作の冒頭ではいきなりアメリカ政府の潜入捜査員としてコロンビア麻薬ゲリラと行動を共にしているというスピード展開。
麻薬のせいで娘が命を落としたというアメリカ下院議長が、麻薬を憎むあまりコロンビアの麻薬組織を部隊に襲撃させ、成果を確認しようと現地の視察に行ったところ、逆にゲリラに誘拐されてしまうというアホっぷり。
その余波でアメリカ政府の殺害リストにホフマンが載ってしまって大ピンチ…というところで下巻に続く。 -
Posted by ブクログ
ネタバレストックホルム市警シリーズ第4弾。
このシリーズはグレーンス警部たちの活躍ぶりを楽しむものではなく、「(スウェーデンの)社会はこんな問題を抱えていますよね」と提起するもので、今回のテーマはストリートチルドレン。
家出した少女が、自分を探しに来た母親を刺し殺し、その死体を遺棄しに行く時に母の死体へ唾を吐く…というシーンは、読んでいて非常に胸が痛む。
ルーマニアからバスで運ばれてきた43人の子供がストックホルム市内で置き去りにされるという集団捨て子事件も並行して発生し、その顛末も痛ましいが、グレーンス警部のプライベートにも前作から一変して不幸が訪れたり、もうお腹いっぱいと言うか、さすがに詰め込み過 -
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Posted by ブクログ
つらい描写の続く話でした。
なのに読まずにはいられませんでした。
この描写は、読みたくないと思う人がいるかも…
イアン・バンクスの蜂工場が大丈夫だった私でさえ、昼ごはんがつっかえました…
ただのフィクションではなく、自分自身はどう対峙するか、世間はどう動くのか。
自分の正義は本当にうまく何かを導けるのか…
いろいろ考えさせられました。
そして松本清張的なものを感じました。
5にするには読み手を選ぶ…でも、スゴい作品でした。4では少ない、4.5くらい。
シリーズを続けて読みたい…なんとかしたい…と思っています。
原題はOdjuret 怪物、野獣という意味だそう。
スカンジナビア語ですよね。
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Posted by ブクログ
女児暴行・殺害の罪で服役中の囚人が護送中に逃走
事件はそこから始まる
自己満足のために卑劣きわまりない犯行をおこす性犯罪者の視点
子どもの頃に性的虐待を受け、その記憶を呼び覚ますあらゆるものを氷釘で刺そうとする囚人の視点
最愛の娘を殺され、それでもなんとかして生きていかなければならない親の視点
犯人を捕まえるために総力を挙げて行方を追う警察の視点
物語は大きくこの4つの視点で進んでいく
そして、それぞれが駆り立てられるようにして起こした行動が思わぬ結果を招き、悪夢のような憎しみの連鎖が展開されていく
もちろん本作はフィクションだが、フィクションでも現実社会でも幼い子どもの死は本当 -
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Posted by ブクログ
北欧の作家でありながら、なぜかアメリカの下院議長が重要なポジションを占める上に、ゲリラ側にスウェーデンの人間がいるという謎の設定。当初、そういう複雑な設定に馴染めず中々読み進まなかったが、読んでいるうちに、不思議の物語にはまってしまいました。
それもしても、①アメリカ下院議長が麻薬戦争のための部隊を率いることがあるのか?、②DEAの潜入捜査のためスウェーデンの元犯罪者が使われることがあるのか?、この2点が若干腑に落ちません。特に①。下院議長は、アメリカ大統領の軽症権限第2位(副大統領の次)なのは周知のことですが、こういう実働部隊の責任者になることは無いんじゃないかな。
上巻で物語が動き始め -
Posted by ブクログ
三部作の二作目。『三秒間の死角』に連なる作品なので、前作を読んだいるとより楽しめる。舞台はコロンビア。麻薬戦争の緊迫感をベースに、主人公ふたりの苦悩や政治的駆け引きなども盛り込んだ、厚みのあるクライム・ノヴェル。
麻薬戦争というとウィンズロウの三部作を連想してしまうが、本作品もウィンズロウに負けず劣らずリーダビリティが高い。麻薬地帯の現状、そしてそこに潜入した男の葛藤の日々などがリアルに描かれるが決して重くはない。スリリングな語り口と、疾走感のあるストーリーに引き込まれ、最後までページを繰る手が止まらなかった。この辺りの筆力は、違った個性を持つふたりの作者ならではだと思う。
合衆国政府のス -