嶋中潤のレビュー一覧
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医療刑務所に勤める金子由衣は、2年目の矯正医官。
患者である受刑者のが平均年齢も高くなり、認知症の者もいる。
凶悪な犯罪者であっても基礎疾患を抱えて、医師の助けを必要としている。
由衣が、当直の晩に糖尿病を患っていた受刑者が亡くなった。
突然のことに疑惑がわき、誰かが嘘をついているように思う。
誰かがやらなければならない仕事。
医師だから命は救わなければならないと思う。
それが犯罪者であっても…だ。
葛藤の中で悩みは尽きない。
病院であって病院じゃない、刑務所であって刑務所ではない。特殊な職場。
何一つとして正解がない。
光はどこにあるのかと考えながら仕事するのだろう。
誰も進んでやりた -
Posted by ブクログ
ミステリー要素や社会派要素が詰まった、骨太な作品。由衣先生がいろいろな人と話し、向き合い、考える姿が健気でとても心を打った。
『シークレット・ペイン』も医療刑務所でのお話だけれど、視点が違って両作ともにおもしろい。本作は貫く感じ、シークレット・ペインは変化していく感じ。両作ともに医療刑務所の空気感や、さまざまな受刑者の事情や想いなどをうまく描いていて、秀作だった。
p.97 刑務所では何一つ。自分では決められない。洗えることに制約が伴う。外出はもちろん許されないし、食事も決められたものを食べるしかない。何よりほとんどの時間、鉄格子のはめられた狭苦しい空間で過ごすしかない。それは、すべて、 -
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憲法で定められている基本的人権の尊重。それさえも保障されない「無戸籍」の人々。
現代日本でこのような人がいること自体、信じられないが実際に1万人ほどの人がこの境遇に身を置いている。
以前NHKのクローズアップ現代で、この無戸籍者の人を取り上げていたことがあった(色々と問題が取り沙汰された番組ではあるが、この回がそうだったわけではない)。
にわかには信じがたい事実。法的弱者を助ける弁護士でさえ、救済しているのはごく僅かな印象だった。
そういったにわか知識をもって読んでみたが、本当に過酷としかいいようがない。
最近は法務省でも無戸籍者への呼びかけをホームページで行なっているようだが…。時代の急 -
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都井邦彦著「遊びの時間は終らない」とそれにちなんだ作品のアンソロジーだそうで表題作は確かに楽しかったのですが他の作品はそれほどの爽快感がありませんでした。
■心覚えのための簡単なメモ
[▽]鈴木光司「生きる時間は終わらない」/脚本家、スランプ、樹海取材、自殺者、遺留品、ラブドール。
[△]天祢涼「遊びの時間は終わっても」/炎上、特定厨、連続殺人者、モザイクアプローチ、記号化。
[△]嶋中潤「遊びの時間が凍りつく」/ロシア、宇宙開発、モスクワ、蚤の市、ブランのタイル、詐欺に引っ掛かりやすいオーラ、地下鉄駅。
[○]都井邦彦「遊びの時間は終わらない」/銀行強盗対策訓練、犯人役刑事の予定外の行動