あらすじ
子どもは救いであり希望。母でいることは罰。
函館にある医療刑務所分院に努める勤める金子由衣(かねこゆい)が受け持つことになったのは、不摂生の塊のような妊婦・敏江だった。お腹の我が子を心配するよりニコチンを欲する態度に驚き呆れながら、不幸な境遇から抜け出せなかった彼女の人生を思うと複雑な気持ちになるのだった。敏江は難産の末、重い障害を抱えた女児を出産する。すぐにNICUに移され懸命な治療が行われたが敏江は気に留めることもなかった。そんな敏江が数日後死亡する。リスクだらけの身体なので、何が起きてもおかしくはなく、司法検視の結果も問題はなかった。しかし、その数日後、「死にたい」が口癖の緑内障受刑者、明美が死亡した。死因が敏江と似ていることから、院内に緊張が走る。自殺なのか? 敏江の死と関係はあるのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
常に陰鬱な様子が続く。
期待しては裏切られて、
タイトル通りに救いようのない話。
医療刑務所内で立て続けに受刑者が死亡。
他殺の疑いもなく、世の中と隔離された医療刑務所の中で起こる不審死。
薬物依存、
自然界の生物が持つ毒の精製方法。
刑務所に入る者達に善人はいない事を教えられる。
Posted by ブクログ
矯正医官・金子由衣が活躍のシリーズ2巻目。
先に3巻目を読んでしまったが…、、
函館にある医療刑務所には常にさまざまな疾病や障害で入所してくるので特に繋がりには問題なく読める。
今回は特に母である女性ばかり…で、坂上敏江は風俗で働く母親の下、ネグレクトと思われる扱いを受けて成長し、自身も不安定な暮らしをし同棲相手を刺殺、勾留中に低出生体重児を産む、本人は境界知能でもある。
井上明美は、再婚でDV夫と義理の息子を刺殺するが、緑内障を患い失明に絶望している。
早川桜子は、比較的裕福な家庭で生まれたが覚醒剤で転落し、末期の胃癌を患う。
相沢桃花は、DV夫と障害のある息子を刺殺、糖尿病網膜症である。
敏江と明美が立て続けに死亡したことで、特に重い病ではなく、司法権検視も問題はなかったが、少し不審に思う由衣たち…。
そのうち相沢が死の原因を知ってるかのように言い出して…。
相変わらず由衣の暴走は凄い。
そこまで動くのか⁉︎と思うほど。
始まりの釣りからのふぐの話からなるほどそうなんだと…。
タイトルの意味がわかる。
こういうことがあるなんて想像もできなかった。
しかし、母と娘の確執は他人が思うよりも深くて重い。
Posted by ブクログ
登場人物の様々な親子関係をマーブル模様のように描く物語。この世に生まれてくる子どもは、別に生まれたいと願ったわけではないし、この親の元に…と親を選べるわけでもない。我が子の幸せを願っているようでいて、実は自身の願望しか見えていない親もいる。その子どもは親を枷に思ってしまい、そう思う自分を責めてしまう。親子というのは、本当に厄介だな。でも、とにかく、どんな状況でも犯罪に逃げてはいけない。何か別の方法が必ずあるはずだから。
最後の最後に光が見えるので、読むのが途中で辛くなっても完走してください。
Posted by ブクログ
北海道函館にある医療刑務所が舞台のここでは誰もが嘘をつく、の続編。
前作に引き続きなんとも後味の悪い展開。
刑務所にいる受刑者たちの抱えているさまざまな事情が非常に重苦しく、そして実際には受刑者よりもその家族の方が苦労をしていると言う事実に愕然としました。