嶋中潤のレビュー一覧
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木村香が仕事で1週間家を空け帰宅したときには、父はいなかった。
沖縄に行くとは行っていたが、電話も通じず行方がわからなく…母を病気で亡くし、妹も事故で亡くして父と2人だったが、何ひとつ父のことを知らなかった。
唯一、母方の伯母は夫婦で台湾に暮らしていたが、日本にいる従姉妹と父を探すことに…。
父が昔、裁判の証人になったことがあるとわかり何かしら手掛かりはないかと奔走する。
香が父のことを調べることと、父の語りで過去を遡ることが交互に進んでいく。
戸籍がないということは、自分がこの世に存在しないということと同じ。
どんなに生身の姿を見せても法は認めてくれない。
誰かの戸籍をお金で買ったと -
Posted by ブクログ
矯正医官・金子由衣が活躍のシリーズ2巻目。
先に3巻目を読んでしまったが…、、
函館にある医療刑務所には常にさまざまな疾病や障害で入所してくるので特に繋がりには問題なく読める。
今回は特に母である女性ばかり…で、坂上敏江は風俗で働く母親の下、ネグレクトと思われる扱いを受けて成長し、自身も不安定な暮らしをし同棲相手を刺殺、勾留中に低出生体重児を産む、本人は境界知能でもある。
井上明美は、再婚でDV夫と義理の息子を刺殺するが、緑内障を患い失明に絶望している。
早川桜子は、比較的裕福な家庭で生まれたが覚醒剤で転落し、末期の胃癌を患う。
相沢桃花は、DV夫と障害のある息子を刺殺、糖尿病網膜症である。 -
Posted by ブクログ
矯正医療センターで働く金子由衣医師のシリーズ3作目。
2作目が未読だったのに後から気づく…
在留外国人が増えるにつれて、事件も起きれば病気で医療が必要となることも増える。
言葉の壁を越えて、どこまで病状を把握でき、的確な治療を施すことができるのか…とても難しく多数の言語を習得することも大変だとつくづく知る。
そんななか、果敢に取り組むのご由衣だがかなりの暴走もあってヒヤヒヤすることも。
ベトナム人ランの卵巣癌に関しても病状と手術の必要性を説明するだけでも大変だろうが、翻訳機が表示した『お嬢様、もうやめたいです』という日本語訳が、正確には『女、やめたい』だったということに
どんな事があった -
Posted by ブクログ
日本に暮らす外国人の数がどんどん増えていることは、千葉の片田舎に住んでいても肌で感じます。
当然、罪を犯す人も、塀の中に収容される人も、そこで病気になり治療が必要な人も、どんどん増えているのでしょう。
先日まで放送されていたNHKのドラマ『東京サラダボウル』でも、身につまされました。
なんとかして言葉の壁を超えても、宗教や文化の違いが立ちはだかる。医師として患者を治療することができないジレンマに苦しむ主人公・由衣は、医師として負うべき仕事の範疇を越えてある行動を起こす── 仕事論として見た時、その姿は是か非か考えさせられました。私ならどうするだろう。
「あなたは自分を善人だと思われますか?