竹村公太郎のレビュー一覧
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日本史の謎に対して、地形や気象という角度から解説されている本です。
歴史家のいう通説に真っ向から異論を唱えていくというスタンスであり、なかなか刺激的な一冊。
地形を見ることで当時の国のリーダーが一体、何を考えて事業をやったのかを考察されており、特に徳川家康は、本当に長い目で日本という国を考えていたらしいことがわかります。
国づくりとその運営にまさにすべてを捧げている、為政者の鑑のような考え方と実行力は、今の日本の政治とは対照的だと思わずにはいられない。
日本人が愛してやまない、あの忠臣蔵が実は江戸幕府が国民の忠義心を煽るために仕掛けた作戦だった説も展開されてます。
これは一見すると都市伝説 -
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本書、全体的にはなかなかおもしろかったです。地形や歌川広重の浮世絵から歴史的事象を考察するという内容で、ミステリー調の雰囲気があります。ただし題名と中身ですが、「日本史の謎は「地形」で解ける」、というのは本書を読む限り言い過ぎではないかと思いました。本屋で目につくためにも少し誇張して言ってしまえ、というところかもしれませんが、歴史は人文社会系だけでは説明できないのと同様に、地形だけでも説明できないと思います。しかしそのあたりは寛容に読み進めていけば、本書はなかなか面白いと感じました。全部で18章からなっていて、家康や赤穂浪士、遷都など多様な事象が取り上げられていますが、読者諸氏はそれぞれピンと
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この対談本が面白いのは、上から目線の養老先生は本質を見失ったことも言っているのに、対談相手の竹村さんは本質を見抜いたコメントをされていることだ。
例えば、60ページで養老さんは、「自給率を高めることとフードマイレージを低く抑えることは必ずしもイコールではない」と述べている。環境・エネルギーの観点からは全く正しい。ところが、EUがそういう発想で各国で分担しているというのは、論理の飛躍だ。EUは幾重もの陸路と海路で繋がっているから、食糧安全保障の観点からも分担は正しい。しかし、日本は輸入=海路なので、コロナ禍のコンテナ不足のようにリダンダンシーの点で危うく、日本はEUとは違い、単独での自給率はや -
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◯ダムを増やさず水力発電を2倍にする
・家庭や工場、農業、発電に水を使うのが「利水」、川の堤防の決壊から守るのご「治水」、双方の目的を果たそうとするのが多目的ダム。
・国土の小さい日本のダムは2つの矛盾した目的を持つ多目的ダムが多く、これは河川法で半分しか貯められない。雨量の多い時期は放水してわざと貯めない。
◯日本は資源大国
・多雨で山岳地帯のため雨を集めやすく、河川の高低差があるため水力発電の適国
・既に過去に作った大量のダムがある。
・大都市は難しいが、地方は水力を中心として太陽光や風力を組み合わせて発電するかたちが良い。
◯日本のダムは200兆円の資産
・ダムは壊れない、震災でも本 -
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養老猛司氏の本は読んだことがないが、「バカの壁」ほか、なんだかおもしろそうなのでそのうち読んでみよう。
竹村氏は元国土交通省局長。
そういう2人による環境・食料・エネルギー問題をめぐる対談集で、談論風発風に進んでいたところに、神門善久という農学教授が飛び込んできて、農政問題が大変だ、誰もオレの言うことを聞いてくれない、農林水産省はバカだと叫ぶので、年寄り2人がもてあましてニガ笑いといった座談風景が思い浮かんでくる本でした。
竹村氏の発言。
「頭のいいだけではない、勇気もあり、社会を綱渡りしていく度胸とバランス感覚を備えた役人が少なくなりました。
現在はマスコミによって細部のミスでたたかれ意 -
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多目的ダムの矛盾=利水と治水。半分くらいしか水を貯められない仕組み。
グラハムベルはナショナルジオグラフィックの編集責任者だった。
ダムは半永久的に壊れない。鉄筋を使っていない。岩盤と一体化。コンクリートは100m。
多目的ダムは砂が溜まりにくい。砂を流す穴がある。電力ダムはない。
水路式発電ならダムはいらない。ただし減水区間が生じる。
逆調整池ダム=下に30mくらいの貯水ダムを作って、余った電気で揚水する。
かさ上げ工事をすれば、容量が増える。
奈良盆地から京都への遷都はエネルギー不足。
江戸幕府は関東のエネルギーが魅力だった。
幕末は文明の限界。石炭がエネルギーであることを知らされた -
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副題が
今あるダムで年間2兆円の電力を増やせる
元国土交通省河川局長 竹村公太郎著
何も今更大きなダムを作ろうなんてことではない。
今あるダムの運用を
最新技術を使ったシステムに変えれば
年間2兆円分の電力が生まれると言う話。
ダムの運用に関わる法律は昭和32年(1957年)に
制定されて以来、根本的には一度も改正されていない。
59年前の社会事情のまま、運用されていると言うこと!
原発問題、温暖化問題、、、。そして最近のゲリラ豪雨のような
かつては考えられない規模の大雨!
それらに役だつダムの運用方法。
かつては治水、利水という観点からダムが作られてきた。
電力を作り、水がないときに -
Posted by ブクログ
いくつか説得力が弱い点も感じるが、地形や広重の浮世絵などから歴史の背景を探っていくのは推理小説のように面白い。
桓武天皇は長岡京に遷都した際、夷が侵入する可能性のある東北方向の逢坂峠を恐れて、そこを見下ろすことができる比叡山に延暦寺を創建し、僧侶集団に武力を持たせて監視させた。桶狭間の山中で今川隊が伸びきったところを大将のみを襲撃した経験のある信長は、それと同じ恐怖を抱いた比叡山を焼き討ちにした。
頼朝は人口過密で疫病が蔓延していた京都を嫌い、鎌倉に幕府を開いた。京都の人口は20万人、人口密度は4900人/km2と推測する。「方丈記」にも、疫病で4万人以上の死者が出たと記されている。祇園祭