齋藤純一のレビュー一覧
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みんな大好き無知のヴェールで有名なロールズだけれども、その生涯はほとんど知らなかった。リベラル・コミュニタリアン論争の印象に比して若い頃は神学を修めていたというのは意外だったけれど、従軍含めた戦争体験を通じて神の完全性を掲げるキリスト教から離れたというのは納得。
相対主義からの決断主義が跋扈する時代に公正や社会的正義というものを正面から論じたということの意義は、格差の拡大が進む現代人においてますます大きくなっているように思う。
ボードゲーマーとしては無知のヴェールあたりの議論がボードゲームデザインの話にも通ずるというかこの辺からもう少し親しみやすい論じ方を自分なりにできないものかと思う -
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ロールズ
・正義論は3つの原理の明確な優先順位で構成されている。これがあらゆる人/社会にとって前提にできるかが問題になった。
1.自由な平等の原理(ただし、あらゆる自由ではなく、道徳的能力実現の要請と過去の歴史から選ばれた限定列挙された自由)
2.公正な機会平等の原理
3.格差原理
これには、本質的な矛盾がある。多元的な善を構想することが目的なのに、唯一の正義を必要としてしまう。
この問題について、唯一の正義を前提にするためカントの議論に深化していったのが初期、政治的転回で政治的の問題として、かさなりあうコンセサスにシフトしていったのが後期という説明はクリアで分かりやすかった。
万民の法で -
Posted by ブクログ
公共性の概念について最初に見取り図を提示したうえで、本書ではその見取り図の概念でさえも包摂しきれていない、弱者的立場に追いやられている人々への配慮や関心についての問題点を概観する。
東日本大震災が起こった後に再読したので、刊行されたときに読んだ印象とは明らかに違った。特に公共性を国家主義的なものへとまとめあげようとする共同体論的思考への批判に関して、そのような共同体的思考への動きもそれへの批判の動きも、何らかの立場に依拠した上で〈島宇宙的〉に批判を加える点で、どちらも同様の〈引きこもり的な決断主義〉に終始してしまっている印象を抱いてしまう。むしろ、震災からの復興・福島原発事故からの復興に関 -
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[ 内容 ]
公共性とは、閉鎖性と同質性を求めない共同性、排除と同化に抗する連帯である。
現在提起されている「公共性」は異質な声に鎖されてはいないだろうか。
互いの生を保障しあい、行為や発話を触発しあう民主的な公共性の理念を探る。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
現代における自由への脅威とはなにか。
自己決定や自己統治、セキュリティという問題は、自由になにをもたらしたのか。
自由を現代社会に生きる私たちの“間”にある公共の問題としてとらえ直し、他者とともに自由であることの条件をさぐる。
人間の条件としての自由―その概念の更新。
[ 目次 ]
1 自由概念の再検討(自由への脅威;消極的自由への批判)
2 自由の擁護(自由の再定義;自由の規律;自由と安全;自由と公共性)
3 基本文献案内
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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