竹川弘太郎のレビュー一覧
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ネタバレあらすじ
曹操による80万の大軍が南下し、風前の灯火となった劉備軍と孫権軍。この未曾有の危機に際し、諸葛孔明と周瑜の二大知将が手を結び、長江を舞台に繰り広げられた歴史的決戦「赤壁の戦い」から蜀の建国までを描く第二巻。孔明の智謀、周瑜の決断力、そして「苦肉の計」や「連環の計」によって曹操軍の船団は火の海と化し、寡兵が圧倒的多数を打ち破る大逆転劇が幕を開ける。決戦後、劉備陣営は天下三分の計を着実に推し進め、荊州・益州を手に入れてついに独自の拠点を確立。曹操の魏、孫権の呉、劉備の蜀という三国鼎立の骨格が完成し、乱世が新たな均衡と激突の時代へ突入する様を圧倒的なスケールで描き出す。
所感・深掘り
「圧倒的な強者に対峙したとき、ただ力で立ち向かうのではなく、相手の構造的弱点を見抜き、味方の強みを極限まで束ねて一点突破する」という戦略の真髄を突きつけられ、逆境における組織統率と意思決定のあり方を根本から引き締め直される名著だった。
特に深く腑に落ちたのは、「赤壁の勝因は、孔明や周瑜が複雑極まる大戦の要素を解体し、各将が果たすべき『行動の型』を迷いなく設計した点にある」ということだ。80万の威圧感に現場がパニックに陥る中、リーダーが明確な役割と勝機を客観的な事実と道理で提示したからこそ、兵たちの認知的負荷は劇的に下がり、極限状況下でも冷静に自らの任務に集中できた。曖昧な精神論で「頑張れ」と命じるのではなく、勝てる筋道を構造化して現場の迷いを削ぎ落とすことの絶大な合理性を痛感した。
また、異なる背景を持つ孫権陣営との同盟を成立させ、激戦を制した劉備・孔明の姿勢は、組織間連携における利他の実践そのものであると感じた。自陣営の利害やプライドばかりを主張していては、共通の巨大な脅威に立ち向かうことなど到底できない。相手の立場や誇りを尊重し、共通の大義のために自らが果たすべき責任を誠実に全うすること。指導者が私心を手放し、相互の信頼を土台にした共通言語で人と人を繋ぐことによってのみ、組織の壁を越えた強固な結束が生まれ、不可能な勝利すら手繰り寄せられるのだと確信させられた。
恐怖や圧倒的な力に思考停止することをやめ、冷静に構造を見極め、明確な役割の型で組織の総力を引き出し抜くこと。
強大な困難やプレッシャーを前に立ちすくみそうになっている人はもちろん、限られた資源と人員を最大限に活かし、関わるすべての人を迷いなく確かな勝利と成果へ導く揺るぎない戦略眼を磨きたいすべてのリーダーにとって、常に傍らに置いて立ち返るべき戦略と組織運営の教科書だ。 -
Posted by ブクログ
孔子の教えは素晴らしいと言われるが、当時の世の中では、孔子の教えはなかなか受け入れられず、私事では弟子や息子に先に逝かれてしまっており、不遇の人だったのかなという印象。
しかし、辛いときも「これも天命なり」と受け入れ、笑顔で過ごす姿は神々しく、孔子という人物がなぜこんなにも慕われるのかが分かる。
政治面ではあと一歩というところで、仕官の道を塞がれてしまう。大きなチャンスが2回あったが、いずれも女性のせいで不意になってしまう。男尊女卑の日本ではあまり馴染みがないが、中国では女性に溺れるあまり政治を疎かにするなんてことがざらで驚く。女性が強いお国柄なのだろうか。
人生において一番大切なことは、人を思いやること。この一言には肯定しかないが、いかなるときも優先することはなかなか難しい。
時折、本書を読み返し、孔子の人柄に触れ、心を落ち着かせたい。 -
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マンガで分かる世界の教養シリーズの中では断トツにわかりやすい話。
孔子は幼い頃から自分をいじめた者の怪我の手当てをする等人格者であった。だが、早くに父を亡くし、農民の出である孔子にはなかなか役人登用の道が開かず、自身で塾を開いて多くの人に教えを説いていた。この辺りもすごい。自身の利益を考えず、国のためになるならと弟子たちに自分の思想を伝えるのだ。私だったら役人の道を閉ざされた時点で学問を諦めていたに違いない。
上巻は、孔子が50代にしてようやく官吏の道が開けたところで終わる。争いごとを好まず、それでいて国のためと常に学問をしている孔子が、どのように国の政治に関わっていくのか、孔子自身の行く末も気になるところ。 -
購入済み
諸葛亮孔明を主人公に
コミック版の三国志といえば、横山光輝先生の三国志が鉄板の定番であるが、この作品は諸葛亮孔明を主人公に持ってきていくらか違う視点で描き出そうとしている。とは言うものの原作が同じなので同じような出来上がりである。
絵柄は横山光輝先生の三国志に雰囲気がよく似ていて馴染みがあるせいか、何の引っかりもなくスイスイ読める。 -
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あおい輝彦が声やってる三国志のアニメを観たので、内容はだいたい同じなのですが、この漫画は注釈が勉強になりました。
巻末の解説も面白かったです。
三国志は「正史」「三国志演義」とあって、「正史」は魏の陳寿が書いた当時の現代史で、魏の正統性を書いているのですが、陳寿は蜀の出身でもあるので、蜀や諸葛亮のことを良く書いている。また、「演義」は蜀のことを良く書いていて、特に諸葛亮を天才軍師、また関羽を神格化しているとのこと。横浜中華街とかに関羽像がある理由がわかったような気がしました。
そう考えると、この漫画では関羽は張飛と同じ扱いで、劉備が主人公にしていると考えるのもとても味わい深いなと思いました。同じ歴史をどの目線で描くとどうなるのか、考えてみる機会になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ諸葛孔明の唱えた天下三分の計を成就させ、漢王室の復興に向けて順調に勢力をつけていった蜀の劉備だが、関羽が呉の孫権に殺されたことで歯車が少しずつ狂っていった。張飛も寝返った部下に殺され、かたき討ちと呉の孫権に出兵するが敗北してしまう。私情のままに動いたために、魏を倒すどころかかたき討ちすらできずに劉備はこの世を去る。諸葛孔明は劉備に代わって魏を倒すことを誓い、優れた才略で着々と敵を倒していく。しかし「泣いて馬謖を斬る」の故事成語になった馬謖のミスにより長安侵攻の機会を失ってしまった。最期には病に倒れ、ついには劉備の夢を叶えることはできなかった。
関羽・張飛が殺された後、劉備が諸葛孔明に従って無謀な呉の孫権討伐に行っていなければ、天下をとることができていたのかもしれない。壮大な夢を前にしても、義兄弟のかたきという私情には勝てなかった。非合理的であっても私情を優先してしまうのは人間の性だろう。