石牟礼道子のレビュー一覧

  • 食べごしらえ おままごと

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    しょうゆや味噌まで手づくりしていた昔に思いをはせた食エッセイ。今の時代に同じことをやろうとすれば、女はとてもじゃないが会社で仕事などできないだろう。

    にも関わらず、昔の暮らしが、今よりずっと豊かに思えて、うらやむ気持ちを止めることができない。

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    2016年09月26日
  • 水はみどろの宮

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    昨年末に南九州の高千穂峡から天孫降臨の地と言われている天岩戸神社、霧島人社、えびの高原、宮崎の鵜戸神宮、青島神社、鹿児島、桜島をめぐり、神話の世界を堪能しました。

    高千穂峡では、山伏の姿をした狐のごんの守が銀色に光る錫杖の音をしゃらしゃら慣らし、山犬のらんが駆け回り、えびの高原のすすきの原で黒猫おノンが神楽を舞っている姿が見えるようです。

    石牟礼道子の描く物語世界は独特の魅力があり、忘れかけたアニミズムの記憶を呼び覚まされます。
    読書会のすすめで読んだ本ですが、貴重な本に出会えたと思っています。

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    2016年06月10日
  • 石牟礼道子

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    少々読みづらいところはありましたが、
    読み進めると、引き込まれていく感じのする作品でした。
    熊本の水俣を中心とした地域を舞台にした話。
    水俣病の『苦海浄土』が有名な作者ではありますが
    その『苦海浄土』とは違って(?)熊本、水俣の
    美しい自然風景をふんだんに感じられる物語です。
    とくに『水はみどろの宮』は、映画のもののけ姫の
    ような感じで、森や山や川の精霊や、動物、猫・犬との交流
    が美しく描かれてあって、美しく、引き込まれるような
    お話しでした。
    その他『椿の海の記』『西南役伝説』『ダデ子の記』。

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    2016年05月01日
  • 食べごしらえ おままごと

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    一昔前の田舎の人が、どのように作物や獲物を食べ物にしていたかがよくわかるだけでなく、どんな思いでその行為を行っていたかがわかる。
    昔の人がお米一粒でも捨てたりしなかったのは、ここに書かれたような苦労をして(今の農業よりずっと過酷)やっと手に入れたものだからなのだと改めて思ったし、添加物などもちろんなく、すべて捕ったものか作ったもので作った食事がいかに滋味に富んだものであったかは、化学的な味になれてしまった身としては想像するしかないが、どんなにおいしかったことだろう。
    今だって、大金を払えば、この本にあるような食材を使った手のかかった料理を食べることはできるかもしれないが、ここに書かれているほど

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    2014年11月23日
  • 食べごしらえ おままごと

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    水俣病問題を描いた作品「苦海浄土」で知られる……が読んだことはなかった石牟礼道子の書く食のエッセイ。
    いわゆるグルメと呼ばれるような華やかで豪奢な食ではなく、風土と記憶の中にある食を取り上げ、どこか厳粛で静謐な雰囲気の文章でまとめている。
    自然があって、料理をする人間がいて、食べる人間がいる。間違いない食の真理の一側面を描いているが、作者自身それを失われつつあるものとして捉えているように感じるのが寂しい。紹介される料理も興味深いがいろいろと考えさせられる本だった。

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    2012年10月08日
  • 死を想う

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    石牟礼道子さんと伊藤比呂美さんの対談集パーキンソン病を患う石牟礼さんが老いや死をどのように受けとめているかを、執拗に伊藤さんは聞く。梁塵秘抄の「暁静かに目覚めして、思えば涙ぞ抑えあへぬ、儚く此の世を過ごしては何時かは浄土に参るべき」。石牟礼さんの到達した地点に私はまだ遠い。しかし浄土に参るという考え方に共感。豊かな時間を生きてきた人だと痛感する。昔、老人との別れの言葉は「さようなら」ではなく「お名残惜しゅうございます」だったとか。このコトバには「この次においでるときは私はもういません」という含みがある。生きることは死ぬこと。そんな遠いことではないようだ。

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    2009年10月07日