翻訳家の著者が、第二次大戦前後の女学校時代や大学院時代に読み、影響を受けたほんと、その本にまつわるエピソードを思い出しつつ、エッセイ形式で綴る。
あいも変わらずあらすじなどを読まずに読み始めるワタクシであるが、1本目は女学校時代の同級生が入院し、その頃に読んでいた本を思い出しつつ女学校時代を思い出すというような話で、普通に純文学のようなストーリーだったため、小説だと思っていた。
しかし、最後の段落で、生きていたと思ったら死んでしまい(本当にどちらが時系列的に先なのかわからない文章)、あれれ?と思ったら、2本目はしっかりとエッセイになっていた。
前半は、いろいろな過去のエピソードに、同級生や両親、妹といった人達が出てくるのだが、ほとんど会話らしきものがなくつらつらと地の文で説明されるため、見た目の割になかなか読み進まない。
ただ、1本目同様に、エッセイらしからぬ詩的な表現が含まれたりするものだから、おや?とおもう分が多々あるのがこの本の魅力だろう。
中盤の家の隣り住んでにいたホトトギス派の実力者俳人の原さんの話など、完全に小説として読んで面白いものだし、映画が1本撮れそうである。原さんの章だけで☆4くらいあげたい。
一方で、サンテグジュペリあたりからの中盤以降の話は、前半と打って変わって文章自体は読みやすくなる。ただ、論文的というか、評論的というか、やたらと固有名詞を叩きつけるような本の解説になってしまって、ほとんど頭に入らずに終わってしまった。父親が薦めてきた森鴎外の本を「旧字で漢字ばかりであって、主人公なども存在しないため目が滑る」と評しているが、実際にそういう文章になってしまっている。
世代的に少し上だし、紹介される本も鴎外を始めとした古典名作か、大学で翻訳した外国文学のようなものが多く、現代では参考にならない部分が多いが、見開きに1つくらいある、なんとも詩的な言葉選びは、一度体験する価値はあるだろう。