須賀敦子のレビュー一覧

  • ユルスナールの靴
    大学の講義中に「清潔な文章を書く」作家だと評して、先生が紹介してくれた本。

    ひとつの事象について、彼我の感じるそのスピードを丁寧に表現しているところが好き。「私はこう思った」→「彼はこう思った」→「それで私はこう思う」というプロセス。

    日常のスピードに押される中で、この感じるプロセスを几帳面に残...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
     イタリアミラノにある書店に出入りする仲間達について書いた本。
     自分にはこのスタイルが合わなかったのか次々に語られていく書店の仲間たちのエピソードがあまり頭に入らなかった。
     時間を置いてもう一回読んでみたいと思う。

    2023/10 評価3.5
  • ヴェネツィアの宿
    読書の胆力が足りない、私には、まだ。

    母の苦しみ、父の身勝手さ、その辺りだけは惹かれるものの、イタリアの舞台にいまいちしっくり馴染めず。

    いつかきっと、いつかもっと。
  • 霧のむこうに住みたい
    イタリアやフランスでの日々を追憶するエッセイ。
    日本語で書かれているのに、読んでいるうちに「こんなことばがあったんだ」と感じていました。
    するする入ってくるけれど、洋画の字幕を目で追っているような。そんな不思議な感覚です。
    しかし、須賀さんの感性と視点を通して描かれる人々は、とてもリアリティがあって...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
    自分と時間軸が異なる方が、経験されたイタリア。どんな景色が人が見られたのだろうか。旅行者ではない著者が感じた思いは、稀有な事で追体験出来る事が、嬉しい。日本とは異なる価値観、環境。
  • 霧のむこうに住みたい
    202101/タイトルと表紙に惹かれて初めて読んだ須賀敦子さんの暮らしや旅等が綴られたエッセイ。余韻が残る落ち着いた文章、風景が浮かぶ描写で、ゆったりと味わう一冊。
  • コルシア書店の仲間たち
    初めて読んだ須賀敦子さんの本。
    回想録なのに、これほどまでに明瞭に描写できるのが素晴らしいと思うし、観察眼もまたそう。

    このような眼を持てたら、日常がもっと深まるように思うのは気のせいだろうか。

    コルシア書店、小遣いにも満たないほどの給料で書店を切り盛りしていた人たちは、「自分の信念を生きるため...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
    なんだろう。厳しい生活を送っていただろう作者のエッセイだが、ほんわかしてふわふわした感じを受けた。また、別の機会に読み返してみたい。
  • ユルスナールの靴
    ユルスナールを読んだことがないのでどうかしらと思いつつ、美しい日本語と情感あふれる描写に引き込まれる。
  • ヴェネツィアの宿
    海外での暮らしぶりより、生い立ちをはじめとする、日本でのエピソードの方が心に留まった。
    『白い万丈』は、どこか霧の向こうの話のような幻想的な空気感。
    『寄宿学校』の、厳格でほとんど自由のない中で見える初々しさや青春世代のきらきらした感じは、懐かしいようでもあり頼もしくもあり。

    彼女に対する父親の影...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
    著者がイタリアに留学し、ミラノの小さな書店に集う人々と交流した若き日々をたどるエッセイ。

    当時はまだ日本人女性が珍しかったせいか、さまざまな人に紹介されたり、招待を受けたり。
    何かをスルドク分析するとか考察するとかではなく、とても素直な目で、書店の仲間たちの姿が、丁寧に淡々とつづられているのが心地...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
    「コルシア書店の仲間たち」とあるイタリアの書店を舞台に須賀敦子が出会った人達にスポットを当てていくエッセイ。何十年もの時間と空間を行きつ戻りつしながらそれぞれの人物像や出来事を映画のワンシーンのように切り取っていく。オノナツメの「GENTE(リストランテパラディーゾ)」に似た雰囲気。
  • 塩一トンの読書
    人生の味付け。

    古典を読むこと、人を知ること。どちらも長い時間をかけて、だんだん深めていくことだ。落ち着いた文章で、ゆっくり読めた。
  • 遠い朝の本たち
     世界戦争になって、痛いほど詩が欲しくなる日々と、詩などなくても生きられそうに思う日々が交互にあった。
    (P.143)
  • 塩一トンの読書
    「読書が趣味です」という言葉を口にするのが憚られる。比較すること自体おこがましいんだけど。それくらい1冊に対する向き合う方が違う。その本の持つ形を捉えて、読みこめるようになりたいという思いを新たにさせてくれる本だった。
  • 須賀敦子
    戦後間もないころに女性一人でイタリアで過ごした
    著者のエッセー、小説。
    ミラノや、トリエステなど
    なんとなく行ってみたい海外の場所が増えたような気がします。
    石畳の街並みや、古い教会、海、波止。なかなかみれない
    景色を文体で表現されていて、そのような景色やイメージ
    を感じることは面白いと思います。
    ...続きを読む
  • ユルスナールの靴
    なぜこの本を読もうと思ったのか、よく分からない。新聞の書評に載っていて、記憶に残っていたのかもしれない。ユルスナールというのがフランス人作家の名前だとも知らず読み始めた。ユルスナールの作品や人生と重ねるようにして、著者が自分の人生を回想する。読点の打ち方など、文体がちょっと独特。この本で紹介されてい...続きを読む
  • なぜ古典を読むのか
    なぜ読むのか、と言われてもそもそもなかなか手が伸びにくいものではある。あまりにも膨大で変なところに手をつければ崩れて埋もれてしまうんじゃないかと腰が引けてしまう。

    そんなことはカルヴィーノも分かっている、ただ古典のほうから呼びかけ続けるものだから手をとるより仕方がない。ここで紹介される様々な古典は...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    友人に薦められた一冊。
    短編集になっているけれど、つながりがある。
    タイトルがわかりやすいのだけれど、読んでいくとあぁだからこのタイトルとなるのが多い。
    文章がとても読みやすかったのが最も印象に残ったこと。
    繰り返し読むという友人の言葉を思い出す。
    確かに、一度読んで終わりというよりは、読む度に新し...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    2015.7.10
    幼い頃における本にまつわる体験を静かに語るエッセイ集。
    題名が秀逸。エッセイの雰囲気を体現している。
    本に囲まれた環境が羨ましい。
    本がいつでも側にある、そういう生き方を肯定している。ひたすら本とともに生きる著者の姿に励まされた。
    本と共に生きるということの一つの理想を見出した...続きを読む