須賀敦子のレビュー一覧

  • 遠い朝の本たち
    本が大好きだった著者が子供時代に出会った本たちをエピソードと共に紹介。
    静かで美しくゆったりした時間という印象。
    子供の頃大好きだった本、大草原の小さな家シリーズを思い出した。
    人生に影響を及ぼした本が私にはどれだけあるだろうか、、そんなふうな本の読み方をしたいと思える本でした。
  • ユルスナールの靴
    須賀敦子さんの著作の中では、もっとも敷居が高かった本。ユルスナールを読んでいないことが躊躇する原因だったのだが、須賀さん自身も、ユルスナールと出会ったのはむしろ遅かったとわかりほっとした。プロローグが圧巻。
  • 塩一トンの読書
    「ひとりの人を理解するまでには、すくなくとも、一トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」
    ミラノで結婚してまもない頃の筆者に諭したという姑のこの言葉、そして本、特に古典とのつきあいにも同じことが言えるという筆者の解釈に強く感銘を受けた。
    読書は大好きだけれど、自分の読書はスイーツを食べる感覚に似...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
    イタリア在住時に著者が過ごすことになった、志を共にする仲間たちとの共同体。理想に燃えるそれは青春そのもののような蒼い美しさに溢れているが、青春であるが故にゆっくりと離ればなれになっていく。須賀さんの繊細で丁寧な文体はそんなノスタルジアな感傷を優しく包み込み、諦観に溺れないだけの凛とした強さも携えてい...続きを読む
  • コルシア書店の仲間たち
    『ヴェネチアの宿』が気に入ったので、須賀敦子 2冊目。1960年代にミラノで開いた書店(というよりは、サロンに近いものだったのだろう)を回想しつつ、当時の日常や現在のできごとを綴る。多くの人が一度は経験する「共同体」幻想は、まるで昨日のことにように詳細に描かれるが、しかし、その登場人物たちは遠く霧の...続きを読む
  • 塩一トンの読書
    本を巡るエッセイである本書は、読むというより須賀敦子さんの語り口を聴いているかのようだ。「ひとりの人を理解するまでには、少なくとも、1トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」姑に何となく言われたその言葉は書物に対しても同様であり、塩だけでなく辛酸も舐めてきたからこそ発することのできる滑らかな理知...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    1929年生まれの著者がミラノでの生活から思い出した過去の日々。それはイタリア各地の旅行記であり、そして幼い日々の父と母の確執の思い出に繋がる。幼少期は関西の芦屋・御影が舞台になり、また母から聞き憧れていたという伯父が住んでいた青島(チンタオ)のエキゾチックな情景。私自身の過去とも重なり興味深く読む...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
     須賀敦子さんの作品を読むのは初めてです。先に読んだ池内紀さんの「文学フシギ帖」で紹介されていたので、興味を抱いて手に取ってみました。
     著者のご家族・友人たちとの交流・ふれあいのエピソードを繊細で穏やかな筆で綴ったエッセイ集です。年代的には私が生まれたころですから、かれこれ50年ほど前、主な舞台は...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    読んだ本を思い返すことは、その時の自分の思い出を手繰ることなんだと教えてくれる。
    美しい言葉で語られる情景は素晴らしく、読んでいると須賀敦子さんの思い出に入っていくようです。
  • なぜ古典を読むのか
    イタリアの作家イタロ・カルヴィーノが、文学について雑誌などに書いた文章が死後まとめられたもの。須賀敦子が訳している。須賀敦子が訳している小説ではない本を読んでみたかったのが、この本を読んだ理由の一つなのだけど、もともとのイタリア語の文章がそうだったのだろうけど、須賀敦子自身があとがきで書いているよう...続きを読む
  • なぜ古典を読むのか
    ここで取り上げられている本の殆どを読んだことがないというだけでも買った価値のある本です。いいなぁ、こういう本。知らない世界を押し広げてくれるんだから。ヘミングウェイの作品くらいは読んだことあったからそこしかまだ読んでませんが、なにか新しい作品に出会いたくなったら本書を頼りとして、ゆっくり堪能させても...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    一つ一つの話が本当に心にしみる.単なる随想を越えて,一つ一つが珠玉の小品というにふさわしい品格と完成度を持っている.今は失われてしまったものへの哀惜が常にその文章の底辺にあるのだが,それが生のかたちではなくて,浄化されて,澄んだ感情を通して絶妙のバランスで語られる. 名文としかよびようがない文章.
  • 遠い朝の本たち
    1年ぐらい前にも読んだけれど、再読。須賀さんの文章は読んでいるとわたしの時間の流れをさりげなく変えてくれるから好きだな。
  • 遠い朝の本たち
    感受性の鋭い子ども時代に多くの本との出合いを経験し、それを成長過程の風景と共に記憶している著者を羨ましく思った。

    最初は、本との幸福な出会いを綴ったエッセイだと思ったけど、どんな本も出合って不幸になるものはないかもね。

    アン・リンドバーグの「海からの贈物」は読んでみたい。
  • ヴェネツィアの宿
    初須賀敦子。なぜかわたしは塩野七生とか白州正子とかと須賀敦子がごっちゃになってしまうのだけれど、須賀敦子は意外と最近の人なのだなーと。凛としているけど、寂しい、という印象。なんだか距離を感じる。正直、この一冊でものすごく強く惹かれるようなものはなかったんだけれど、また他の作品も読んでみたい。なんとな...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    小川洋子の『カラーひよことコーヒー豆』の中に出てきた、
    まだ読んでいない本だったので迷わず手を伸ばしました。
    どことなく寂しく、でもとても幸福な読後感に浸ることが
    できました。
    言葉の選び方がとても無駄がない。そしてすっきり整って
    気持ちがいいのです。
    幼いころの本との出会いや思い出は私のそれとは全...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    須賀敦子は憧れの人。この本は大変な読書家で「いつも本に読まれて」いた彼女の、本との出合いとエピソードがたくさん書かれている。彼女の作品は私にとって、読むたびに刺激を与えてくれる特別な存在。背筋を伸ばして潔く生きていた彼女が選び抜いた言葉は本当に美しい。だからページをめくるのも勿体無くて時間をかけて読...続きを読む
  • ユルスナールの靴
    マルグリッド・ユルスナールというフランスの作家の生涯や作品に焦点を当てつつ、須賀敦子自身のエピソードも混ぜ込んだ素敵なエッセイ。
    著者がフランスに留学していた時のエピソードは、「あるある!」って共感するところがいっぱいでした。時代が変わっても、感覚は一緒だな。
  • 遠い朝の本たち
    遠い朝・・・まだ人生の深さなど知らなかった少女時代・・・そして、大人になるまでに読んだ本の思い出をその時代の風景やエピソードを織り交ぜて語っている。単なる本の紹介でなく、その本と自分との関わりを美しい文章で綴られている。
    中でも、サンテグジュベリ(星の王子様)やアン・モロウ・リンドバーグ(海からの贈...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    ある言葉に一連の記憶が池の藻のようにからまりついていて、長い時間が過ぎたあと、まったく関係のない書物を読んでいたり、映画を見ていたり、ただ単純に人と話していたりして、その言葉が目にとまったり耳にふれたりした瞬間に、遠い日に会った人たちや、そのころ考えていたことがどっと心に戻ってくることがある。


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