須賀敦子のレビュー一覧

  • 塩一トンの読書
    神楽坂のかもめブックスで購入。初めての須賀敦子。

    「ひとりの人を理解するまでには、すくなくとも、一トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」
    ではじまる冒頭の節は、これからも何度か読み返す文章なんだろうなあと思う。

    他のエッセイがどうなのかは分からないけれど、この本に関しては荒川洋治を彷彿させ...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    「幼い時の読書が私には、ものを食べるのと似ているように思えることがある。多くの側面を理解できないままではあったけれど、アンの文章はあのとき私の肉体の一部になった。いや、そういうことにならない読書は、やっぱり根本的に不毛だといっていいのかもしれない」
  • 遠い朝の本たち
    著者が遠い昔に読んだ本の記憶。
    多くの大人が、幼少期に読書という体験をしているはず。
    勿論、私もその一人だが著者の様に鮮明に何かを想起させるような物語はそんなに多くは持っていない。
    その意味で著者はとても恵まれていると思う。
    けれどもそれは、著者の感受性の豊かさにあるようにも思う。
    本書を通して、若...続きを読む
  • 本に読まれて
    書評集。文章に著者の知性と教養がにじみ出ている。そして、著者が本との出会いを大切にしていることがよく伝わってくる。
  • 遠い朝の本たち
    書物をたよりに、フランス、イタリアへ。そして故郷である日本へ。

    “吸い込まれるように”本を読み、“本にのめり”こんだ少女は、訪れた街や出逢った人を手掛かりに、書物の続きを紡ぎ出す。

    須賀さんの、幼いころからの身の廻りに起きたこと、そしてそれらと処を隔てずに在る書物をめぐる記憶。


    ワーズワース...続きを読む
  • なぜ古典を読むのか
    カルヴィーノはイタリアきっての知識人。彼の前には偉大なイタリア文学者、作家がいて、彼はそれを担わなければ行けないと自覚していたのか必然とそうなったのか、彼は特異の冷静さを持って文学に向かっているような気がする。その冷静さが、レビューという形でも現れているがしかし、私が知りたいのはあなたのことなのだ。...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    サンテグジュペリの「星の王子さま」の記述、アン・リンドバーグに関する記述、お父さんやお婆さんに関する思い出と本との接点。柔らかく、優しい文章で、読んでいると何故だかすぐに眠気に襲われてしまって、それはつまらないからではないもので、なーんだ、これ、不思議だなぁ、不思議だなぁ、と思いながら、読み進んでい...続きを読む
  • なぜ古典を読むのか
    カルヴィーノと須賀敦子の組み合わせはいい感じ。
    訳者自身が後書に書いたように、これらの文章を遺してくれたお二人に心から感謝する。
  • ヴェネツィアの宿
    硬質な文章から情緒が立ち昇る。

    「意志」を文体にすると
    こうなるだろうという
    硬質さで綴られるエッセイだ。
    ヨーロッパのホテルの一室から
    父の思い出へと回想は広がり、
    感情を抑制した文章から、
    ときおり立ち昇る思いは
    読む者の気持ちを瞬時にかきたたせる。

    そして奔放に
    ヨーロッパと日本を、
    時を...続きを読む
  • ユルスナールの靴
    桜庭一樹読書日記から。
    もっと難しい評論かと思ったら、ものすごく読みやすかった。そのぶんするする進みすぎて気をつけないと色々読み飛ばす。多分いろいろ見落としてるまま読み終わってしまったので、文章が大好きなこともあって他の作品も読みたい。
    ひらひら混じってくる回想が優雅でわかりやすいのになんとなく不穏...続きを読む
  • ユルスナールの靴
    題名にひかれて探していました。
    復刊フェアでげっと。
    モチーフからつむがれる文章と景色。
    乾いた砂、紺碧の水。
    素足に白い革のサンダル。
    どこにもない季節の海。
  • 遠い朝の本たち
    筆者はイタリア研究で有名な方。多読家ですね。幼少時期からの読書の思い出を綴っている。
    ムンバイからのフライトで読む。