須賀敦子のレビュー一覧

  • コルシア書店の仲間たち

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    イタリアはミラノの教会の一部を改造して設けた書店。そこに集った仲間たちとの思い出や書店が辿った運命を綴ったエッセイ集。
    著者は1929年生まれ。まず、この年代に生まれた女性で、日本から遠く離れた異国に留学していた方がいたことに驚きます。
    私にとって本屋は、まだ見ぬ面白い物語を探しに行く場所ですが、彼女がいたコルシア書店は、理想的な共同体や自分たちがどう生きるべきかの意見を交換したり詩や書物にまとめたりして出版する重要な活動拠点であり、政府や教会側から監視され活動を制限されるほど、存在感のある場所だったようです。
    当時の思想や国を取り巻く環境、理想とされた共同体について、私は正直「難しいことは全

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    2025年05月12日
  • ヴェネツィアの宿

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    つい先日イタリア旅行から帰って読んだ本
    淡々とした筆致なのに妙に惹きこまれ、読み終えたとき何とも言えない不思議な感動があった

    海外留学、ましてや移住する日本人なんてほんの一握りだった時代の空気感
    生活もものの考え方も違う人々とこうして心を通わせることができたのは、人柄や語学力だけでなく、幼い頃から筆者の中にキリスト教が根付いていたからだろうか

    私はたった数日のイタリア旅行に行っただけだけど、やや不安や心細さを感じつつも、その歴史や文化に圧倒され、街並みの美しさに惚れ惚れとしたことを思い出した。
    日本の文化もそれはそれで素晴らしいと思ってるけど、西洋への憧れはいつの時代も変わらない。

    遠い

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    2025年04月18日
  • ヴェネツィアの宿

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    読書会で須賀敦子の存在を知り、手に取る。
    自分もイタリアが好きで何度も訪問しているので、懐かしさもあり。
    ただ、内容的には家族のこと、特に父との関係がテーマになることが多く、その家族史も興味深く、且つ心を動かされる。(「オリエント・エクスプレス」は涙を誘う)
    時代は60年代~70年代のイタリアなので、時代背景の理解は必要かもしれない。

    文章もとても読み易く、巧い。

    以下抜粋~
    ・そのころ読んだ、サン=デグジュベリの文章が私を揺り動かした。「自分がカテドラルを建てる人間にならなければ、意味がない。できあがったカテドラルのなかに、ぬくぬくと自分の席を得ようとする人間になってはだめだ」

    ・たえ

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    2025年03月16日
  • 霧のむこうに住みたい

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    須賀さんの本は、三冊目。
    本書はエッセイ集。
    芦屋で暮らした少女時代から、フランス留学時代、イタリアに移ってから、そして東京に戻ってから、さまざまな時期の思い出が、各編でさらりと描かれていく。

    たとえば、アスパラガスひとつとっても、アスパラガス農家の娘として育ったアドリアーナという女性の来歴から、小学生時代に叔父が庭に植えたアスパラガス、そしてパリの学生寮で出るアスパラガスの料理と、自由に思い出が綴られる。
    二十年以上もたって、アドリアーナがアスパラ栽培でどんな苦労をしていたかやっと思い至るようになった、という苦い思いとともに。

    ミラノ、ジェノワ、フィレンツェなどの街を歩いた印象を書き留め

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    2024年08月31日
  • ユルスナールの靴

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    (2024/06/21 3h)

    ひとに勧められて読んだ。
    すきな文章だった。

    ユルスナールを知らなかったので、読む前にWikipediaで浚った。三島由紀夫の著作を好意的に
    評しているということで嬉しい気持ちになる。

    須賀敦子のエッセイの体を取る本。
    とりあえず、須賀敦子とユルスナールを知らない更の状態でも味わうのできる本。

    テイストで喩えると、セピアっぽい郷愁の滲む温かさ。癒される文章。

    ピラネージ良かった!思わず得ることのできた知識もうれしい。

    ユルスナールも読もう。

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    2024年06月21日
  • 遠い朝の本たち

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    某SNSで引用されていた一文に惹かれて購入。
    恥ずかしながら、筆者を存じ上げなかったが、本と共に印象に残った出来事を振り返る文章がとても切なく愛おしく感じた。

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    2024年05月24日
  • 霧のむこうに住みたい

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     本書は、単行本にこれまで未収録だったエッセイを中心にまとめた一冊で、書評集や日記などを除いては、おそらく最後の作品集になるそうで(江國香織さんの解説より)、読む順番は間違えてしまったが、その分、全方位に広がるような様々な出来事を通して、彼女がどのようなことを感じ、思い、日々を生きていたのか、そして、そこから私は何を得たのか、より実感出来た思いでいっぱいとなった。

     須賀敦子さん(1929-98年)は、慶應の大学院を中退してフランスのパリに留学し、その後、学生たちの団体旅行に参加したのがきっかけとなり、29歳の夏に、ローマのレジムナンディ大学に留学し、以後イタリアに惚れ込み、後にペッピーノさ

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    2024年02月04日
  • 島とクジラと女をめぐる断片

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    誰かの語る物語に耳を傾けているような、隣りの会話を盗み聞きしているような、旅をしている心地になる詩のような一冊。物語を深く味わうというよりは歌に身を任せてたゆたうよう。
    須賀敦子さんの解説が素晴らしい。

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    2023年10月03日
  • 遠い朝の本たち

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    須賀さんの本、初めて読みました。
    わかりやすく、すっきりとしていながら、やわらかく情景が浮かび上がってくる文章に心が震えました。

    見たことのない情景が、目にも心にも浮かぶように感じました。
    時を超える感覚が新鮮で、もっと他の本も読んでみたくなりました。

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    2023年09月22日
  • コルシア書店の仲間たち

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    ミラノに実在した書店に出入りする、様々な境遇の人たちにまつわるエッセー。
    それぞれがそれぞれに不幸を背負い、もがきながら不器用に生きている。
    みんながハッピーではないけど、そんなものなのかも知れない。
    他人が見たらそう見えてしまうけど、本人はそれなりに時々幸せを感じたり。
    結局自分もそうかもと思ってしまう。

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    2023年07月31日
  • 島とクジラと女をめぐる断片

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    ネタバレ

    この作品を味わうには、今の己の知見では不足しているな、と感じさせられた作品。けれど数年後に読み返したら違う感覚を得られそうだとも思えた作品。
    「この本の主題は、主としてクジラだが、生き物としてのクジラというよりは、むしろ隠喩のクジラだと言いたい。」とあるように、隠喩が多いからか、物語の輪郭がはっきりせず夢の中のような感覚に陥る。
    アントニオ・タブッキの構成も然ることながら、おそらく訳者の意図でもあるのだろうと感じた。

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    2023年03月14日
  • ヴェネツィアの宿

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    慌ただしい日々の中で、自分を整えるために
    読むような本です。
    しっとしとしたヨーロッパを感じられます。

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    2023年01月17日
  • 霧のむこうに住みたい

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    霧の流れる向こうに石作りの家
    ぽつんと残されて立っていると誰かが迎えにくるかもしれない
    ーこういう文章が書けるといいなぁ

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    2023年01月06日
  • 霧のむこうに住みたい

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    各作品の土地の風景、空気、登場する人たちの人柄を肌で感じることができ、読み終わった後は、充実した旅だったなあという感覚になった。

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    2023年01月03日
  • 塩一トンの読書

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    このタイトルはどういう意味だろうと興味を持って手にとってみた。
    なるほど、塩一トンをなめるのにはとても長い時間がかかるけれど、それくらい本と向き合うということか(本来は人との付き合いに対して著者の義母が言った言葉だったらしい)。
    前の須賀敦子作品へのレビューでも書いた気がするけど、なぜだか私は須賀敦子の文章にすごく惹かれる。今回も、私からすると、到底手の届かない高いところに達した須賀敦子の思考と、博識ぶりと、読書量と、書評の文章の上品さに、圧倒されるし、理解はできないし・・・という状態だったけれど、やはり惹かれる。
    ちなみに、後半の書評については、どの本ももちろん読んだこともなければ、ほとんど

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    2022年12月15日
  • 本に読まれて

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    著者の本好き・読書好きが伝わる一冊。
    半ばエッセイのような書評は「この本のここがとてもいい!」「この本に出会えてよかった!」という感動・感嘆を隠すこと無く、本物の教養や知性に裏打ちされた文章で綴られている。その本の不満足な点も述べていることもよい。ネタバレにならず、読者の読書欲を煽り、文章自体が読み物としておもしろいーー書評のお手本と言えよう。

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    2022年07月29日
  • コルシア書店の仲間たち

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    ネタバレ

    初めて読むタイプのエッセイだった。
    エッセイっていうジャンルにくくっていいのかな?
    1950年代から1970年代にかけてのイタリアが、ミラノや友人たちが、あまりにも日本の…いまの自分とかけ離れていて、フィクションを読んでいるような気持ちだった。
    でも、フィクションでは書ききれない、友人たちの気質、思い出、部屋の様子…明るいイメージのあったイタリアで、こんな人たちがこんなふうに暮らしているのか、と新鮮な思いだった。

    印象に残っているのは、ユダヤ人の家族の話…戦争の記憶が鮮明な時代のヨーロッパは、自分が想像している以上に人の暮らしや考えに影響を与えていて、それを経験した人のことを読むのも初めてだ

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    2022年05月29日
  • 塩一トンの読書

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    須賀さんの文章を読むと背筋が伸びる。そして読書は、本が好きな人たちだけの趣味ではなく、人間が豊かに生きていくのに欠かせないものであるということに気づく。

    ” 人が生きるのは、答をみつけるためでもないし、だれかと、なにかと、競争するためなどでは、けっしてありえない。ひたすらそれぞれが信じる方向にむけて、じぶんを充実させる、そのことを、私たちは根本のところで忘れて走ってきたのではないだろうか。”

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    2022年02月01日
  • 霧のむこうに住みたい

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    (一万円選書)多分、選書していただかなかったら出会わなかった作家さんだと思います。
    静寂感が漂い、どこか厳かで儚げな雰囲気を感じました。著者はイタリアで29歳から13年間過ごしたそうです。私にとっては全く馴染みのない国なのですが、空気の流れや香り、音、肌への感覚などが不思議と伝わっていきます。

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    2021年11月06日
  • 霧のむこうに住みたい

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    ある土曜日、娘に"朝活しよう"と、出かけたカフェで読んだのが、『霧のむこうに住みたい』。

    エッセイが苦手なわたしですが、出だしから心地よい! ちょっと何⁈ 面白い! と、感動。

    実は、わたしの朝活の目的は、ピスタチオジェラートをサンドしたクロワッサンと温かいカフェラテ‼︎
    歳のせいか、食い気のせいか、肝心の本を忘れてしまったわたしに、呆れた娘が『霧のむこうに住みたい』を貸してくれたのです。なので、殊勝な心で読みました。

    心地よい温もり、また、押し付けがましくないさっぱりとしたところもあり、行間のノスタルジックな香り、街や人や物などの描写に愛情を感じられ、読んでいると、

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    2021年10月27日